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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第148回   第百四十七話 異世界守護竜 降臨!

「「「・・・・解放!レベル・5!!」」」

空中と地上から奇襲をかけてきたエクス・デストロの軍勢。それを迎え撃つために出撃した神竜隊はライトシンフォニアの迎撃部隊が到着した直後に全力で戦うためにレベル・5を発動した。

「これ以上この世界の人達を傷つけさせてたまるかぁ!!」

マサシは叫びながら高くジャンプする。すると、マサシの体が光りだし徐々に姿を変えていく。そして光が消えた後、マサシの体が竜へ変わりゆっくりと地上へ下りて二本足で立った。純白の鱗に甲殻、長い首と竜尾、細い二本の腕から伸びる爪、そして大きな竜翼。頭から生える二本の光の角、後ろの伸びる銀色の髪。マサシは救済竜ライディーンへ姿を変えた。だが覚醒空間で会った時のライディーンとは違い身長は約4m、明らかに大きさが違う。

「ゼロビッグクランチなんて起させない!!」

ジゼルもマサシと同じ様に叫びながら高くジャンプした。そして体が光りだし姿が変わっていく、光が消え、そこには二本の足と細い腕、宝石の様に輝く竜翼、長い首と竜尾、後ろに伸びる一本の角、額には白く輝く宝玉。そして薄い黄色の鱗と甲殻に紅い眼をした竜、聖妃竜(せいひりゅう)アナスタシアの姿で着地した。大きさはライディーンと同じだ。

「この世界は貴方達のものではない!!」

コンタも跳び上がり体を光らせて姿を変えた。光が消えると、そこには青い鱗と甲殻を持つ水竜の姿があった。その姿は竜というより東洋の龍に近い、蛇と様に長い胴体から伸びる二本の腕、尻尾の先には水色の尾ビレ、背中には大きな背ビレ、顔は西洋のドラゴンに近い。小さなヒレがついており、口からは鋭い牙に後ろに伸びる五本の小さな角。大きさは長さで見ると約6mはある。これこそコンタの契約相手である海竜神リヴァイアサンだ。コンタはそのままゆっくりと宙に浮いて止まった。

「そうだ!お前達にこの世界を好きにする権利はない!!」

ユウタが高くジャンプすると体が光り、形は変わる。光が消えると、濃緑の甲殻に長い首、頭から後ろに伸びる二本の角、黄色く光る大きな眼。腕の部分から生える体を包むほどの大きな竜翼、足から生える鋭い爪、長い竜尾を持つ竜が現れて羽ばたきながら宙に浮いた。ユウタの契約相手、疾風竜ガルーダである。

「況してや世界を消すなんてもっての他よ!!」

シオンも続いて高く跳び上がった。体が光り形が分かる、光が消え、薄いオレンジ色の鱗と甲殻、竜翼、太い腕と足に先の尖った竜尾、長い牙と紅い四本の角、そして周りに炎を纏う竜となった。シオンの契約相手の炎精竜サラマンダーだ。シオンが足をつけると、その瞬間、足元の草花が自然に燃え、そのまま灰になった。

「ラビリアンの為にも、お前達を必ず倒す!!」

レイナが最後にジャンプして体を光らせた。形が変わり光が消えると、岩のようにゴツゴツした茶色の甲殻に太く長い腕とやや短めの太い足、背中からは先の尖った太く大きな二つの岩が角の様に伸びていた。翼は無いが、太く長い竜尾にも岩が沢山付いている。そして長い首と鋭い牙に青い眼を持つ竜が現れた。レイナが契約を交わした神竜、地脈竜グランディスだ。

「これが、俺達が神竜隊と呼ばれている理由だ!」

竜の姿となり大きな声を出すマサシの周りには自分と同じ位の大きさの竜が五匹、堂々と立ち並んだ。その光景を見たネリネや市松、ライトシンフォニアの傭兵達も興奮して叫びを上げる。それと同時に彼等の士気も高まった。

「す、すげぇ、あれが神竜隊の、契約者の真の力なのか・・・」
「竜が六匹も並んで俺達の前に立ってるなんて、一生に一度しかお目にかけれねぇぞ・・・・」
「俺、感動しちまった・・・・」

傭兵達が驚きと感動のあまりに声を漏らす。そして彼等の中でネリネと市松は、驚きはしたが冷静さを保っている。

「これが契約者の力・・・・」
「うむ、大きな代償と引き換えに得る力。レベル・5はその契約者に契約相手である魔物の姿と全ての力を解放する事ができるのだ」
「それでは、市松大佐もマサシ達と同じ様に全ての力を得る事ができるのですか?」
「ああ、私も一応レベル・5ではあるからな。だが、神竜隊の場合は少し違う」
「違う?」

ネリネは市松の言葉が気になり首を傾げて聞き返した。

「契約相手の魔物は三種類に分けられる。幻獣種、妖精種、神竜種の三種類だ。幻獣種は三種類の中でも身体能力を格段に高め、妖精種は魔力を大きく高める。そして神竜種は身体能力と魔力をバランス良く高めるのだ。しかし、神竜種だけは他の二種とは違い力だけでなく精神にも影響を与えるのだ」
「精神、ですか?」
「神竜種と契約を交わした者がレベル・5を発動して変身すると、契約者の精神に魔物の本能が影響を与え、好戦的な性格になるのだ」
「好戦、戦いを楽しむって事ですか?」
「まぁ、性格が変わると言ってもほんの少しだ。彼等が彼等でなくなるという訳ではない」

話が一段楽したのか、二人は再び神竜隊を方を見て、竜となった彼等の背中をジッと見た。その時、神竜隊は穴から出てきたエクス・デストロの黒騎士やガーゴイル達をジッと睨んでいた。神竜隊が竜になった事で戦闘が激しくなると感じたのか、ライトシンフォニアの空中部隊や地上の迎撃部隊はゆっくりと後退した。今、神竜隊の視界には敵の軍団と虚無宇宙(ゼロスペース)へ繋がる二つの巨大な穴だけが入っている。

「さてと、いっちょ派手にやるか!」
「待ってマサシ」

戦いを始めようとマサシは竜翼を広げるが、それをシオンが止めた。

「何だシオン?」
「アレを見て」

シオンが大きな竜の手で穴の方を指差した。マサシも指差した方角を見ると、地上の穴から何か巨大な怪物が出てきた。その怪物は二本足で立ち、細い腕から伸びる鋭い爪、そして長い尻尾に紅い巨大な眼と鰐の様な大きな口を持っている。大きさはマサシ達とほぼ同じ4m程だ。

「何だありゃ?」
「敵の増援だろな」
「しかも、一匹じゃないみたいだよ」

出てきた巨大な怪物を見ながら言うマサシに続いてユウタが口を開き、それに続いてコンタも穴を見て言った。コンタの言うとおり穴から怪物が何匹も出てくる。

「俺達がレベル・5を発動した直後に出てきた、という事は・・・・」
「アイツ等は変身したあたし達を倒すために用意された相手って訳ね」
「だろうな」

怪物を見てマサシとジゼルが自分達の考えを口にしする。どうやらディアボロス達はマサシ達がレベル・5を発動する事を読んで準備していたようだ。

「だけど、数だけでは俺達には勝てない、それを教えてやるぜ!」

マサシが叫ぶと、それを合図に六匹の竜は一斉に敵に向かって行った。マサシ、ジゼル、コンタ、レイナの四人は地上の敵を、ユウタとシオンの二人は空中の敵を迎え撃つ為に向かった。

「行くぞ!」

マサシが飛び上がり、大きな口を黒騎士の大部隊に向ける。すると、マサシの口の中に水色の光が集まりだした。

「消し飛べ!アストラルストリーム!!」

技の名前を叫んだ瞬間、口から水色の光線が放たれて黒騎士の部隊を飲み込んだ。黒騎士達は抵抗する間も無く黒い霧状となり消滅した。

「くらいなさい!エターナルバースト!!」

今度はジゼルが口を開いて別の黒騎士の部隊の方を向いた。そして口から桃色の光線が放たれ黒騎士の部隊に直撃した。こちらの黒騎士達も一瞬で全滅した。

「二人とも、派手にやり過ぎないようにね!あとはしゃぎ過ぎ」

コンタは穴から出てきた怪物の一匹の相手をしていた。怪物は鋭い爪をコンタに向けて走って来た。だがコンタは慌てる様子も見せずに素早く怪物の側面に回り込み、長い体を蛇が巻きつくように怪物の体に絡ませて怪物の動きを奪った。

「遅すぎですよ!アクアバニッシャー!!」

コンタも大きな口を開けて怪物の顔に向ける。そして口から水がもの凄い勢いで発射され、怪物の顔に直撃する。水が止まると、なんと怪物の首から上が無くなっている。水圧と水の勢いで顔が消し飛んだのだろう。頭を失った怪物の体は操り人形の糸が切れたかのように腕をダランと垂らし、霧状となって消えた。

「人の事を言えないだろ?お前も十分はしゃいでいる」

少し離れた所でレイナが太い腕をゆっくりと上げて向かって来る怪物達の方を見た。そして勢い良く腕を振り下ろした。

「切り裂け!ギガデザートブレード!!」

技の名を叫んだ瞬間、レイナの腕から砂の刃が怪物に向かって放たれる。砂の刃はマサシ達の横を通り過ぎ怪物に命中する。だが砂の刃はそのまま怪物を通過、そして怪物は真っ二つになり黒い霧となって消えた。

「お前も人の事言えないだろう、レイナ?」

マサシが怪物を楽々と倒したレイナを見て自分と同じ様に戦ってると言いたそうな顔をする。その様子を空中で見ているユウタとシオン。

「アイツ等、明らかに戦いを楽しんでるな」
「仕方ないでしょう?私達、神竜種と契約を交わした者は変身すると好戦的になるんだから」

戦いを楽しんでいるマサシ達を見て少し呆れるような顔をするユウタとそれをかばう様に言うシオン。その時、大勢のカーゴイルが二人に襲い掛かってきた。

「ん?」
「「「ギャギャーーッ!!」」」

鳴き声を上げながら武器を構えて襲い掛かってくるガーゴイルをチラッと見るユウタはガーゴイル達の方を向いて大きく竜翼を広げた。

「フッ、お出でなったな!メガソニックブーム!!」

竜翼を羽ばたかせて巨大な真空波をガーゴイルの群れに向かって波なった。真空波はガーゴイルの群れを通り過ぎ、ガーゴイル達を切り裂いてバラバラにする。切り裂かれたガーゴイル達はそのまま霧状となった。

「ふぅ、好戦的なったのはマサシ達だけじゃないわよね?」

シオンはユウタの戦いを見て、彼も好戦的になってと口にしながら自分に向かって来る別のガーゴイルの群れを見る。

「まぁ、私も同じだけどね!フラムバースト!!」

シオンは口から赤い火球を連射で放ちガーゴイル達を攻撃した。火球はガーゴイル達に直撃し、大爆発を起して周りにガーゴイル達も巻き込み霧状となった。戦いを楽しんでいる神竜隊の姿を見ているネリネ達は少し恐怖を感じていたが、彼等が味方であるという心強さのほうを強く感じていた。





その頃、虚無宇宙に浮く巨大な城の中にある謁見の間では、ディアボロスが玉座に座りながら壁に付けられている大型モニターで外の戦いの様子を見ていた。

「タツノスケの報告どおり、マサシとジゼルが新しい力を得ていたか・・・・。奴等がいなければ少しは楽にラビリアンを攻略できると思ったのだがな。全く、目障りな奴等だ」
「ウソばっかり、本当はまたアイツ等と戦えて嬉しいくせに」

玉座の隣でルシフェルが玉座に凭れかかる様な態勢でモニターを見ながら言った。

「フフフ、それはお前も同じだろう?」
「ええ、勿論よ。ジゼルをこの手で殺せると思うとゾクゾクしてきちゃうわ」

マサシ、ジゼルの二人と全く同じ顔で不気味な笑みを浮かべるディアボロスとルシフェル。そしてその笑みの下には彼等のマサシとジゼルに対する大きな殺意と殺戮を楽しむ喜びが隠されていたのだ。その時、謁見の間に誰かが入室してきた。六人の魔人達だ。

「ディアボロス様、ルシフェル様、対空迎撃装備及び鉄人部隊の起動準備が整いました」
「そうか、いよいよだな」

水色の長髪のカウガールから報告を聞いたディアボロスはゆっくりと立ち上がった。魔人達も一列に並びディアボロスの顔をジッと見る。

「だが地上の生物兵器や制圧部隊の大半がやられてしまった。ルシフェル、奴等が虚無宇宙に侵入して来た時のことも考えて親衛隊も待機させておけ」
「分かったわ」
「さて、そろそろ『コイツ』を外に出すとするか」

ディアボロスはそう言って床をトントンと軽く踏んだ。その姿を見てタツノスケが一歩前に出た。

「遂にこの『天空魔導城』をラビリアンへ向けて動かすのですか?」

タツノスケが口にした天空魔導城、恐らく今ディアボロス達がいるこの城の事だろう。タツノスケの質問を聞いたディアボロスは軽く首を横に振った。

「いや、入口の少し前で止める、ラビリアンに出てしまったら前と側面の三方向から一斉に攻撃を受けてしまうからな」
「つまり、穴の前で止まり攻撃を受ける方向を前だけに絞ると?」

タツノスケが再び質問をするとディアボロスは腕を組みタツノスケの方を向きながら話を続ける。

「それだけではない」
「穴の前で止まるという事は、敵の攻める場所も一点に絞らせるという事。こちらにとって非常に迎撃しやすい状態になるという事よ」

ディアボロスの隣でルシフェルが彼の言葉を継ぐように話を続ける。それを聞いた魔人達も自分達が有利になるという事を知り笑みを浮かべた。そしてディアボロスも笑みを浮かべて腰に納めてあるBX(ブラックエクスカリバー)を抜いて掲げた。

「さて、奴等に自分達が相手にしているのがどれだけ強大な力を持つ者なのか、自分達の考えがどれだけ甘いのかを教えてやるとしよう!・・・・天空魔導城、出陣!!」

ディアボロス叫んだ瞬間に謁見の間が揺れ、天空魔導城が動き出した。遂にディアボロス達の本拠地である天空魔導城が最前線へ向かって出陣した。この時マサシ達はまだこの天空魔導城、そして謎の部隊、鉄人部隊がどれ程恐ろしいのかを知る由もなかった。





ラビリアンでは神竜隊が今も侵攻してくる敵軍を足止めしていた。

「クソッ!切りが無いぜ!」
「一体どれだけいるんだ!?」

ユウタとマサシが空と地上の両方か途切れる事無く攻めて来る敵に大軍を見ながら言った。巨大な二つの穴からは今も敵が出現し自分達に向かって来るのだ。

「こうなったら、直接敵の本拠地を叩きに行ったほうがいいんじゃ・・・・」
「ダメだ、そんな事をしたらサンドリアの守りが一気に弱くなる。この数をライトシンフォニアとサンドリアの主力部隊だけで防ぐのは無理だ」

コンタの提案をレイナが静かに反対した。実は今サンドリアにいるライトシンフォニアの戦力はラビリアンに来た時の戦力の二割ほどしかない、他の戦力は他国の防衛に向かわせているのだ。

「それにヘルデストロイヤーとの戦いでもかなりの被害が出た、今のライトシンフォニアではサンドリアの主力部隊と合流しても長くはもたない」
「・・・・・・じゃあどうすれば」
「皆、アレを見て!」

ジゼルが何かを見つけたらしく、神竜隊はジゼルの見ている方を見た。すると、空に開いている穴の中からあの天空魔導城が姿を見せたのだ。それを見た神竜隊、ライトシンフォニアの傭兵達は言葉を失った。そしてこの後戦いは更に激しさを増すのだった。


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