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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第149回   第百四十八話 更なる増援 蘇った地獄の鉄人!

「何なんだ、アレは・・・・」

ラビリアンと虚無宇宙(ゼロスペース)を繋ぐ巨大な穴の中から突然姿を現した巨大な浮遊城を見て驚くマサシ達。その浮遊城こそが、エクス・デストロの本拠地、天空魔導城だ。中心に城があり、城の周りに四つの高台が前後左右に建っており、そして城を囲むように城壁がある。更に高台と高台を繋ぐ城壁の上には渡り廊下があった。天空魔導城はラビリアンには出ずに虚無宇宙側の穴の手前で止まった。

「マサシ、アレって、お城だよね?」

ジゼルが驚きながらマサシに問いかけると、マサシも驚きながら頷く。

「ああ、間違いないだろう。あそこから沢山のガーゴイルが出てくるのが見える」

ジゼルが眼を凝らして遠くに浮いている天空魔導城をジッと見る。確かに城壁に開いている小さな穴からもの凄い数のガーゴイル達が出てくるのが見えた。

「ホント、すごい数。しかも城壁のあちこちに大砲が付けられてる」

天空魔導城の城壁には無数の対空用の大型主砲が取り付けられている。形は戦艦などの取り付けられている砲身の長い大砲をイメージすると良いだろう。他にも無数の対空機銃、城というより要塞に近い。

「あんな物一体何時作ったんだ?」

天空魔導城を見ながらマサシが言うと、コンタが隣までやって来て話に加わってきた。

「流石は創造主を名乗るだけの事はあるね、短期間であんな城を造っちゃうなんて」
「アイツ等は虚無宇宙では神のような存在だからな」

マサシとコンタが敵の力の強大さを話しているとレイナが二人の下へやって来た。

「敵に感心している場合ではないだろう、目の前の敵に集中して戦え」
「そう、だったな・・・・」
「ゴ、ゴメン・・・・」

竜の姿で二人を注意するレイナと竜の姿で頭を少し下げて反省するマサシとコンタ。その光景をジゼルも竜の姿で汗を垂らしながら見ていた。それではユウタとシオンも同じ様に汗を垂らしながら見ている。

「何やってんだ?アイツ等」
「大方あの城を見て敵の力に感心したところをレイナに注意されてるんじゃないの?」

シオンの予想は的中していた。

「と言うより、あの姿で注意するレイナもどうかと思うぞ?」

地上の仲間のやりとりを見ているユウタとシオン。そんな二人にガーゴイル達はチャンスだと迫っていくが、ユウタがクルッと横に回転し尻尾でガーゴイル達を薙ぎ払った。

「話してる最中に襲ってくるな、卑怯者めっ!」

消えていくガーゴイル達を見ながら低い声で言うユウタ。その光景を見ていたシオンも向かって来るガーゴイルの群れに目を向けた。その時、シオンが危険を感じ、ユウタの方を向いて叫んだ。

「ユウタ、前よ!」
「!」

シオンの声に反応しフッと顔を上げたユウタは自分に向かって来る黄色い光を見た。咄嗟に回避行動を取ったため攻撃は当たらなかったが、間一髪だった。

「危ねぇ、間一髪だったぜ」
「大丈夫!?」

ユウタの隣まで飛んできたシオンは安否を尋ねる。するとユウタは何も無かったように冷静な声で言った。

「大丈夫だ、掠ってもいない」
「フゥ・・・・。さっきのって光線よね?」
「ああ、それもかなりの威力のある光線だ・・・・」

ユウタとシオンが光線の飛んで来た方角を見ると、その方角にはガーゴイルは一匹もおらず、左右による様に集まっていた。まるで何かが通るための道を開ける様に。そして虚無宇宙へ繋がる穴から一つの影が飛び出し自分達に向かって飛んでくる。二人は構えていつでも反撃できるように態勢を取る。そしてその影が二人の10m程手前で止まった。

「なっ!」
「ア、アイツ・・・・」

止まった影を見てユウタとシオンは驚いた。なぜならその影の正体は自分達が良く知っている「物」だったからだ。

「ウ、Urs(ウルス)・・・・」

そう、彼等の前に止まった「物」とはヘルデストロイヤーの軍事総責任者のロボット、Ursだったのだ。姿形だけでなく装甲の色や大きさも全く同じ、正に同型機だ。そしてその光景を地上から見ていたマサシ達も驚きを隠せないでいた。

「ど、どうしてアイツが・・・・?あたしとマサシが倒したはずなのに」
「多分アイツはUrsのデータを基に造られた同型のロボットだろう。しかも虚無宇宙へ繋がる穴から出てきたって事は・・・・」
「エクス・デストロの仲間って事だよね?」
「ああ、間違いないだろうな」

自分達が倒したはずのロボットがエクス・デストロの兵器として空に現れた。マサシとジゼルは新たな危機感を感じ始めた。だが、驚くのはまだ早かった。二人が空を見上げていた時、コンタが突然大声を出した。

「マ、マサシ!」
「どうした?」
「アレ!」
「ん?」

コンタの視線の先を見ると地上の穴から見覚えのある物が出てきた。なんとそれは今空を飛んでいるはずのUrsと同じ型のロボットだったのだ。

「何ぃ!こ、こっちからもUrsが!?」

マサシは驚きながら空の地上のUrsを何度も見比べた。空だけではなく地上からも倒したはずのUrsが現れた。流石のマサシもこれには驚いたような。

「一体どうなってるんだ、どうしてUrsが二体も・・・・」
「・・・・・・ッ!?」

マサシの隣で地上のUrsを見ていたジゼルが何かを見つけて驚きの表情を見せた。

「どうしたジゼル?」
「マ、マサシ・・・・ア、アレ」
「え?」

ジゼルが驚いたままUrsを指差しす。マサシはジゼルの指差す方向、つまりUrsの方をもう一度見た。すると、Ursの後ろ、つまり穴の中で何かが動いているのが見えた。マサシは目を凝らして穴の中をジッと見る。そしてすぐに自分の目を疑った、暗闇の中から現れたのは、なんとUrsだったのだ。それも一体や二体ではない、穴の端から端までと大量のUrsが一列に並んで出てきたのだ。

「ちょ、ちょっと待て、あんなの有りかぁ!?」
「Ursがあんなに沢山・・・・?」
「エクス・デストロが造ったUrsの量産型、だろうね・・・・」

信じられない光景に驚き叫ぶマサシ、大量のUrsを見て固まるジゼル、そしてUrsを短期間で開発、量産してしまう敵の技術に驚くコンタ。更に、Ursの量産型が現れたのは地上だけではない、空中でも大量の量産型がユウタとシオンの前に現れたのだ。

「まさか、こんなものまで用意していたとは・・・・」
「どうやら私達、とんでもない奴等を敵に回しちゃったみたいね・・・・」

ユウタとシオンが目の前の鉄人達を睨みながら話していると、量産型Ursの一体が右足の膝を曲げて二人に向けた。すると、膝の装甲が開き、そこから無数の小型ミサイルが発射された。

「ミサイルだと!」
「避けて!」

二人はそれぞれ別々の方向へ飛んでミサイルから離れた。だが追尾機能の付いたミサイルはグニャリと曲がって二人の後を追っていく。だが、二人もそんな事で慌てるような存在ではない。クルッとミサイルの方を向き直して、ユウタは大きく翼を広げ、シオンは両腕をミサイルに向けた。

「雷雲よ、敵を貫く刃となれ!雷鳴の剣、サンダーソード!!」
「仇名す敵を焼き尽くせ!フレイムショット!!」

二人は契約魔法をミサイルに向かって発動したのだ。ユウタの目の前に紫色の電気が集まりだし、それは次第に剣の形へと変わった。そしてその雷の剣をミサイルに向かって飛ばした。ミサイルはサンダーソードの電気に反応し次々に爆発していった。シオンの両手からは二つの火球が放たれてミサイルに命中し全てのミサイルを相殺した。

「こんなミサイルで俺達に勝てると思ったのか?甘すぎるぞ!」
「人間の姿の私達ならまだしも、竜の姿の私達ならアンタ達には負けない!」

そう叫んだ二人はUrs軍団に向かって飛んでいき、量産型Urs達もユウタ達に向かって飛んでいった。一方地上ではマサシ達が地上のUrs軍団と激戦を繰り広げていた。

「この野郎ぉ!」

マサシが長い尻尾で量産型Ursを三体薙ぎ払った。そして再び前を見ると、別の量産型Urs二体が額の黄色い石を光らせているのが見えた。

「アトミックレーザーか!」

一度Ursと戦ったことのあるマサシは敵がどの様な技で攻撃してくるのか直ぐに分かり高く飛び上がった。そしてマサシが立っていた場所に量産型Ursの黄色いレーザーが放たれ爆発し、地面に大きな穴が開いた。

「使う技も同じか、流石は量産型、だが、オリジナルのUrsと違って行動パターンが読みやすい。つまり・・・・」

マサシは独り言を言っていると、マサシの背後からさっき薙ぎ払った量産型Urs三体が鉄の翼を広げて飛び上がってきた。だがマサシは振り返らずに尻尾で一体の量産型Ursの足を取り、そのまま他の二体に向かって投げつけた。二体の量産型Ursはそのまま地上に向かって叩き落され、地面に激突した。

「つまり、本物よりも、弱い!」

そう叫びながら叩き落した三体の量産型Ursを見下ろすマサシ。だが量産型Ursはほとんどダメージを受けておらず何もなかった様に立ち上がった。そしてその姿を見てマサシは小さく舌打ちをする。その頃ジゼルも地上で量産型Ursと戦っていた。細い腕で量産型Ursにパンチを放ち一気に後ろに飛ばした。飛ばされた量産型Ursは後方にいた別の量産型Ursにぶつかりゆっくりと倒れた。

「フゥ、流石アストラル超合金、硬いわね。でも、今のあたしなら簡単にその装甲を破壊できるわ!」

ジゼルが左右から自分に同時に迫ってくる量産型Ursをチラッチラッと一瞬だけ見て大きく後ろに跳んだ。量産型Urs達はそのままお互いにぶつかりその衝撃で地面に叩きつけられるように倒れた。

「やっぱり、Ursと同じ姿をしていても本物とは全然違う、こっちの方が弱いわ」

マサシと同じことを言いながら倒れた量産型Ursを見るジゼル。そしてゆっくりと口を開いた。

「エターナルバースト!!」

口から桃色の光線を放ち、倒れている二体の量産型Ursを攻撃。二体はジゼルの最強の攻撃を受けて爆散した。

「やっと二体。まだ結構いるわね」

チラッと穴の方を見たジゼルは目を鋭くした。穴の方からゆっくりと歩きながらサンドリアに向かって進軍してくる量産型Ursを見て更に気を引き締めるのだった。

「くらえっ!」

ジゼルから少し離れた所ではコンタとレイナがUrs軍団と戦っている。コンタも尻尾でUrs軍団を薙ぎ払って量産型Urs達を倒していく。

「ハッ!」

コンタが一体の量産型Ursに長い体を巻きつけて動きを封じた。そして小声でブツブツ何かを言い出した。

「舞い上がれ、敵を捕らえて氷河に沈め!シルバーロヴィッシュ!!」

契約魔法の演唱を終えて名前を叫ぶコンタ。すると、コンタの体から沢山の冷気が吹き出て量産型Ursの体を凍らせていき、僅か数秒で量産型Ursは氷の彫刻の様になってしまった。そして巻きつけている体に力を入れて粉々に砕いてしまった。

「この分だと、まだまだ沢山出てくるかもしれないですね・・・・」

コンタもジゼルと同じ様にこちらに向かって歩いてくるUrs軍団を見て言っていると、彼の目の前を何かが通過した。フッと通過した物を見ると、それは胸の装甲に大きな罅を入れて倒れている量産型Ursだった。コンタは今度は飛んできた方向を見ると、握り拳を作り、大きな腕を突き出しているレイナの姿があった。どうやらパンチで量産型Ursを吹っ飛ばしたのだろう。

「凄いね、レイナ」
「お前もだろ?それに私はただパンチをしただけだ」

レイナがコンタを見ながら話していると、背後からビームソードを構えて量産型Ursが二体迫ってきた。だがレイナは慌てる様子も見せずに、背中を向けたまま目を閉じた。すると、背中から生えている先の尖った大きな岩が量産型Ursに向かって飛んでいき、二体の量産型Ursの装甲を貫き、そのまま地面に倒れて爆発した。

「男でありながら背後を取ろうなど、恥を知れ・・・・」
「アハハハ・・・・相手はロボットだし、言っても意味無いと思うよ?それに性別も無いし」

苦笑いをしながらレイナの方を見て感想を口にするコンタ。それからしばらく神竜隊はUrs軍団と戦っていたがなかなか数が減らない。神竜隊の顔にも少しではあるが疲れが出てきた。

「もう〜!一体何体いるのよぉ!」

ジゼルが何時まで経っても途切れる事無く現れるUrs軍団を見ながら言っていると、マサシがゆっくりと空から隣に降りてきた。

「・・・・・・」
「マサシ、そっちはどう?どれ位の敵を倒した?」
「・・・・・・」
「マサシ、どうしたの?」
「・・・・何かおかしいな」
「え?」
「エクス・デストロ(奴等)はどうしてこのタイミングでこのUrs軍団を出してきたと思う?どうせ使うなら最初から出せばよかったのに」
「え?それは、あたし達が黒騎士やガーゴイル達との戦いで体力を消耗させて一気に叩くつもりだったからじゃないの?」
「普通に考えたらそうだろうけど、ディアボロスだってそんな見えすぎた作戦を取ったりはしないだろう」
「確かに、貴方がいるんだからもっと単純な作戦は取ったりはしないよね。じゃあ、一体どうして・・・・」
「・・・・・・ッ!もしかして!」

量産型Ursと戦っている内にマサシは敵の出方に異変を感じ、そしてあることに気付いた。しかし、この時はまだ知らなかった。この後サンドリアに大きいな危機が訪れることを・・・・。


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