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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第127回   第百二十六話 墜落へのカウントダウン!

世界の消滅と創造という計画を言い放つディアボロスとルシフェル。そしてブリッジに戻って来たエミリアとゾーク。ブリッジに重い空気が漂いだした。

「・・・・これが俺達の目的だ」

エミリアとゾークがブリッジにやって来た事で一から自分の正体の計画を話すディアボロス。そしてそれを黙って聞いているマサシとジゼル、そしてエミリアとゾーク。

「つまり貴方達はこの世界を自分達の住みやすい世界に造り替えてその世界の支配者になろうと言うのですね?」

エミリアが自分の考えを訊くとルシフェルがゆっくり首を振った。

「いいえ、違うわ。支配者じゃなくて創造主よ」
「私には同じに思えるがな・・・・」

エミリアの隣でゾークが腕を組みながら言うと、ルシフェルが笑いながらゾークを見て言った。

「同じじゃないわ、貴方がなろうとしていた支配者はあくまでその世界を支配するだけの存在。でも、あたしとディアボロスがなろうとしているのは世界そのものを自由に造れる存在、つまり神様よ。貴方の目的とは格が違うわ」
「フン・・・・」

ゾークを見下す様に言うルシフェル。だがゾークは軽く流して目を閉じた。すると今度はエミリアが口を開いた。

「それで、貴方達はこれからどうするのですか?もし、マサシとジゼルを殺すと言うのならば、私とゾークがお相手しますが?」

そう言って大剣を構えるエミリアとゾーク。二人はマサシとジゼル、そしてディアボロスとルシフェルの間に入った。

「・・・・・・なぜだ?」
「ん?」

突然背後から話しかけてくるマサシに気付いてゾークはチラッとマサシを見た。

「なぜお前が俺達を助けるんだ?」
「勘違いするな。私はエミリアの為に戦うだけだ」
「エミリア様の?」
「お前達が死ねば彼女が悲しむ、ただ彼女のそんな顔を見たくないだけだ」
「信じられないな、もし本当にそう思ってるならなぜ今までエミリア様を避け続けてきたんだ・・・・?」
「信じなくてもかまわん。それに、お前達のような子供には理解できん」
「何だと・・・・?」

喧嘩ごしに言ってくるゾークにカチンときたのかマサシの声が低くなる。すると、そこへジゼルが止めに入ってきた。

「やめてマサシ、今はそれどころじゃないでしょ?」
「だけど・・・・」
「今のあたし達じゃ自分の身を守る事もできないわ、それに少なくとも今のゾークはあたし達の味方よ。エミリア様もいるし、今は信じましょう」
「・・・・・・分かったよ」

ジゼルの説得にしぶしぶ納得するマサシ。

「なかなか賢明だな、アルフォント。秋円、お前も少しはコイツを見習ったらどうだ?」
「クッ!」

またしても喧嘩を売るように言ってくるゾークに歯を食いしばるマサシ。そんなマサシの両肩に手を置いてゾークを見るジゼル。

「貴方もそうやってわざと突っかかってくるのは止めて。それにあたしもマサシと同じで貴方を完全に信じているわけじゃないわ」
「フフフ、そうか。なら私からも言っておこう、私もお前達の味方になったつもりはない」

二人が言い合っていると、今度はエミリアが話しに加わってきた。

「二人とも、そこまでです。今はこの状況を打破する事を考えないといけません」
「おっと、そうだったな」

ゾークが大剣を構えてディアボロスとルシフェルの方を向き直した。その時、エミリアが顔を動かさずにゾークに言った。

「ゾーク、もう一度確認するわよ?この戦いは貴方達ヘルデストロイヤーの負け。ベンヌが着陸したら貴方はそのままサンドリアの王宮に引き渡され、裁判が行われるわ。これはあくまでこの状況を打破する為の一時的な執行猶予。忘れないでよ」
「ああ、私も悪あがきをするほど情けない男ではない。素直に負けを認めよう」
「ならいいわ」

お互い冷静に、低い声で話し合っている。そんな二人の背中をジッと見てマサシとジゼルは少し驚いていた。

「フン、長い間敵対していたくせに・・・・」

ディアボロスが話していると、何処からかピピピピッと何か音が聞こえてきた。辺りを見回すマサシ達。そんな時、ディアボロスが腰につけてある無線機のような機械を取った。

「俺だ」
「・・・・・・」
「うむ・・・・うむ・・・・全て終わったのか?」
「・・・・・・」

無線機で誰かと会話を始めるディアボロス。その姿をマサシ達はジッと見ていた。

「分かった、お前達は先に戻っていろ。俺とルシフェルもここを片付けたらすぐ戻る」
「・・・・・・」
「ああ、それじゃあな」

ディアボロスは無線機の電源を切った。そしてさっきまで黙っていたルシフェルが話しかける。

「作業が終わったの?」
「ああ、たった今スイッチを入れたらしい」
「意外と早かったわね」
「時間は?」

ディアボロスがルシフェルに時間を訊くと彼女は何処からか懐中時計を取り出して時間を確認した。

「4時25分よ」

時間を聞いたディアボロスはBX(ブラックエクスカリバー)を鞘に収めてマサシ達の方を見た。

「突然ですまないか、このベンヌは4時30分に墜落する」
「何!?」

突然の発言に驚いて声を出すマサシ。ジゼル、エミリア、ゾークの三人も声は出さなかったが驚きの表情になっていた。

「たった今、俺達の部下から連絡が入った。このベンヌにセムテックス(爆薬)を仕掛け終えた、とな」
「そのセムテックスは今から5分後、つまり4時30分に爆発するようにセットされてるわ」
「お前達はベンヌを着陸させて外の連中に停戦を告げるつもりだったようだが、着陸準備も停戦報告もする前にルシフェルが傭兵やオペレーターを殺したからどちらも完了していない。つまり、このままでは着陸もできないし戦いも終わらない。更にこのままベンヌが墜落すれば大爆発は確実、そしてその爆発はどれだけの被害をもたらすだろうな?」
「まぁ、外のいる人達はまず助からないでしょうね」

二人がセムテックスの事を話していると、ジゼルがマサシに話しかけた。

「マサシ、セムテックスって?」
「爆薬だよ」
「爆薬!?」
「ああ、恐らく高性能のプラスチック爆薬だろう」
「そのとおりだ」
「ちなみに、仕掛けた数は120個よ」
「「なっ!」」

あまりの量に驚くマサシとジゼル。更に追い討ちを掛ける様にディアボロスは言った。

「ちなみに、ヘルデストロイヤーの傭兵どもに爆弾の処理をさせようとしても無駄だ。このベンヌの中にいる傭兵どもは全員死んだ」
「何だと!」

ヘルデストロイヤーの傭兵達が全員死んだと聞かせれてゾークは声を出した。

「ふざけるな!我が社の傭兵達が貴様等二人にやられる筈が無い!」

普段冷静なゾークも今回は感情的になっていた。そんなゾークを見てディアボロスは腕を組んで言った。

「勘違いするな、殺したのは俺とルシフェルじゃない、タツノスケ達だ」
「タツノスケ?」

名前を聞いてマサシが声を出す。

「タツノスケって前に虚無宇宙(ゼロスペース)で会ったあの侍の事か?」
「ああ、そうだ」
「それじゃあ、ユウタ達が見たヘルデストロイヤーの傭兵達の死体の山は・・・・」
「そう、タツノスケ達の仕業だ」
「・・・・・・」

驚いてダンマリになるマサシ。すると、ゾークが黙っているマサシに尋ねる。

「おい秋円。貴様、私の部下の死体を見たのか?」
「・・・・いや、実際は見ていない。だがユウタ達はこのブリッジに来るまでに沢山の死体を見たって言ってた」
「そんな馬鹿な・・・・」

マサシの話を聞いたゾーク。流石の彼もマサシの言った事は事実だと悟り言葉を失った。すると、今度はルシフェルが話しに加わってきた。

「フフフ、大体貴方、最下層からこのブリッジに上がってくるまでの間に誰か一人にでも会ったの?」
「確かにここ来るまで私とゾークは誰とも会っていません・・・・」

ルシフェルの言葉を聞いて振り返ったエミリア。彼女もディアボロスとルシフェルが本当の事を言っていると納得したのだろう。

「さて、話はここまでだ」

ディアボロスはマサシ達に背を向けて右手を突き出してゆっくりと下ろした。すると、何も無い所に光の切れ目が生まれ、ディアボロスはその切れ目に両手を入れてゆっくりとカーテンを広げるように動かした。すると大きな穴が生まれその穴の向こう側は虚無宇宙に繋がっていた。

「な、何だ!?」
「ウソ、何も無いところに穴が・・・・」
「しかも、アレは虚無宇宙だぞ?」

ディアボロスの力に驚くマサシとルシフェル。虚無宇宙を知らないエミリアとゾークも声を出さずに驚いた。

「お前達と分離した事で俺達は自由にこっちの世界と虚無宇宙を行き来する事ができるようになった。つまり、ベンヌが墜落しても俺とルシフェルは大丈夫って訳だ」
「そういう事、それじゃあ、あたし達はこれで失礼するわ。また会いましょう、もっとも生きていたら、だけどね」
「それじゃあな、マサシ、ジゼル」
「バイバ〜イ♪」

ディアボロスとルシフェルは穴を潜り虚無宇宙へ戻っていく。

「ま、待て!」

マサシは慌てて二人を捕まえようしたが、マサシが手を伸ばした時は既に穴は塞がっていた。

「クソッ!」

マサシが悔しがって握り拳を作ると、その瞬間、機内に大きな爆発音と揺れが響いた。

「キャア!」
「な、何だ?」
「チッ!もう5分経ったか!」

セムテックスが爆発した事に気付いたゾークは舌打ちをした。するとエミリアがゾークに話しかけた。

「ゾーク!貴方、この要塞機を操縦できるの?」
「当然だ、私が作らせたのだからな!」
「だったら、この機体をユピローズからなるべく遠くへ移動させて!」
「なぜだ!」
「説明は後よ!早く!」
「クッ!仕方ない!」

ゾークはオペレーターの座っていた椅子に座り、操縦かんが生きているかどうかを調べだした。そんな中エミリアがマサシとジゼルの下に駆け寄ってきた。

「二人とも、ユウタ達を一箇所に集めて姿勢を低くしていてください!」
「え?」
「早く!」
「「ハ、ハイ!」」

慌ててエミリアの言われたとおりにするマサシとジゼル。ベンヌに仕掛けられていた爆薬が爆発し墜落寸前まで来てしまった。一体この後どうなるのだろうか、そしてエミリアは一体どうするつもりなのか!?


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