20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第118回   第百十七話 機械竜Urs(ウルス)
マサシとジゼルの攻撃を受け続けて遂に堪忍袋の緒を切らせたUrs(ウルス)は本気を出した。姿を竜に変えて二人に襲い掛かろうとした。

「これが俺の新しい力だ、Urs・ドラゴンモード」
「ドラゴンモードだと・・・・?」

マサシは姿を変えても普通に喋るUrsをジッと見て尋ねる。そんなマサシを見てUrsは爪の付いた手を顔の前でカチカチと動かしながら話しだした。

「レベル・5を発動させた契約者を倒す為の力だ。だが一度も実戦テストをした事が無いのだ、お前達で試させてもらおう」

Ursはそう言って竜の口を大きく開きマサシとジゼルの方を向く。すると口の中が黄色く光り出した。それを見たマサシは直感した、デカイ何かが来ると。

「ジゼル、飛べ!」
「え?」

マサシはレベル・2を発動させ、背中から竜翼を生やして大きく広げる。それを見たジゼルも銀色の翼を広げた。

「死ね!アトミックイレイザー!!」

口から黄色い大きなビームが放たれマサシとジゼルに向かった。それはアトミックレーザーの二倍の太さはある。二人は咄嗟に大きく翼を広げて上に飛んでその攻撃をかわした。ビームは二人の背後にあったランニングマシーンに命中し大爆発して周りのトレーニングマシーンなどを巻きこんだ。

「なんて威力なの・・・・」
「さっきまでとは比べものにならないな」

明らかに威力が違うUrsの攻撃に空中から見下ろして驚くマサシとジゼル。

「逃がさん!ゴッドミサイル!」

膝の装甲が開き、無数の小型ミサイルが空中にいるマサシとジゼルに向かって発射される。それを見た二人は全く違う方向に飛びUrsから離れる。すると、小型ミサイルも二人に引かれるように後を追う。

「チッ!追尾機能も強化されているか!」

自分の後を追って来るミサイルを見ながら飛び続けるマサシ。

「まったく、しつこいな!」

マサシは飛びながらミサイルの方を向きシグザウアーでミサイルを一つずつ撃ち落していく。

「よし!」

マサシは全てのミサイルを撃ち落した頃、離れた所でもジゼルがミサイルを全て落とし終え、マサシの方を向いて合図をする。それを見たマサシも合図をしてチラッと地上で自分達を見上げているUrsを見る。そして、ジゼルもUrsを見てもう一度マサシの方を向いて頷く。その直後、二人は空中からUrsに向かって急降下した。

「双竜剣奥義、魔神轟来剣(まじんごうらいけん)!!」

マサシは空中で二本の刀を揃えてUrsの頭を狙って勢いよく振り下ろした。しかしUrsは斬撃が当たる直前に首を曲げて頭を反らしマサシの攻撃をかわした。

「何!?」
「フッ、ハズレだ」

そう言ってUrsは勢いよく長い首を振りマサシの腹部に頭をぶつけた。

「グワァ!」

マサシはUrsの力に耐えられず、そのままに部屋の端の壁にまで飛ばされた。

「マサシ!」

飛ばされたマサシを見て声を出すジゼル。だが隙を作らない為にすぐにUrsの方を向いた。

「よくもやったわね!」

ジゼルは銀色の髪を揺らしながらUrsに向かってもの凄い速さで飛んでいく。そしてメタトロンの短い部分でUrsの頭を強打しようとする、だがUrsは再び首を振って頭を反らし攻撃を回避した。

「またハズレだな?」
「まだよ!」

ジゼルはもう片方のメタトロンで同じように攻撃をした。Ursの横顔にアストラス超合金のトンファーが迫る。

「甘ずぎる」

再び首を振り攻撃をかわしす、すると鋭い爪の付いた腕でジゼルを側面から攻撃。それに気付いたジゼルはメタトロンを縦にしてUrsの攻撃を防ぐ、だがマサシすらも吹き飛ばされる程の力だ、ジゼルでは止められるはずがない。

「うわああ!」

ジゼルはUrsの力に押されてマサシと同じように後ろにもの凄い勢いで飛ばされる。そしてジゼルは咄嗟に自分の背後を見た。

「こ、このままじゃ壁にぶつかる!」

ジゼルの背後には壁があった。壁にぶつかれば大ダメージは避けられない、しかも風圧とUrsの力のせいで体勢を立て直せない。勢いも止まらず、あと数メートルで壁に激突する。

「ウッ!」

ジゼルは覚悟を決めて目を閉じる。だが、次の瞬間彼女の体に何かが触れる感触があった。ジゼルはゆっくり目を開けて自分の背後を見る。そこにはさっきUrsの攻撃を受けたはずのマサシがいた。

「マ、マサシ!」
「掴まってろ!」

マサシは大きく竜翼を広げて体勢を立て直し、右手を壁に向けて演唱を始めた。

「業火よ、我に仇名す敵を焼き尽くせ!フレイムショット!!」

右手から火球が放たれて壁に命中。その爆発と勢いに押されて少しだけ勢いが弱まった。

「今だ!よっと!」

勢いが弱まった瞬間に広げていた竜翼をはばたかせて更に勢いを弱めるマサシ。そしてゆっくりと地上に降り立った。

「大丈夫か?ジゼル」
「うん、なんとかね。ありがとう」

マサシの胸に背を預けてマサシに礼を言うジゼル。すると、ズシンと大きな足音を起ててUrsが一歩ずつ近づいてくる。

「こんな時によくイチャついていられるな?」
「別にイチャついてるわけじゃない。まあ、ロボットのお前には一生分からないだろうがな」

Ursの方を見て挑発するマサシ。普段のUrsならこんな軽い挑発には乗らないが、今回は違った。

「チッ!相変わらず口だけは達者なガキだ!さっさとくたばれ!」

散々マサシとジゼルにやられて激怒しているUrsはマサシの挑発に簡単に乗ってしまい、鉄の翼を広げてブースターの火力を最大にして一気にマサシ達に向かって突進してきた。それを見たマサシは再び竜翼を広げ、ジゼルを抱えたまま大きく上に飛んだ。Ursは二人の真下を通り過ぎてすぐ後ろにある壁に激突した。

「うっひゃ〜!頭から突っ込んだよ!」

壁に激突したUrsを見て驚きの声を出すマサシはゆっくりと離れた所に着地した。

「やったの?」

ジゼルがUrsを見ながらマサシに尋ねる。だがマサシは苦笑いしながら首を振る。

「いや、仮にもヘルデストロイヤーの幹部だ。この程度じゃやられないさ」

そんな時、激突した後ずっと停止していたUrsの胴体が動き出した。そして壁にめり込んでいる頭を引っこ抜き二人の方を向いた。

「ほらな?」
「ホントだ」

ジゼルの方を見て再び苦笑いをするマサシ。目だけをマサシの方に向けて少しガッカリした様な声で言うジゼル。

「クソォ!ならこれでどうだ!」

Ursは左腕をゆっくり上げてマサシとジゼルの方へ向ける。二人は咄嗟に武器を構えて何時でも回避行動を取れるようにした。すると、Ursの左腕の装甲の一部が開き、中から小さな銃口のような物が姿を現した。

(何だ?まさかまた機関銃か何かか?)

死者の荒野(デッド・グランド)での戦いでUrsが腕から機関銃を出して攻撃してきた事を思い出して頭の中で考えるマサシ。

「フッ!」

Ursが軽く笑った直後に銃口から黒い丸い物体が吐き出された。弾か何かと二人は考えたが、よく見るとその黒い球体には細長いコードのような物が繋がっており、銃口から伸び続けている。

「何なのアレ?」
「分からない。けど、回避したほうが良さそうだ!」
「異議無し!」

二人は飛んでくる球体から離れるように回避しようとした、次の瞬間、その球体が小さい破裂音を上げて割れた。すると中から大きな網状の物が広範囲に広がりマサシとジゼルに覆い被さった。

「キャア!な、何よコレ!?」
「・・・・・・ッ!まさかコレは!」

何かに気付いたマサシは必死で出ようとする。だが、なかなか出られない。離れた所ではUrsが左腕に付いている小さな端末を右手に付いている爪で器用に操作している。

「フッ、くらえ」

Ursが小さなボタンを押した瞬間、マサシとジゼルに覆い被さっている網状の物が光り出した。

「わぁーーーーー!!」
「ああーーーーー!!」

突然体を激痛が襲い二人の叫びが訓練所内に響く。しばらくして網から光が消え、マサシとジゼルはガクッと床に膝をつく。二人の体からはプスプスと煙が上がっていた。

「な、何なの・・・・今のは・・・・」
「い、今のはまさか・・・・電流・・・・・?」
「え・・・・?」
「この網から電気を流して直接俺達を攻撃したんだ・・・・」

マサシがジゼルに説明していると、Ursは機嫌の良さそうな声で喋り出した。

「ハハハハッ!どうだ、効いただろう?そいつは捕獲用に網だ。暴れる奴を黙らせる為に電流が流れるようにしてあるのだ」
「捕獲用・・・・だと・・・・?」
「そうだ。ちなみに電流は800V(ボルト)、家庭用コンセントの八倍だ」
「そんな物まで隠していたなんて・・・・」

電流が相当効いているのかマサシの声には力が無い。ジゼルも同じだった、意識はあるものの体が少し痙攣している。

「うう・・・・」
「ジゼル、大丈夫か・・・・?」
「う、うん・・・・でも体が少し痺れて・・・・」

弱っている二人を見てUrsは再び端末のスイッチに爪を近づける。

「まだまだこんなもんじゃ済まさないぞ。俺をここまでコケにしたんだ、ゆっくり止めを刺してやる」

そして再びスイッチを押して電流を流した。

「うわぁーーーーー!!」
「キャアーーーーー!!」
「フフフフフ・・・・」

電流で苦しむ二人を見て笑うUrs。だが、それも長くは続かなかった。

「・・・・・・いい気に!」
「ん?」
「なるなぁーー!!」

電流に耐えながらマサシは黒龍刀と白龍刀を大きく左右に振り網を切った。その瞬間、網から流れ出る電流が止まった。

「何ぃ!?」
「ハァハァ・・・・大丈夫か?」
「なんとかね・・・・」

二人は足を震えさせながらなんとか立ち上がり、Ursの方を見て武器を構え直した。ドラゴンモードになったUrsの力と攻撃方法に苦戦しながらも、なんとか対等に戦うマサシとジゼル。二人の戦いはこれからだ・・・・。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 185