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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第110回   第百九話 強襲!煉獄機械兵団!

ベンヌの7階に着いたマサシ達。彼等はゾークを倒す為に彼の居ると思われるブリッジへ向かっていた。

「・・・・・・」

十字の通路の壁からチラッと顔を出し辺りを警戒するマサシ。そして敵が居ない事を確認してジゼル達に合図した。

「いいぞ」

マサシに呼ばれジゼルとネリネがトンファーと剣を構えてマサシの後ろから通路に姿を出す。マサシと同じ様に辺りを警戒して一旦構えを解いた。

「大丈夫ね」
「ええ、これならすぐにブリッジに着けるわ」
「・・・・・・」

ジゼルとネリネが安心している中、マサシ一人だけが難しい顔をしていた。

「どうしたの?」

ジゼルがマサシを見て問い掛ける。するとマサシは腕を組んで低い声を出した。

「妙だな・・・・」
「何が?」
「この7階はブリッジ、つまりこの要塞機を操縦する場所がある階だ。だとするとい最も警戒が厳重の筈なのに・・・・」
「確かに変ね・・・・」

マサシ達の後ろからエミリアが同じように難しい顔をして話に参加してくる。

「もしかしたら、コンタ達の所へ全ての戦力が向かったんじゃ?」

ジゼルが自分の想像をエミリアに伝えるとエミリアは軽く首を横に振った。

「多分それはないでしょうね・・・・」
「なぜですか?」
「もし貴方の言ったとおりだとしたら格納庫や管制室のある階はとても戦力が少ないと言うことになるわ。これだけ大きな要塞機だもの、各階には少なくとも1個連隊程の戦力があるはず」
「つまり・・・・」
「この階の戦力を廻さなければいけないほど他の階の戦力は衰えていないと言う事よ」
「確かに・・・・」

エミリアの話を聞いてマサシと同じように腕を組むジゼル。その時、マサシが何かに気付いき、腕を組むのを止めて黒龍刀に手をかけた。

「どうしたの、マサシ?」

ネリネが突然構えたマサシを見て尋ねる。マサシは目を鋭くして右側の通路の奥を見た。

どうやらこの階には、とんでもない戦力が隠してあったみたいだぜ・・・・」

ジゼル達がマサシの目線の先を見ると、通路の奥から何かが近づいて来る。よく見ると、3体のロボットが自分たちに向き合って来る。下半身部分には足の代わりにキャタピラが付いており、顔の部分には目のようなリニアレンズが2つ、肩にはマイクロ弾発射装置が、そして腕の部分には2丁の『チェインガン』が取り付けられていた。

「おいおい、チェインガンかよ・・・・」

チェインガン(チェーンガン)
ガトリングガンと同じで外部動力で作動する回転式機関砲。その中でも彼等が装備しているのは『ミニガン』言われている物を改良した物だ。

ミニガン(ゼネラル・エレクトリック M134)
ゼネラル・エレクトリック社がヘリコプターや固定翼機の搭載機銃として開発したM61を、1960年代に小型簡略軽量化したガトリングガン。元となったM61の小型版であることからミニガンと呼ばれる。

ロボットの両腕に装備されているチェインガンを目にしたマサシは一筋の汗を垂らした。そして3体のロボットの内、1体がマサシ達に気付き、右腕のチェインガンを向ける。

「まずい!隠れろ!!」

マサシの言葉を聞き咄嗟にエミリアは通路に隠れ、ジゼルとネリネも遅れてやって来た通路に飛び込んだ。そしてその瞬間、ロボットのチェインガンの六つの銃身が回転し、騒音と共に無数の弾丸を吐き出した。

「キャア!」

突然の銃撃に驚いて声を出すジゼル。マサシは壁に凭れながら小型の鏡を取り出した。それを壁から少しだけ通路に出し反射して映る敵のロボットを見て状況を再確認した。

「クッソ〜!あのチェインガンは厄介だな、出た途端ミンチになっちまうよ・・・・」

鏡を見ながら悔しがるマサシ。そんな彼を見てジゼルがマサシの隣まで来て話しかけてきた。

「マサシ、アレも銃の一種なんでしょ?」
「ん?ああ、一応な」
「だったらあんなに派手に撃ってくるならすぐに弾が切れるんじゃない?」
「いや、チェインガンとかの類はとんでもない位の量の弾に装填している、弾切れになるの当分先だ」
「・・・・ちなみにどれ位?」
「ざっと4000から5000発ってところだな」
「そんなに〜!?」

予想以上の弾の量に高い声で驚くジゼル。

「このままじゃ動けないな・・・・」
「どうするの?」
「・・・・・・」

鏡を見ながら考え込むマサシ。その時、壁に付いているコントロールパネルのような物を見つけた。

「アレは・・・・」
「どうしたの?」
「見てくれ」
「ん?」

ジゼルはマサシの持っている鏡を覗いてパネルを見た。

「アレは?」
「・・・・・・」

マサシは鏡を傾けて通路の天井を見た。すると鏡の中に映る天井の細長い穴に気付いた。

「まさか・・・・」
「ん?」

マサシは鏡をしまい、腰のシグサウアーを抜いて壁から少しだけ顔を出し、銃を構えて壁のパネルを狙い、マサシはゆっくりと引き金を引いた。弾丸はパネルに命中し、パネルからバチバチと電気が出て低いアラーム音が鳴り出した。そしてゆっくりと細長い穴からシャッターがゆっくりと下りてきた。

「やっぱりな、アレはシャッターを下ろす為の装置だったんだ。あれなら銃弾も止められるだろう」

ゆっくりと下りてきたシャッターはやがて床に付き完全に通路を塞いだ。シャッターの向こうからはまだ銃声が聞こえる。

「フゥ、これでしばらくは持ち堪えられるだろう」
「でも、長くは持たないわね」

ネリネがそう言いながらシャッターをジッと見る。シャッターに幾つもコブの様な物が次々に現れる。恐らく反対側で銃弾が当たりシャッターが凹んでいるのだろう。

「急いでブリッジへ向かいましょう」
「「「ハイ!」」」

エミリアの方を向いて返事をするマサシ達。彼等はロボットが来た方の通路の反対側の通路を進もうと向きを変えた。だが・・・・。

「ん!?」

通路の奥を見てマサシは目を疑った。奥からさっきのロボットと同型のロボットが3体、自分達の方へ向かって来たのだ。

「ゲッ!さっきのと同じ奴等!」

ジゼルが驚いている中、新しいロボットがゆっくりとチェインガンを上げた。

「ヤバイ!皆隠れろ!」

マサシの声を聞きジゼル達は急いで通路に隠れた。だがマサシは隠れようとしない、彼はさきほどの通路と同じように壁に付いているパネルを見つけ、近づき急いでボタンを押した。その瞬間、チェインガンから無数の弾丸が放たれマサシに迫った。マサシは咄嗟に通路に飛び込み弾丸を回避した。しばらくすると、さっきの通路と同じように低いアラーム音と共に天井からシャッターがゆっくりと下りてきた。そして数秒後にシャッターは通路を塞いだ。

「危なかったぜ」
「大丈夫、マサシ?」
「ああ、大丈夫だ、傷一つ無いぜ」

心配するジゼルに元気である事をアピールするマサシ。

「さてと、これからどうするかねぇ・・・・」

アピールを終えたマサシは再び真面目な顔になり考え込んだ。

「やっぱりこっちに進むしかないか」

マサシは正面の通路を見た。左右の通路はロボット達が居る為、先へ進めない、後ろへ下がっても後戻りになる、なら彼等に残された道は正面の通路しかない。

「エミリア様・・・・」
「ええ、行きましょう」

マサシはエミリアの方を向き進む許可を求める、エミリアもマサシと考えは同じのようだ、迷う事無く進む事を指示した。

「よし、皆行くぞ!」

マサシは号令と共に前へ進み、それに続きジゼル達も彼に続き前進した。すると今度はT字路を目の前に彼等は立ち止まる。進む道は右か左のどちらか、マサシは右の壁に張り付き顔を少し出して右の通路の奥を覗くと、またさっきのロボットと同じ型のロボットが2体通路の奥にいた。そして壁から覗いているマサシに気付きチェインガンを向けて発砲してきた。

「ウワァ!」

慌てて顔を引っ込めるマサシ。再び鏡を取り出してロボット達の方を見る。その時、マサシはさっきの十字路と同じように壁にシャッターを下ろすパネルを見つけた、どうやら各通路に取り付けられているようだ。すると、チェインガンの弾がパネルに命中し、シャッターが起動してゆっくりと下りてきたのだ。

「またか・・・・」

鏡でシャッターが下りたのを確認したマサシは低い声を出す。そしてシャッターは通路を塞いだ。それを確認したマサシは通路から出てシャッターを見た。

「・・・・・・妙ですね」
「エミリア様?」

マサシの後ろでジッとシャッターを見て不思議に思うエミリア。そんな彼女の方を向いてマサシ達は首を傾げた。

「何が妙なんですか?」

マサシが尋ねると、エミリアがゆっくりと口を開いた。

「さっきの十字路に今度のT字路、どちらも私達を誘導しているように見えます」
「誘導?」
「ええ、さっきの十字路は右と左の通路からロボット達が現れて私達の行く手を遮りました。その結果、私達は正面の通路を進む事になった。そして今回のT字路も右の通路にロボットが配備されていて、右の通路は進めなくなった」
「俺達に残されたのは左の通路・・・・」

マサシは残された左の通路を見て視線を鋭くした。

「罠、ですかね?」
「恐らく・・・・」

マサシとエミリアは通路の奥を見てさらに警戒心を強くした。その時ジゼルがマサシに話しかけてきた。

「どうする?」
「・・・・・・」

マサシが黙って考えていると、エミリアが沈黙を破った。

「進みましょう」
「エミリア様、でもさっき罠かもしれないって・・・・」

驚きの答えにジゼルは聞き返すようにエミリアに言った。するとエミリアは真剣な表情で口を開く。

「例え罠であっても、進まない限り、何も変わりません。罠だと恐れて立ち止まったり、引き返したりしたら、そこで何もかもが止まってしまいます。何かを変える為には危険を承知で先に進まなければならない時もあるのです」

いつも笑顔なエミリアが真剣な顔をしていっている為、ジゼルは少し驚いていた。その時、マサシもエミリアに続いて口を開いた。

「そうですね、恐れて進む事を拒んでしまったら、そこで終わってしまいます。だったら、先へ進みましょう、例え罠でも!」
「ええ」

そんな二人を見てジゼルも真剣な表情で頷いた。その後ろでネリネや他の傭兵達も強く頷く。

「よし、行こう!」

煉獄機械兵団の襲撃を受けながら何処かへ誘導されていくマサシ達。果たしてその先には何が待ち構えているのだろうか?


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