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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第117回   第百十六話 パワーアップ!

エミリアとネリネはなんとか戦いに勝利した。だがその勝利は喜べるものではない、無理矢理戦わされてその上、意志までも乗っ取られてしまったE0の少女達。同じ犠牲者をこれ以上出さない為にもこの戦いを早く終わらせなくてはと、エミリアとネリネは心に誓った。

「チッ!E0がやられたか・・・・」

第二訓練所でUrs(ウルス)は電波か何かでE0の機能が停止した事を知った。

「E0がやられたって事は、エミリア様とネリネは勝ったんだ!」
「よかった・・・・」

エミリアとネリネの勝利を知り喜ぶマサシと安心するジゼル。そんな二人を見ながらUrsは悔しそうな様子を見せる事無く、楽しそうな素振りで言った。

「アイツ等、相当苦労したみたいだな、肉体的にも精神的にもな」
「・・・・?どういう事だ?」
「アイツ等が戦ったE0はこの世界の人間を使って作り出したサイボーグだ」
「サイボーグって?」

聞いた事のない言葉にマサシの方を向いて尋ねるジゼル。

「サイボーグは人間の体に機械を加えて作り出された機械人間だ」
「機械人間・・・・」
「人造人間とも言うな・・・・」

マサシは顔をUrsの方に向けながらジゼルに説明するマサシ。

「そのとおりだ、奴等はお前達を始末する為に俺が改造した。そしてその内の1体が自分の意志を取り戻したのだ」
「何?」

マサシはUrsの方を向いて少し低い声で聞き返す。

「奴はエミリアから『元の姿に戻す』という言葉を聞いた途端にコロッと変わりかがった。だから、特殊な信号を送って奴の意志を消してやった」
「無理矢理改造したのか・・・・?」
「そうだ」

アッサリと認めたUrsにマサシは眉を目では確認できないくらい微妙に動かした。どうやら頭にきている様だ。その隣でジゼルがUrsを見て問い掛ける。

「意志を消したって事は、まさかその人達は」
「ああ、最後には俺の操り人形になってエミリア達に倒されたよ」
「酷い・・・・」
「フッ、所詮は試作体、使えない奴等だ」

残酷な事をサラリと口にするUrsを見たまま表情を凍らせるジゼル。その隣ではマサシがキッとUrsを睨んだ。

「貴様!無理矢理改造し、最後には意志を消して自分の玩具の様に!それで貴様の心は痛まないのか!?」
「心?ハハハハッ!そんな物はとうの昔に手に入れた時に捨てちまったよ」

笑いながら腰に付いているスチール棒を握りゆっくりと引く、すると棒の先から青い光の刀身が姿を現した。

(死者の大地(デッド・グランド)で使ったビームソードか・・・・)

Ursの武器を見てゆっくりと黒龍刀と白龍刀を握ってゆっくりと構え直し、ジゼルもメタトロンを構える。それを見た直後、Ursは重いい足で床を蹴り一気にマサシ達との間合いを詰めてビームソードを振り下ろした。マサシはUrsに向かって走って行き、目の前で立ち止まり二つの刀をバツの字にしてUrsの斬撃を止めた。

「ホゥ、よく止めたな?」

Ursがマサシの方を向いて話しているとマサシは口元がニヤリと動かしながらUrsの後ろを見る。すろとUrsの背後からジゼルがメタトロンを勢いよく回しながらUrsの顔の高さまでジャンプする姿が見えた。

「隙あり!」
「!?」

ジゼルの声でようやく気付いたUrsは後ろを見るが遅かった。

「臥龍粉砕撃(がりゅうふんさいげき)!!」

メタトロンに黄色い気が纏い、勢いのつけて長い柄の部分でUrsの後頭部を攻撃した。

「グオッ!!」

後頭部に伝わる痛みに声を出すUrs。その声には痛みだけじゃなく、以前の戦いではまるで痛みを感じなかったのに今回は大ダメージを受けた事の驚きもあった。

「な、何だと・・・・?」

攻撃を受けた所が凹み、バチバチと電気が起きている。攻撃を終えたジゼルはUrsの背中を蹴り、距離を取りクルリと一回転して着地した。

「驚いた?これはアンタと同じアストラル超合金でできているのよ。しかも聖天使人の力を加える事で更に破壊力を高める事ができるのよ」
「おのれぇ、貴様如きが俺に傷を負わせるとは・・・・!」

ジゼルから攻撃を受けた事が気にいらなかったのかUrsはマサシと剣を交えたまま空いている方の手をジゼルに向けた。

「死ね!」

Ursはジゼルに向けてデストロイド・ナックルを放った。ジゼルは大きく横に跳び攻撃をかわす、だがUrsの腕はUターンしてジゼルを追って来た。

「しつこいわね」

ジゼルは聖天使人の力を解放し、銀色の翼を広げ、宙を飛び背後からのロケットパンチをかわした。ジゼルを通り過ぎたロケットパンチはゆっくりとUrsの腕に戻った。

「チッ!ちょこまかと!」
「俺を忘れるなよ!」

Ursのビームソードを弾いてマサシは距離を作り態勢を立て直した後、再び勢いよくUrsに向かって走り出した。

「馬鹿め、忘れたのか?お前の攻撃では俺に傷を負わせる事は・・・・」
「ハッ!」

マサシは黒龍刀で斬ろうとした、かの様にUrsには見えた。だがマサシの行動は彼の予想を超えていた。マサシは黒龍刀でUrsの右腕の装甲と装甲の間の僅かな隙間を突き刺した。

「グワァ!な、なぜだ・・・・?」
「お前はヘルデストロイヤーで最高の防御力を持つと言っていたな?だが、どんな奴にでも弱点はある!」

刀を引き抜いた後にマサシはまた距離を取りUrsから離れた。そしてジゼルもマサシの隣まで飛んで着地した。

「マサシ、どうやってUrsにダメージを与えたの?」
「簡単な事さ、コイツの体は鎧を着た騎士と同じだ」
「騎士?」
「鎧は間接部分に小さな隙間があるんだ、そこを狙えば中の人間に攻撃できる。それと同じでコイツの間接部分にも隙間がある、いくら周りの装甲が硬くてもその下の機械の硬度は低い、普通の攻撃でもダメージを与える事はできるって事さ」
「へぇ〜」
「前の戦いでは初めて奴と戦ったから気付かなかったが、今回はしっかりと調べたからな」

マサシはジゼルの方を見てニッと笑った。それを見たジゼルも小さく笑った。その時、Ursがビームソードを握ったままの手で隣に建ててある柱を殴った。どうやら機嫌が悪いようだ。

「貴様等ぁ・・・・よくも俺をコケにしてくれたなぁ」
「「!」」

低い声を聞いて咄嗟にマサシとジゼルはUrsの方を向いた。

「必ずここで始末してやる!ゴッドミサイル!!」

Ursは片足を曲げて膝の部分の装甲を開き、無数の小型ミサイルを発射した。向かって来るミサイルを見てマサシはシグザウアーを抜こうとする。だがジゼルがマサシの前に立ち両手をミサイルに向ける。

「エンジェリックシールド!!」

ジゼルの前に光の結界が現れ、ミサイルはマサシ達に当たる事無く結界に命中し爆発した。

「小賢しい、ならこれならどうだ!」

Ursが剣を捨て、両腕を横に広げた。すると、額と肩の飾りの様な装甲、両目が光だし、胸と膝の装甲が開いた。

「何?」
「さぁな、だが嫌な予感がする・・・・」
「あたしもそう思う・・・・」

ジゼルはそう言って再び両手をUrsの方に向けた。今度はマサシもジゼルの隣にやって来て両方の刀をUrsに向けた。

「マサシ?」
「さっきも言ったろ?嫌な予感がするって。今度は俺も手伝うぜ」

ジゼルはマサシの顔を見て頷き再び前を向く二人。

「話はそこまでにしろ。これで終わりにしてやる!消え去れ!エンドオブワールド!!」

叫んだ瞬間、額の装甲から黄色いレーザー、肩の飾りから青い光線、両目から黄色い光球、膝からゴッドミサイル、そして胸から無数のマイクロ弾が発射された。つまり全武装による総攻撃だった。

「ゲッ!あんなの有りか!?ジゼル、結界を!」
「分かってる!」
「俺の力も使ってくれ!」

ジゼルは再びエンジェリックシールドを発動させ、マサシも二本の刀を通じてエンジェリックシールドに力を加えた。今度はマサシが力を貸しているため防御力は高かった。そして遂に全ての攻撃が結界に命中した。

「ううっ!」
「こりゃあ、ちょっとキツイな・・・・!」

Ursの攻撃が強いせいか、結界を張っていながら二人は後ろに引っ張られる様に押された。

「このまま消し飛べ!」
「それは、どうかな!」

マサシが更に結界に力を送り込み防御力を高める。すると二人から引っ張られるような感覚が無くなり、その場で止まった。

「・・・・!?」

突然二人が動かなくなり再び声を漏らすUrs。そして全ての攻撃が終わり、煙が消えるとそこには無傷のまま立っていたマサシとジゼルがいた。

「フゥ、なんとか凌いだな?」
「うん、ちょっと危なかったね」

うまく持ち堪えて一安心するマサシとジゼル。だがこの攻撃を凌いだ事が更にUrsの怒りを高めた。

「・・・・・・ここまでの屈辱を受けたのは初めてだ」

怒っているUrsに気付いたマサシとジゼルは武器を構えてUrsの方を向き直した。

「俺を本気で怒らせたな。見せてやろう、この俺、Urs改の真の恐ろしさを!」

その次の瞬間、Ursの体に変化が起きた。体の彼方此方から金属音が聞こえ変形していく。腕の部分には爪の様な形をした装甲が加わり、足に付いている装甲が離れて形を変えて尻尾の様になり腰に取り付いた。そして頭の部分の装甲も変形し、徐々に竜の頭に変わっていき、最後には首が伸び出し、鋼鉄の翼を広げた。

「な、なんだと・・・・」
「ウ、ウソ・・・・」

驚くマサシとジゼル。二人の目の前には人の形から竜の姿に変わったUrsが立っていた。立ちはだかる鋼鉄の竜、マサシとジゼルはどうなるのか!?


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