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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第12回   第十一話 恐るべき計画(プロジェクト)

突然やってきたコンタ。そして彼がこっちの世界に来た理由、マサシを探し出す事、マサシを見つけて至急戻る事。コンタの来訪は驚くべき事実を知らせるものだった。あの騒ぎをなんとか鎮めたマサシ達は騒いでた部屋で会話をしていた。

「コンタ、お前に訊きたい事があるんだけど・・・」
「僕がどうやってこっちの世界に来たのか?」

マサシは黙って頷いた。

「それを話す前に僕も訊きたい事があるんだけど」
「なんだ?」

コンタの視線がマサシの隣に座っているピンクのツインテールの少女に移った。

「そっちの女の子は?随分君と親しいみたいだけど」
「ん?ああ、彼女はジゼルっていうんだ、こっちの世界で色々世話になってな。ちなみに彼女も俺達と同じ傭兵なんだ」
「よ、よろしくね、コンタ君」
「それでこっちがシンディ、彼女も傭兵で魔法が使える剣士なんだ」
「よろしく、ボウヤ♪」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
(最後のボウヤっていうのが気に入らなかったけど・・・)

コンタはゆっくりと頭を下げお辞儀をした。さっきセリーナ達とやり合っていた時と180度態度が違った。

(な〜んだ、あのジゼルって人、マサシの彼女じゃないのか・・・)
「なにか言ったか?」
「ううん、なんでもない」
「?」

マサシの質問に笑顔で首を振るコンタ。それを見て頭に?マークを浮かべるマサシ。

「私達の前でとった態度と随分違うな」

横から口を挟むセリーナ、コンタはセリーナをあきれた様な顔をして言った。

「それは貴方達が僕の話を聞かずに怪しい怪しいって言うからでしょ?」
「いきなり目の前に現れて怪しいと思わない方がおかしいだろう!」

セリーナの言葉に反応しマサシが話しに割り込んできた。

「おい、セリーナ。お前今『目の前に現れて」って言ったか?」
「ああ、突然緑色の光の中からコイツが出てきたのだ」
「!!」

緑色の光。それを聞いたマサシの顔が突然鋭くなった。こっちの世界に飛ばされる時も緑色の光の包まれた事を彼は思い出す。

「そう、僕もパリにあったのと同じ緑色の光に飛び込んでこっちに来たんだ」

コンタも真剣な顔をしてマサシと顔を向き合った。

「マサシ、もう一つ質問。君がこっちに来てからなにか変わった事は起きなかった?」
「ああ、あったよ。数日前、そしてついさっき」

コンタはマサシの体中の傷や包帯を見た。

「君がやられるなんて、よほどの実力者なんだろうね・・・」
「ああ、アイツは強敵だった・・・」
「うん・・・・」
「あれ?もしかしてジゼルさんも一緒に戦ったの?」
「ああ・・・彼女とは色々あってな・・・」
「ふ〜ん。まあ、その話は後でゆっくり聞くとして・・・・」
(聞くのかよ?)

さりげなくマサシとジゼルの関係を知ろうとするコンタに心でツッコミを入れるマサシ。

「ちなみにそいつは何者?」
「・・・・ヘルデストロイヤーの幹部だ」
「!・・・・・やっぱり・・・・」
「やっぱり?」

敵がヘルデストロイヤーだと知ったコンタは一瞬驚きを見せまた元の顔に戻った。そんな彼を見たマサシは再び問い掛ける。

「その様子だと、お前がこっちに来たことにはヘルデストロイヤー(奴等)と関係あるって事だな?」
「うん、それを話す前に、まずあの緑色の光の事を話すよ。ここにいる皆も聞いてほしいんだ、これから話す事は貴方達ラビリアンの人々にも関係あることなんだ」

その言葉を聞き、真剣な顔になるジゼル、シンディ。そして少し信用していない様な顔をするセリーナ。

「あの緑色の光はヘルデストロイヤーが生み出した物なんだ・・・」
「なに?」
「あれは『次元移動装置』によって生み出されるゲートなんだ」
「なに、そのナントカ装置って?」

コンタの言ってる事が理解できないジゼル。勿論シンディやセリーナも理解できていない。

「次元移動装置、ヘルデストロイヤーが開発していた特殊な装置なんだ。この装置を使って全く違う世界へ行く事ができるんだ」
「ヘルデストロイヤーの奴等、そんな物を・・・・・ちょっと待てよ、お前今『開発していた』って言ったよな、何で過去形なんだ?・・・・・まさか!?」
「そう、その装置は完成したんだ、数日前にね。多分あの時マサシを吸い込んだゲートは奴等の実験中に生まれた不安定なゲートだったんだよ」
「そうか、でもよくそんなことが分かったな?」
「マサシが消えた後、僕達は日本に戻ってすぐにヘルデストロイヤーの動きが怪しいって会社に報告があったんだ。それで近くのヘルデストロイヤーの支部を襲撃して聞きだしたんだよ。こんなやり方、ライトシンフォニアのやり方じゃないけど、緊急事態だったからエミリア様も許可してくれたんだ。幸い敵の本部にはバレなかった」
「それでその支部から次元移動装置の設計図を手に入れて、急いで開発し、作ってこっちの世界にやってきたんだな?」
「相変わらずの洞察力だね。うん、アイツ等、全ての支部で装置を作るつもりだったらしいよ。それでマサシを助けに行く為に休み無しで作ってもらったんだ」

おそらく、徹夜を何回も続けて作ったのだろう、だから設計図を手に入れて数日で完成したんだ。マサシは必死で作ってくれた学者や工作員の人達の疲れきっている顔が頭に浮かべ苦笑いをした。

「アハハハ・・・・でもどうしてアイツ等はそんな物を作ったんだ?」
「・・・・・」

急に黙り込んだコンタ。

「コンタ?」
「どうしたの、コンタ君?」

問い掛けるマサシとジゼル。そしてしばらくしてゆっくりと顔を上げ口を開くコンタ。

「こっちの世界を乗っ取る為だよ・・・」
「なに?」
「え?」

コンタの突然の言葉に耳を疑う少年と少女。彼は理解に苦しむマサシとジゼルにお構いなく話を続けた。

「乗っ取る、侵略だよ。ヘルデストロイヤーのラビリアン侵略計画だ!」
「「!!!!」」

コンタが口にした言葉にその場にいる者の表情が固まった。そして、固まった表情を直しセリーナが声を上げた。

「何を馬鹿の事を!侵略?そのナントカという装置でそのヘルデストロイヤーとか言う奴がこのラビリアンを、世界を支配しようというのか!?ふざけた事を言うのもいい加減にしろ!!」
「ふざけてなんかいません。多分マサシとジゼルさんを襲ったのはヘルデストロイヤーの先遣部隊です。でなきゃマサシがあんな大怪我をするはずありません。それに捕まえた奴等の捕虜からこの事を聞いたんです、間違いありません」

取り乱すセリーナに対し冷静に敬語のまま会話するコンタ。

「なるほど、侵略作戦か。それならUrsのような上の奴出てきてもおかしくないな・・・」
「ね、ねえマサシ。あの子の言ってる事、本当なの?」
「ああ、間違いないだろう。アイツが大事な用件でデタラメや間違った事を言ったことはない・・・」
「そんな・・・・」

マサシが言うのなら間違いない。心の中で新たな絶望と恐怖を知ったジゼル。マサシは言い争っているコンタとセリーナを止めようと二人の間に入った。

「よせ二人とも!コンタ、話を続けてくれ。セリーナ隊長も少し落ち着けよ」
「これが落ち着いていられるか!」
「落ち着け!コイツはウソをつくような奴じゃない!」
「・・・・・・クッ!」

セリーナは少々気に入らないような顔をし椅子に腰掛けた。

「じゃあ話を戻すよ。アイツ等がこっちの世界を乗っ取ろうとする理由なんだけど、どうもあっちの世界でのライトシンフォニア(僕達)がいるから思い通りに行かなくなって敵の大将もイライラしてきたみたい。そこでこっちの世界を乗っ取ってこっちの世界の王様にでもなろうとしてるんじゃないかな」
「でも、こっちの世界には多くの国の軍があるし、凶暴な魔物だって沢山いるのよ。そんな都合のいいよういくかしら?」

シンディの一理ある言葉を聞くコンタ。しかしコンタは更なる絶望を打ち明けるのだった。

「確かに、でも奴等には契約者もいるし戦車のような近代兵器も使う。奴等がその気になれば国一つを一月(ひとつき)で滅ぼす事だって可能だよ・・・」
「な!」
「く、国をたった一月で・・・」

コンタの言う敵の強さに、ますます驚くセリーナとシンディ。

「コンタの言ってる事は本当だ。実際、俺達の世界でヘルデストロイヤーに喧嘩を売った組織が半日で壊滅しちまった」
「そ、そんなに強いの?」
「お前も見ただろ?あのUrsの強さを・・・」
「・・・・・」

ジゼルは数時間前に戦ったロボットのことを思い出し更に暗くなってしまった。

「そこで、マサシを見つけ出して一旦戻り、部隊を編成した後、もう一度こっちの世界に戻ってヘルデストロイヤーの侵略を防ぐのが今回の僕達の任務」
「・・・・・・・え?」

コンタの言葉に再び耳を疑うジゼル。そして顔を上げるシンディとセリーナ。

「それって・・・・」
「そう!僕達がこっちの世界の人達を一緒に戦ってヘルデストロイヤーを倒すんだ!」
「「「!!」」」

コンタの言う事、それはマサシ達が自分達の世界を助けてくれるということだった。その事を知ったジゼルは少しだけ明るさを取り戻した。

「そ、それ本当なの?」
「はい」
「・・・・マサシ!」
「ああ、最初から俺はそのつもりだ」
「・・・・・ありがとう!」

そう言ってジゼルはマサシにとびっきりの笑顔を見せた。するとそれを見たマサシは突然赤くなり顔を横にした。

「お、おう・・・まかせろって」
「うん!」
「・・・・・」

二人のやり取りを見てコンタはニヤリと笑った。

(やっぱり。マサシってジゼルさんが・・・・)

そんな三人のやり取りの中、黙っていたセリーナが口を開けた。

「ちょっと待て。それはお前達の仲間もこっちの世界に来るということか?」
「ああ、そういうことになるな・・・・なあコンタ?」
「うん、おそらくヘルデストロイヤーは全戦力で来るに違いないからね。僕達も持てる戦力全てでぶつかるよ」
「・・・・・お前達がアイツ等と手を組んでこの世界を乗っ取ったりしないという証拠はあるか?」
「なんだって?」

セリーナの言葉にマサシは低い声で問い返した。彼女が疑うのも無理はない。自分達の世界と違う世界の人間が自分達の世界を侵略しようとしており、その連中と同じような奴等が近いうちにやってくるのだから。もし寝返り、手を組んでしまったら自分達に対抗する手段はない。

「僕達はそんな事しませんよ」
「口でならなんとでもいえるからな」
「・・・・・」

マサシはなにも言わないが睨むような顔で彼女を見ていた。そんな三人を見てジゼルは不安になりシンディに助けを求める。

「シ、シンディ、三人を止めて」
「・・・・ゴメン、ジゼル。アンタがマサシ達を信じたい気持ちはわかるよ、でもやっぱり・・・・私もまだアイツ等のこと、信じられないんだ・・・・」
「・・・・・」

シンディもヘルデストロイヤーの恐ろしさを聞いてマサシ達に疑いを持ってしまったのだろう。でもジゼルはマサシ達がそんな事をするような人とは思えないのだ。マサシは幼い頃心に傷を負った、そんな人が他人を傷つける様な事をするとはありえないと思っているからだ。

「それじゃ、そうすれば僕達を信じてくれますか?」
「まず、この城で暴れた事を償ってもらう」
「まさかとは思うが、死刑、だなんて事はないよな?」
「安心しろ、陛下は幼い子供に死刑を下すようなお方じゃない」
「そうかい・・・・」

マサシはそれを聞きホッとしたようだ。そして部屋に兵士が入ってきた。

「隊長、陛下がお呼びです」
「分かった、すぐに行くとお伝えしろ」
「ハッ!」
「さあ、行くぞ」

コンタが知らせたヘルデストロイヤーの恐るべき計画!マサシ達はラビリアンを救う為に元の世界に戻る!はずだったか・・・まずはコンタの罪の償いからだった。果たして彼らはどうなるのだろうか?


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