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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第147回   第百四十六話 エクス・デストロ奇襲!サンドリアを守れ!

遂に始まったエクス・デストロとラビリアン連合軍との戦争。突然空に開いた巨大な穴、その穴の向こうにはディアボロスとルシフェルの世界である虚無宇宙(ゼロスペース)に繋がっていた。そして開戦と同時に穴からもの凄い数の魔物がラビリアンに侵攻してきたのだ。しかし、マサシがそれを予測していたため、すぐにライトシンフォニアの部隊が迎撃に動く事ができ、敵を食い止める事ができた。

「よし、皆!サンドリアの主力部隊が来るまで俺達で敵を食い止めるんだ!」
「「「了解!」」」

マサシの号令に一同が声を揃え、神竜隊は一斉に城外へ向かって走り出した。城の外へ出た時、町の外の方から煙が上がり爆音が聞こえる。マサシが再び双眼鏡を取って覗き込むと、町の外でエクス・デストロの魔物とライトシンフォニアの空中部隊との戦闘が行われている。ハインドやイーグルが機関砲で次々に魔物達を撃ち落していく、が魔物達もコックピットを攻撃し、空中部隊を次々に落とされていく。勝負は五分五分といったところだ。

「凄い事になってる、急ごう!」
「うん!」

マサシとジゼルが走り出そうとした時、ユウタがそれを止める。

「二人ともストップ!」
「ん?何だ?」
「足で行くよりこっちで行こうぜ」

ユウタがそう言って城の入口前に止めてある装甲車を指差した。

「こっちの方が早いだろ?」
「そうだな。よし!皆、乗り込め!」

マサシ達は装甲車に乗り込み、もの凄い速さで走らせて町の外へ向かった。そして神竜隊が町の外へ着いて装甲車を降りると、目の前には敵の攻撃で落とされたハインドやイーグル。そして撃ち落された魔物の死体があった。墜落したハインドやイーグルからは炎と煙が上がっていた。

「もうこんなに酷く・・・・」

光景を目にしてジゼルは悲しそうな目し、他の神竜隊員達も同じ様な目をした、その時。

「ギギャーーーー!!」
「「「!!」」」

突然聞こえてくる人間の物とは思えない高い泣き声。神竜隊がフッと上を見ると、蝙蝠の様な翼を生やし、一本の角を生やした鬼のような魔物が頭上から剣を握って襲い掛かってきた。姿からして、ガーゴイルと言ったほうがいいだろう。

「避けろ!」

マサシの言葉に神竜隊全員はバラバラの方角へ跳んでガーゴイルの攻撃を回避した。そして回避した直後にマサシはガーゴイルの方を向き、左手をガーゴイルに向けた。

「天の使いよ、闇を打ち消す閃光を化の者に放て!ライトニングボール!!」

手に平から白い光弾が放たれガーゴイルに命中。ガーゴイルの体は黒い霧状となり消滅した。

「低級の魔法で一撃とは、魔力もかなり上がってるな」

覚醒空間での修練、そしてその後のエミリアの修行のおかげでマサシの力は以前とは比べ物にならないくらい上がっていた。しかし力が上がってるのはマサシだけではない。

「マサシ、上を見て!」
「!?」

コンタの声を聞き空を見上げると、ガーゴイルの群れがマサシ達目掛けて急降下してきた。

「来やがったな!」
「数は・・・・13」

チャクラムを取って構えるユウタと数を数えてSAAを抜くレイナ。二人が攻撃を仕掛けようとしたその時、ガーゴイルの一匹が突然爆発した。

「「!」」

突然の爆発に驚いたユウタとレイナが振り返ると、そこにはライトダガーを構え、呪符を持つシオンの姿があった。

「お先に失礼♪」

シオンは呪符をガーゴイル達に向かって投げつけ、呪文を唱え始めた。

「界・陣・滅・罪・善!煉獄爆炎符(れんごくばくえんふ)!!」

唱え終えた瞬間、呪符は大きな爆発を起してガーゴイル達を巻き込んだ。爆炎に飲まれたガーゴイル達は地面に落ちてそのまま霧になって消滅した。

「凄い、以前の符術とは全然違う。エミリア様の修行のおかげでこんなに強くなったんだ」

シオンが強くなった自分に驚いていると、爆炎に飲まれなかった別のガーゴイルが剣を握ってシオンに襲い掛かって来た。気付いたシオンは慌てる様子も見せずにライトダガーを構えて新しい呪符を取ろうとバックパックに手を伸ばす。すると、自分に向かって迫ってきたガーゴイルが何かに弾き飛ばされたように横へ飛ばされ、そのまま黒い霧になった。

「!」

シオンが右を向くと、ファイブセブンを右手に持ち小さく笑うコンタがいた。

「油断ですよ、シオン姉さん」

そんなコンタを見てシオンも自然と笑みを浮かべて言った。

「油断はしてないわ。でも、ありがとう」
「素直じゃない・・・・」

コンタが話していると、彼の背後から別のガーゴイルが斧を持って迫ってくる。だがコンタは軽くジャンプをしてクロッとガーゴイルの頭上で一回転し、ガーゴイルが自分の下を通過する無防備な背中を狙いファイブセブンを撃った。

「グギャアッ!」

銃撃を受けたガーゴイルは地面に叩きつけられる様に倒れ霧状になって消えた。

「ありませんね、姉さんは」

さっきの言葉の続きを言いながらコンタは華麗に着地した。すると、今度は右から数匹のガーゴイルがコンタに迫ってくる。コンタは軽く後ろに跳びながらファイブセブンの引き金を連続で引いた。銃口から吐き出された弾丸は全てガーゴイルの眉間を撃ち抜き、ガーゴイルは全て黒い霧と化した。

「フゥ・・・・」

一度軽く息を吐いてコンタはファイブセブンを下ろしてガーゴイル達の方を見た。最初は13匹だったガーゴイルも既に4匹となっている。すると、ガーゴイル達の後ろから別のガーゴイルの群れが近づいてくるのが見えた。

「うわぁ、あんなに沢山・・・・」
「戦いは始まったばかり、まだまだ来るわよ、気を引き締めて!」
「ハイ!」

シオンに気合を入れられて再び銃を構えるコンタ。その瞬間、最初にいたガーゴイル4匹が自分達の武器を構えてシオンとコンタに向かって飛んで行く。二人は迎撃態勢に入るが、その直後に4匹のガーゴイルは胴体を何かに切断されて真っ二つになった。

「え?何?」

突然の出来事に少し驚くコンタ。すると前の方から声が聞こえてきた。

「俺達を忘れるなよ」
「全くだ」

コンタとシオンが前を見ると、そこにはチャクラムを両手の人差し指で回すユウタとゴールドエングレーブとSAAと普通のブラックパウダーのSAAの二丁を構えるレイナがいた。

「私達を忘れて戦いに没頭するのは良いが・・・・」

レイナが振り返り向かって来るガーゴイル達にSAAを連射した。弾は全てガーゴイルの額に命中し攻撃を受けたガーゴイル達は落下しながら霧となった。そして全ての弾を撃ちつくしたレイナは後ろの跳んだ。それと同時に今度はユウタがガーゴイル達の方を向いて回していた二つのチャクラムを投げつけた。

「ダブルロードリング!!」

ユウタの投げたチャクラムは水色に光りだしガーゴイルの群れの中に入り次々にガーゴイル達を切り裂いていく。すると今度はブーメランの様にUターンし、再びガーゴイル達の切り裂いていった。そしてチャクラムがユウタの指に戻って来た時、ガーゴイルの群れの約七割が黒い霧状に変わっていた。ユウタが振り返ってコンタとシオンの方を向き、レイナも新しい弾を装填し終えて二人の方を向いて口を開いた。

「没頭するのは良いが、私達の存在を忘れて作戦を失敗したりなどはするなよ?」
「同感だな」

二人の言葉には少し冷たい所もあるが、コンタとシオンはユウタとレイナが自分達を心配して、そして信じて言ってくれた事だと知っていた。二人は何も言わずに笑いながら頷く。そんな時、ガーゴイルの群れの残りが泣き声を上げながらユウタ達に迫っていく。四人が武器を構えて再び攻撃しようとした次の瞬間、何処からか巨大な青い刃が放たれガーゴイルの群れに直撃し大爆発を起した。その攻撃により残りのガーゴイルは全滅し消滅した。ユウタ達が青い刃の飛んで来た方向を見ると騎士剣を抜いて立っているネリネの姿があった。

「私の事も忘れないでよ?私だって神竜隊の一人なんだから」

小さく笑って言うネリネ。そう先ほどの巨大な青い刃はネリネのブルーズソニックだったのだ。しかし、彼女も以前の彼女とは違い格段に強くなっている。さっきの巨大なブルーズソニックがその証拠だ、しかもそれは聖天使人の力を解放していない状態で放たれた刃、解放状態で放ったらどれ程の力になるのだろうか。

「フッ、悪かった」

ユウタが笑いながらネリネに謝ると、ネリネも微笑みを返した。そして五人の下にマサシとジゼルもやって来て神竜隊は合流し空に開いた巨大な穴をジッと見た。穴からガーゴイルが次々に出てくるのが見える、数はどんどん増えていき途切れる事がない。

「まだあんなにいるのか・・・・」

マサシがガーゴイルの数を見て舌打ちをしていると、ジゼルがあることに気付いた。

「マサシ、あれを見て!」
「ん?」

マサシがジゼルの指差した方を見ると、マサシ達から約1K離れた所に小さな黒い物体が現れた。だが、よく見るとそれは物体ではなく、虚無宇宙へ繋がる穴だった。

「あ、あれは!」
「空だけじゃなくて地上にも穴が!」

突然開いた穴に驚いて声を上げるマサシとジゼル。穴は徐々に大きくなり、東京ドームほどの巨大な穴へとなった。

「デ、デカイ」
「あんな大きな穴を開けることができるなんて」
「ディアボロスとルシフェル、奴等は私達の予想以上の力を秘めているようだな」

巨大な穴を簡単に開けてしまうディアボロスとルシフェルの力に驚くユウタ、シオン、レイナの三人。そんな時、今度はコンタが穴を指差した。

「皆!穴から何か出てくるよ!」

コンタの声を聞きマサシ達が穴を見た。穴からは黒い甲冑とアーメット、黒いマント、そして腰に騎士剣を装備した大勢の騎士がまるで軍隊の行進するように並んで穴から出てきたのだ。

「な、何アイツ等!?」
「多分エクス・デストロの地上部隊でしょうね。数はざっと見て10000はあるわ」

穴から現れた敵兵を見て驚くコンタと、隣で敵を見て騎士剣を強く握るネリネ。すると町の方から何か聞き覚えのある音が聞こえてきた。マサシ達が振り返ると、大勢のライトシンフォニアの傭兵、そして90式戦車がこちらに向かってやって来た。どうやら増援のようだ。

「増援だ!」
「助かったぜ、いくら俺達でも空と地上の両方を相手にするのはしんどかったからな」

増援が来てくれた事で本音を口にするマサシ。90式戦車がマサシ達の横を通過し、少し前で一列に停車した。マサシ達がその光景を見ていると一台の軽装甲機動車がマサシ達の近くで止まった。ドアが開き、中から見覚えのある男性が出てきた。それはパラメドラで一度会った事のあるライトシンフォニアの幹部の市松カズオだった。

「遅くなったな」
「市松大佐!」
「秋円大尉、しばらくだな」
「ハイ」
「ジゼル、君も元気そうで安心した」
「お久しぶりです」

市松は二人の前まで歩いて順番に握手をした。市松も契約者であるため、新しく契約を交わしたマサシとジゼルの事を忘れていなかったのだ。握手をし終わると、市松はチラッとネリネを見て再びマサシとジゼルの方を向き直した。そしてネリネは突然自分の顔を見た市松に首を傾げる。

「君達の事は社長から聞いている、新しく契約を交わしたらしいな?」
「・・・・ハイ」

小声で話しかけてくる市松に小声で返事をするマサシ。

「という事は、契約者ではないネリネは・・・・」
「ハイ、あたしの事を忘れています・・・・」
「そうか・・・・」

少し寂しそうな声で話すジゼルに同情したのか市松も少しだけ寂しそうな声で言った。

「あの、市松大佐。あたしの事は、姉さんには・・・・」
「ああ、心得ている、黙っておく。知らない方が幸せな事も沢山あるからな」
「ありがとうございます」

自分の頼みを聞いてくれた市松に礼を言うジゼル。そして市松は寂しそうな声をいつもの声に戻して言った。

「さて、これより我々はサンドリアの主力部隊が来るまで君達に代わり地上部隊の迎撃にあたる。君達はこの後の戦いに備えて体を休めてくれ」

市松が神竜隊に体を休めるよう言うと、マサシが目を閉じてゆっくりと首を振る。

「いいえ、俺達はまだ大丈夫です。なぁ皆?」

マサシが振り返るとジゼル達がゆっくりと首を縦に振った。

「もう少しだけ、俺達にやらせてください」
「ん?どういう事だ?」
「まぁ、見ててください!」

そう言ってマサシが市松の横を走って通過し、戦車隊の横も通過して敵に向かって走り出した。それに続いてジゼル達も走り出した。

「お、おい!君達」

敵に向かって走って行く彼等の無謀な行動を見て市松が止めようとするが既に神竜隊は声の届かない所まで走っていた。

「よし、皆、打ち合わせどおりに行くぞ!」
「「「了解!!」」」
「よっしゃっ!行くぞ・・・・!」
「「「・・・・解放!レベル・5!!」」」

マサシの合図に続いてネリネ以外の神竜隊員達が一斉にレベル・5を発動した。サンドリアに開いた空と地上の二つの穴、そしてその穴から出てくる大勢の敵。マサシ達はこの状況を乗り越えられるのか!?


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