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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第144回   第百四十三話 修練達成! 光の剣と命の籠手

黒い自分達に必殺の一撃を放ったマサシとジゼル。黒いマサシと黒いジゼルは空から地上へ叩きつけられ、動かなくなる。その光景を空から見下ろす二人はゆっくりと降りて大地に足をつけた。

「勝ったの、かな?」
「まだ分からない、確かめてみないとな」

着地した後、マサシとジゼルは武器を取り、構えて倒れている黒い自分達に近づいていく。だが辺りは煙が充満していてよく見えない。二人が煙の中を警戒しながら進んで行き、そして目の前まで近づいた。

「「・・・・・・」」

倒れている黒い自分達を見てマサシとジゼルは鋭い目でジッと見る。そして煙が完全の消えて太陽の光が四人を照らした。そして二人はゆっくりと背を向けてその場を立ち去ろうとした、その時、黒いマサシと黒いジゼルが突然立ち上がりマサシとジゼルに襲い掛かった。だが、マサシとジゼルはクルッと振り返り白龍刀とメタトロンでカウンターをする。まるで不意打ちを読んでいた様に。

「「!!!」」

突然のカウンターに驚きながら攻撃を受ける黒いマサシと黒いジゼルは体が黒い霧状に変わっていき、完全に消滅した。

「消えていく・・・・」
「これで本当に俺達の勝ち、最後の修練をクリアしたんだ」
「・・・・・・やったぁー!!」
「うわぁっ!」

ジゼルは嬉しさのあまりマサシと飛びつき彼を押し倒した。

「お、おい、ジゼル!」
「やったぁ!これであたし達レベル・5になったんだよね!」
「あ、ああ。そうだな・・・・」

少し顔を赤くしながらジゼルを見て微笑むマサシ。そしてそんな二人の下に二匹の子竜が飛んできた。

「驚いたよ、まさか四日で全ての修練をクリアしちゃうなんてさ」
「しかも最後の修練は二度目の挑戦を無傷でクリアしちゃったなんてね」

倒れている二人を低空飛行で見下ろすユグドラとシルドラは驚いていた。

「これで俺達はレベル・5になった、ディアボロスとルシフェルと戦う力を得たんだよな?」
「ああ」

マサシがユグドラに尋ねるとユグドラは頷く。マサシとジゼルは立ち上がり飛んでいるユグドラとシルドラを見る。

「ありがとな、お前達のおかげで俺達は力を手に入れる事ができた」
「うん、本当にありがとう」

二人は頭を下げて水色と桃色の子竜に礼を言う。

「よしてくれよ、オイラ達はライディーン様に言われてやったんだ。礼を言われるような事は何もしていない」
「それに、レベルを上げたのはアンタ達の実力さ、アタイとユグドラはただ見守っていただけだよ」
「それでも貴方達にお礼を言いたいの」
「ああ、ありがとう」

顔を上げて笑いながら再び礼を言うマサシとジゼルを見てユグドラとシルドラは少し顔を赤くした。

「う・・・・ま、まぁ、お前達がどうしても礼を言いたいって言うなら・・・・」
「仕方ないね・・・・」

照れながら二人を見て背を向けながら言う二匹の子竜。そんな二人を見てマサシとジゼルは思わず吹いてしまった。

「フフ、何それ?恥ずかしがらずに素直になったら?」
「う、うるさいな!」
「ハハハハ」
「わ、笑うなよマサシ!」

二人と二匹が話をしていると、闘技場内に最初に聞こえてきた低い男の声が再び聞こえてきた。

「よくぞ乗り越えた、神竜に選ばれし者達よ・・・・」
「この声って・・・・」
「ああ、最後の修練を始める前に聞こえてきた・・・・」

声に反応し空を見上げるマサシ達。低い男の声はそのまま話し続けた。

「汝等は新たな力を得ると同時に闇を打ち消すもう一つの力を得る資格を得た・・・・」
「もう一つの力?」
「何なのそれって?」

ジゼルがユグドラとシルドラに尋ねると、二匹は首を振った、どうやら知らないようだ。

「受け取るがよい、闇を打ち消す力を・・・・」

声が消えた直後に、突然空から二つの小さな光球が降りてきて白龍刀とメタトロンに吸い込まれるように入った。すると、白龍刀とメタトロンが強い光を放ちみるみる形を変えていく。

「こ、これは・・・・」
「何?」

驚くマサシとジゼル。ユグドラとシルドラも驚いていた。そして白龍刀は日本刀から白い刀身の騎士剣に変わり、メタトロンはトンファーから銀色の籠手に変わった。

「刀が剣に変わった」
「あたしのトンファーは籠手に変わったよ」

自分達の武器が姿を変えた事に驚きを隠せない二人。そして再び低い男の声が聞こえてきた。

「それこそ、闇を打ち消す汝等の新たな力、『聖竜の剣 アロンダイト』『天命の籠手 ブリュンヒルド』
「新しい武器、か」
「何か特別な力が宿ってるのかな?」
「それは分からないね、実際戦いで使ってみないとね」

二人の武器を見ながらユグドラが言う。そして再び低い男の声が聞こえた。

「汝等はこれで全ての修練を乗り越えた、その新たな力で世界を破滅へ導き者達を倒すのだ・・・・」

その言葉を最後に、声は聞こえなくなった。そしてマサシとジゼルはお互いの顔を見た。

「これであたし達はディアボロスとルシフェルの二人と戦う事が、ラビリアンを守る事ができるんだね」
「ああ、と言うか、アイツ等に勝てるのは俺とお前しかいないだろう。元々アイツ等は俺達自身なんだから」
「あの二人の相手は力と性格を知っているあたし達が最適ってことだね?」
「そのとおり」

ディアボロスとルシフェルに勝てるのは自分達しかいない、そう自分達に言い聞かせるように話す二人。そんな時ジゼルがフッとある事に気付いた。

「そう言えば、この後どうするの?予定より早く修練が終わったけど・・・・」
「確かライディーンとアナスタシアは五日経てば強制的に外に出されるって言っていたな。多分明日までは何があっても出られないだろうな」
「ええっ、じゃあどうするの?」
「明日までこの空間で特訓か、休息かのどっちかをするしかないな」
「そうね、この新しい武器を扱う感覚を掴まないといけないしね」
「ああ」

そう言ってマサシはユグドラとシルドラの方を見て笑いながら言った。

「という訳で、あと一日世話になるぜ」
「ああ、そう言うと思ったよ」
「ゆっくりしてきな」

マサシという事を予想していたのかユグドラとシルドラは嫌な顔一つせずに頷いた。そして二人と二匹は来た道を戻って行った。





同時刻、ラビリアンでも地球でもない全く別の世界、虚無宇宙(ゼロスペース)の中心に一つの巨大な物体がある、いや、浮いていると言ったほうがいいだろう。その物体とは、宙を浮く巨大な城だった。そしてそのいたる所には大砲や機銃などが取り付けられている、まるで要塞の様な城だ。その城の一室では茶色い髪と赤い目をしたマサシと瓜二つの男と銀色のツインテールをしたジゼルと瓜二つの女が並んで椅子に座り紅茶を飲んでいた。そう、ディアボロスとルシフェルだ。

「ラビリアンの連中はどう動いてる?」
「あたし達の世界に賛同できないみたいよ、各国で戦いの準備を進めているわ」
「フッ、やはりな」

ルシフェルからの報告を聞いたディアボロスは紅茶を一口飲んで長方形の机にカップをゆっくりと置いた。ディアボロスが前を見ると、目の前には机を囲むように座っている五人の人物がいた。そう、彼等こそディアボロスとルシフェルの直属の部下、魔人である。ディアボロスから見て右にはあの鬼の面を付けた侍タツノスケと、水色の長髪の女が座っている。その女はまるで西部劇に登場するカウボーイの様な姿をしている。いや、カウガールと言った方が良いだろう。

「地上主力部隊の編成は整いました」
「城の対空迎撃装備の整備もあと僅かで完了します」
「そうか」

タツノスケから部隊編成、女ガンマンから城の整備の事を聞き目を閉じて返事をするディアボロス。今度は左側の方に目をやると、前からあの毒の使いバジリスクが座り、その隣には茜色の長髪をした少女が座っていた、外見はコンタと同じ位で赤と白のゴスロリドレスを身に纏っている。そしてその隣には茶色の全身甲冑(フルアーマー)を装備している騎兵が座っており、前に向かって伸びている二本の角が付いた仮面を被っている。

「そっちの方はどうだ?」
「ハイ、生物兵器、そして例の鉄巨人部隊の準備も終わっています」

バジリスクが自分に任されていた仕事の状況をディアボロスに説明していると、その隣に座っている少女が紅茶を飲みながらクスクス笑いだした。

「フフフフ♪それにしてもバジリスクも物好きよねぇ。あんな弱い神竜隊を生かしておくなんて♪」
「ああ、なぜ奴等に解毒剤を渡してそのままにしておいたんだ?」

少女の隣に座っている騎兵も話しに加わってきた。するとバジリスクは腕を組んで二人の方を見た。

「ここでアイツ等を仕留めてしまったら楽しみの一つが消えてしまう。それにもし俺がアイツ等を殺したらお前達も文句を言ってただろう?」
「そうだな、言ってたかもしれん」
「ていうか、間違いなく言うわね♪」

騎兵と少女が小さく笑いながら納得する。するとそのすぐ後にディアボロスが口を開いた。

「こちらの準備は粗方整った。あとは期限の日が近づくのを待つだけだ」
「そして、ラビリアンの各国の王様の返答を聞き、あたし達の申し出を断った場合は・・・・」
「宣戦布告と判断し・・・・」
「「総攻撃!」」

最後にディアボロスとルシフェルが声を揃えて自分達の目的を口にする。そしてゆっくりと立ち上がるディアボロスとルシフェルを見て五人の魔人が全員立ち上がる。

「各自、引き続き自分達の任務にあたれ。・・・・それとタツノスケ」
「ハイ」
「マサシとジゼルの居場所は分かったのか?」
「申し訳ありません、今だ発見できておりません」
「そうか・・・・」
「一体何処に居るのかしら?」

マサシとジゼルが覚醒空間に居る事を知らないディアボロスとルシフェルはタツノスケに姿を消した二人の捜索を任せていたのだ。しかし数日経っても見つからずディアボロスとルシフェルも流石に気になるのだろう。

「捜索範囲を広げますか?」
「いや、これだけ探して見つからないとなると、これ以上の捜索は無意味だろう。お前はバジリスクと同じ様にラビリアンのヘルデストロイヤーの残党の始末にあたれ」
「承知しました」

ディアボロスとタツノスケの会話を最後に五人の魔人は体を黒い霧状に変えてその場から消えた。残ったディアボロスとルシフェルは再び椅子に座って紅茶を口にする。

「何処に行ったのかしら。マサシとジゼル?」
「恐らく、ラビリアンには居ないだろう」
「じゃあ地球に帰ったとか?」
「それも無いだろうな。アイツ等の性格だ、俺達がラビリアンに現れた原因が自分達にあると知れば必ずラビリアンに残るはず」
「・・・・いずれにせよ、こちらも何か手を打たないといけないって事ね」
「そうだな」

マサシとジゼルの事を考えながら紅茶を飲み干したディアボロスとルシフェルは部屋を後にした。全ての修練を終えたマサシとジゼル。そして新たな動きを見せるディアボロスとルシフェル。ラビリアンで起きようとしている光と闇の戦いは徐々に近づいてきている。


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