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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第153回   第百五十二話 対峙!神竜と魔人

ライトシンフォニアの仲間達、ヘルデストロイヤーの傭兵達、ラビリアンの人々、彼等のおかげで天空魔導城への辿り着く事に成功した神竜隊。だが、敵の迎撃が激しくジェット輸送機は撃ち落され、マサシ達はバラバラになってしまった。各隊員は一体どうなったのか?

「いててて、ここは何処だ?」
「なんとか助かったね」

輸送機から放り出されて倒れていたマサシとジゼルは頭を押さえて立ち上がり周りを見る。二人は広い中庭の様な所に立っていた。そして何より周りは暗く、虚無宇宙(ゼロスペース)に造られた星々の微かな光で照らされているだけだった。

「どうやら、天空魔導城にはたどり着いたようだな。だけど皆バラバラになっちまったか・・・・」
「皆無事だといいけど。と言うか、貴方が操縦かんを折ったのが原因でしょ?」
「ハハハハ・・・・ごもっともです」

ジゼルに痛いところを突かれて苦笑いをするマサシ。だがマサシは直ぐに表情を鋭くし、仲間の事を考えながらアロンダイトを抜いて警戒し始める。ジゼルも構えて辺りを見回した。

「敵はいないね」
「ああ、とにかく俺達は自分達のやるべき事をやろう」
「うん!」
「多分ディアボロスとルシフェルはあそこに居る筈だ」

マサシはそう言って目の前の堂々と建っている城を指差した。その城は浮かんでいる大地の真ん中に立っており、その周りを囲むように東西南北に高台が建てられ、その四つの高台を結ぶように円状に渡り廊下が繋がっている。更に高台から城に繋がるように渡り廊下が伸びていた。

「間違いないね」
「行こう、皆もきっとあの城に向かっている筈だ。城に行けば会えるかもしれない」
「うん、そうだね」
「よし、行くぞ!」
「うん!」

マサシとジゼルは城に向かって走り出した。仲間達に会えることを信じて、そしてディアボロスとルシフェルを倒してラビリアンを救う為に。





その頃、天空魔導城の西側には高台から城へと繋がる渡り廊下がある。その上を全力疾走するネリネがいた。彼女は聖天使人の力を使って通常の倍の速さで走っている。

「ハァハァ!急いで城に行かないと、ユウタ達もきっともう城へ向かってるはず。急がないと!」

ネリネがマサシ達と合流するために城へ向って更に速さを増す。だがその時、ネリネの前で突然爆発が起きネリネの行く手を妨げた。ネリネは驚いて足を止める。

「ッ!何!?」
「見つけたぞ」

何処からか聞こえる声、聞こえた方を見ると、そこには高台に立ちカウボーイハットを被った水色の長髪の女ガンマンがネリネを見下ろしていた。

「あ、貴方は・・・・」
「フフフフ」

笑いながら飛び降りた女ガンマン。西部のガンマンの様な姿をしており、腰には二丁の「ドラグーン」が納められていた。

ドラグーン(コルトM1848)
回転式拳銃であり、フリントロック式からメタルカートリッジ式への過渡期に使用されていたものである。1848年にアメリカ陸軍の制式拳銃となり、後継機コルトM1860が登場するまで12年間その地位を守った。ちなみにM1848とM1860の間に開発されたM1851はM1848を軽量化したものである。

女ガンマンは腕を組みながらゆっくりとネリネに近づいてくる。ネリネは騎士剣を握り相手の出かた待っている。

「お前が聖天使人の末裔ネリネか」
「・・・・そうだけど、貴方は?」
「私はディアボロス様とルシフェル様に仕える者だ。魔人の一人『ガンウーマン カラミティ』だ」
「魔人?貴方もタツノスケとか言う奴と同じ魔人なの?」
「そうだ。それにしても、私に当たってよかったな」
「どういう意味?」
「タツノスケは私達(魔人)の中でも最もあのお二人に忠義を尽くす奴だ。奴に当たっていたらこんな風に会話をする間も無く斬られていたぞ?」
「・・・・・・!」

驚くネリネは一歩下がりカラミティから距離をとろうとした、だがその時、再びネリネの背後から声が聞こえてきた。

「おお、こんなところに一人いたか」
「なっ!?」

突然の声に振り返るネリネ。彼女の目には城の入口前で騎士剣を背負っている騎兵が立っていた。

「ジークフリートか」
「ん?カラミティ、お前が先に来ていたのか」

ネリネの奥を覗いてカラミティがいる事を確認するジークフリートと言う名の騎兵。体を茶色の全身甲冑(フルアーマー)で被われている。仮面で顔は見えないが彼からは黒い気が溢れている。

「クッ!挟まれた!」

ネリネは高台側にいるカラミティと城側にいるジークフリートを見て自分が更に不利になった事を知る。自分がいるのは城と高台を繋ぐ渡り廊下の真ん中にいる、逃げ道は無い。

(どうしよう、空を飛んで逃げるにも銃を使うカラミティからは逃げられない、渡り廊下から飛び降りようとしても狙われる。どの道、聖天使人の翼を広げて飛ばないといけない。それでは飛んで逃げるのと同じ、撃ち落されるだけだわ)

ネリネが必死で作戦を考えているとカラミティがジークフリートに話しかけた。

「ジークフリート、この女は私が先に見つけたんだ、手を出すなよ」
「フフフ、言われるまでもないさ。だが・・・・」
「だが?」
「今回はそうも言ってられないだろう。ディアボロス様から神竜隊は遊び抜きでさっさと始末しろと言われているのだからな」
「・・・・・・」

ジークフリートの言う事を聞いて黙り込むカラミティ。

「確実に、最短でコイツ等を始末する為に今回は協力し合おうぜ?」
「うむ・・・・仕方ない」

カラミティは腰のドラグーンを一丁抜いてネリネに銃口を向ける。そしてジークフリートも背負っている騎士剣を抜いて構えた。

「マ、マズイ・・・・」

挟まれて動きを封じられたネリネはカラミティの方を向いた。

「いかに聖天使人のお前も魔人二人を相手にするのは無謀だ。二対一では勝ち目は無いだろう?」
「どうかな?」
「「「!」」」

突然聞こえてくる声に驚く一同。何処から声が聞こえてくるのか気配を探っていると、カラミティの背後から再び声が聞こえてきた。

「これで二対二だ」
「レイナ!」

声の主はレイナだった。そしてレイナの登場に喜び名を叫ぶネリネ。レイナはカラミティの後ろに立ちカラミティの後頭部にSAAを突きつけていた。

「ほう、なかなかやるな。全く気配を感じなかったぞ?」
「フン・・・・」

自分の後ろにいるレイナに小さく笑いながら言うカラミティ。レイナは表情を変えることなく静かに言った。

「ネリネ、この女の相手は私が引き受ける。お前はそこの騎兵の相手をしろ」
「ええ、そうさせてもらわ。銃を持つ相手に剣士の私には分が悪いもの」

カラミティをレイナに任せ、ジークフリートの方を向くネリネ。それを見たジークフリートも剣を構えてネリネのジッと見た。

「お前が俺の相手なのか?てっきり後から来たあの女が俺の相手だと思ったのだがな」
「悪いわね、私は銃を使う奴と戦うのが苦手なのよ」
「フッ、そうか。正直に言うと俺もあの女よりもお前と戦いたいと思っていたんだ」
「それはよかった」
「改めて自己紹介と行こう。俺は『魔導騎兵 ジークフリート』だ、よろしく頼む」
「私はネリネ・クリシェールよ」

お互い自己紹介を終え、ネリネとジークフリートは自分の剣を強く握り構える。そしてレイナとカラミティはお互いに自分の銃を相手に向けて話していた。

「ここはあの二人の戦いで派手になる。私達は下りて戦わないか?」
「・・・・いいだろう、ジークフリートが本気になったら私も巻き込まれるかもしれないからな」

そう言って二人は渡り廊下を飛び降りて下にある中庭に着地し、ゆっくりと立ち上がる二人の女ガンマン。

「さて、始めるか、神竜隊一の拳銃使いレイナよ」
「いつでも構わない」





一方、北と東の高台を繋ぐ渡り廊下ではコンタがファイブセブンを二丁抜いて構えていた。彼の目の前には茜色の長髪をした少女が立っている。コンタと同じ位の年齢と身長に戦場には合わない赤と白のゴスロリドレスを纏う彼女は笑いながらクルクル回っていた。

「ウフフフフ♪貴方が月本コンタ君ね。思ったとおり可愛い♪」
「・・・・・・さっきから何なんですか?」

回るのを止めて笑いながら自分を見る少女に調子が狂うコンタ。ゆっくりファイブセブンを下ろして少女に尋ねた。

「その様子だと、君も魔人の一人ですか?」
「ええ、そうよ。私は『魔法少女 ウィッカ』、よろしくね♪」
「月本コンタです」
「フフフ、貴方の相手は私がしたいってずっと思ってたの。貴方可愛いし苛めがいが有りそうだもの」
「苛め、ですか。性格悪いですね」
「あ、り、が、と、う♪」

ニコッと笑ってコンタに礼を言うウィッカ。彼女は両手の拳を口元の持っていき右足を上げた、いわゆるぶりっ娘ポーズをとっている。そしてすぐにポーズを止めて両手を背中に回した。

「さて、じゃあ早速始めましょうか。時間も限られている事だし」
「そうですね。僕も早く君を倒してマサシ達と合流しないといけないんですから」
「私を倒す?君が?フフフ、それは無理よ」
「やってみないと分からないですよ」

そう言って再びファイブセブンを向けるコンタ。それと同時に両手をコンタに向けるウィッカ。





南の高台と城を繋ぐ渡り廊下。そこには鬼の仮を被った侍、タツノスケとシオンが刀とライトダガーを構えて見合っていた。

「まさか、アンタと戦う事になるなんてね」
「・・・・運が悪かったな」

タツノスケがそう言った瞬間に床を蹴りシオンに迫っていった。だがシオンは慌てずバックパックから呪符を取ってそれをタツノスケに向かって投げ、素早く呪文を唱え始める。

「界・陣・滅・罪・善!煉獄爆炎符(れんごくばくえんふ)!!」

投げた呪符はタツノスケの目の前で爆発。だがすでにタツノスケは居なかった。シオンは耳を動かし、何かを感じたのか咄嗟に振り向く。目の前に刀を振り下ろそうとするタツノスケがいた。それを見たシオンは瞬時に新たな呪符を取り出し再び呪文を唱えた。

「剛・連・印・立・対!霊滅結界符(れいめつけっかいふ)!!」

シオンの目の前に六角形の光の盾が現れてタツノスケの斬撃を止めた。

「ほぅ、止めたか。いい反応だ」
「お褒めにいただき恐縮よ」
「思ったとおりやるな、流石神竜隊の一人だ」
「私達は負けられないのよ、私達の肩にはラビリアの人達の未来が懸かってるんだから!」
「意志だけでは成し遂げられない事もあるのだ。それをお前達に教えてやろう。『鬼剣豪 タツノスケ』、参る!」

タツノスケは再び床を蹴りシオンへ迫った。シオンも同時に床を蹴ってタツノスケを迎え撃つのだった。





東と南の高台を繋ぐ渡り廊下の下の中庭ではユウタが息を乱してバジリスクを睨んでいた。そんなユウタを見ながらバジリスクはニヤニヤ笑いながら右腕をグルグル回していた。

「どうした?さっきから逃げてばかりじゃないか」
「お前の武器は体から分泌される毒だからな、うかつに近寄れないんだよ」
「お得意のチャクラム攻撃で戦えばいいじゃないか」
「お前の毒は金属も簡単に腐食させちだろう?前の戦いで思い知らされたからな。少しくらいは俺のやりたい様にやらせろ」
「まぁ俺達魔人の方が力は上なんだから仕方ねぇけどな」
「フン・・・・」
「だが、何時までもお前のペースに乗るほどこの俺、『猛毒覇者 バジリスク』様は優しくねぇぜ」

バシリスクは右手はゆっくりと胸の前まで持ってきた。すると、掌から濃緑色の液体が湧き上がるように出てきた。それを見たユウタは改めて気を引き締めるのだった。遂に神竜隊と魔人達の戦いが始まった。果たして神竜隊は勝てるのだろうか!?


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