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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第108回   第百七話 風と冷気の格闘戦!

チャクラムや銃ではゴードンに敵わないと判断したユウタは肉弾戦に持ち込む事にしたユウタ。それを見たゴードンも肉弾戦で戦う事にした。二人の男に拳のぶつかり合いが今始まる。

「うおおおおおお!!」

大きな声で叫び声を上げてゴードンの顔に右ストレートを放つユウタ。しかしゴードンは首を軽く動かしユウタのストレートをかわした。只でさえ身長に差があり顔に当てるのが難しいのに簡単にかわされてしまう、明らかにユウタの方が不利だ。

「どうした?全然とどいてないぞ、まぁこの身長差だ、背伸びでもして攻撃するんだな。ハハハ!」
「クッソォー!!」

挑発され、ユウタは軽くジャンプしゴードンの目の前まで跳び再び右ストレートを放つ、しかし拳を左手止めてニッと笑うゴードン。その笑う顔を見たユウタは咄嗟に腕を引いてゴードンから距離をとった。

「良い判断だ、あと少し遅かったらお前の右手は凍っていたぞ」
「クッ!」

ゴードンを見て構え直すユウタ。

(さっきのアイツの俺の拳を握った時の力、とても弱かった。女でも簡単に振り解けるほどの力だ。アイツ、わざと弱く握ったのか?)

ユウタはゴードンが手を抜いている事に気付き少しだけカチンとした。

「どうした、もう攻撃は終わりか?」
「まだまだだ!」

ユウタは再びゴードンに向かって走り出し、両方の腕を伸ばす。すると、ユウタの腕に風が纏い始めた。

「くらえ!ウインドグレネード!!」

風の纏った右腕でゴードンにパンチを放つユウタ。

「この風は刃のように全てを切り裂き、全てを粉砕する!いくら貴様でもこれを素手で止める事はできないぞ!」
「フッ・・・・」

再び笑い出すゴードン。どう見ても余裕と言う顔をしている。

「確かに素手では止められん。だが、これならどうかな?」

そう言ってゴードンは顔の前まで拳を持っていき上段構えをとった。すると、彼の両手に冷気が纏い始めた。そして右の拳をユウタの右手の拳にぶつけた。拳と拳がぶつかり合いその間に風と冷気の混ざった渦のような物が生まれた。

「クゥ!」
「フゥ!」

拳ぶつけ合いながら睨み合うユウタとゴードン。しばらくぶつかった後にまるで弾かれるように二人は後ろに飛ばされ、二人同時に着地する。

「冷気の纏った拳ならお前の風で切り裂かれる事もない。さて、どうするユウタ?」
「フン、まだだ!手は幾らでもある!」

ユウタは再びゴードンに向かって走り、突然ゴードンの前で止まった。

「これならどうだ!スラッシュダンス!!」

止まった直後にユウタは風の纏った両手両足でパンチとキックを連続で繰り出した。ゴードンも表情を変えないままその連撃を止める。

「ハハハッ!やるな、だが遅すぎて全て防げるぞ?」

確かにユウタの攻撃は全てゴードンに防がれている。それでもユウタは連撃を止めようとしない。

「そんな攻撃では何時まで立っても俺にダメージを与える事はできんぞ」
「それならもうちっと派手なので行くぞ!」

ユウタは攻撃を止めて距離をとり右手を真上に上げた。すると右手にもの凄い勢いで風が集まり始める。

「コイツで消し飛ばす!」

ユウタの右手には大きな球体状の風が作られた、更にユウタの周りでは轟音が上げながら風が舞っている。

「格闘だけで俺と戦うんじゃないのか?」
「いや、銃とチャクラムで戦うのは止めただけで、俺独自の能力は使うぜ?」
「そうか、なら俺も使わせてもらうぞ?」

そう言ってゴードンは右手を顔の横に持っていく。すると彼の手の平に冷気が集まり出し、それは次第に鋭く尖った氷の塊に姿を変えた。

「俺はコイツで勝負するぜ」

ゴードンは氷の塊を鷲掴みにして投げる態勢に入った。そしてユウタも風の球体を投げる態勢に入る。

「いくぞ!クレイジーテンペスト!!」

ユウタが勢いよく風の球体をゴードンに目掛けて投げつける。それを見たゴードンも氷塊を投げつけた。

「甘いぞ!フリーズランチャー!!」

ユウタの球体、ゴードンの氷塊がぶつかる。ゴードンの尖った氷塊が球体を貫こうとし、ユウタの風の球体も氷塊を巻き込み粉々にしようとする。そして次の瞬間、風が拡散し、氷の欠片がバラバラになって当たり散らばった。

「クレイジーテンペストでもダメか・・・・」
「やはりお互いが本来持つ力だけで戦った方がいいな」
「フン!」

再び格闘戦に入るためにユウタは上段構え、ゴードンは中段構えを取った。

「こうなったら、とことんやってやるぜ。解放、レベル・3!」

レベル・3を発動し、ユウタの顔や体に緑色の光のラインが浮かび上がる。それを見たゴードンも再びニッと笑う。

「それなら俺もレベル・3でいくぜ」

ゴードンもレベル・3を発動させ、彼の体に水色の光のラインが浮かび上がった。

「これでより戦いを楽しめるな?」
「戦いを楽しむなんて俺にはできないな・・・・」

ゴードンの笑う顔を見て少し顔を歪める。

「では、改めて戦闘を再開しよう」
「ああ、さっさと終わらせよ」

レベル・3を解放し身体能力を高めた二人は全力で走り拳を作り、ストレートを放つ。そして、風と冷気を纏った二人の拳がぶつかると大きな衝撃波を生み出し、辺りの机や小型モニターを吹き飛ばした。

「グウ!これは・・・・効くな!」
「俺は全然・・・・平気だぜ!」

ゴードンは更に力を加え、拳だけでユウタを突き飛ばす。ユウタは後ろにある机に叩きつけられた。

「ぐわああ!」
「まだまだぁ!」

ゴードンは床を軽く蹴り一気にユウタの目の前まで移動する。そして机にもたれる様に倒れているユウタの腹部にパンチを放った。

「ウグッ!」

殴られたところは折れた肋骨のすぐ近く、更に殴られた場所は凍りついてしまった。

「クッソォ!」

ユウタは倒れたままゴードンに蹴りを放つがゴードンは瞬時に後ろに跳び攻撃を回避した。

「ううう・・・・」

ゆっくりと立ち上がり殴られた腹部を見るユウタ。殴られたところは凍りつき、冷たさと痛みが伝わってくる。

(くそ・・・・凍り付いてやがる、早く治療しないと凍傷になっちまう・・・・)

傷を見た後にゆっくりと顔を上げてゴードンを見る。

「次で決めるぞ?」

ゴードンが再び中段構えを取り攻撃態勢に入る。ユウタも痛みに耐えながら上段構えを取った。

「こっちも次の攻撃が最後だ。だから次の一撃でケリをつける」
「おいおい、こっちはまだ無傷だぜ?それに引きかえお前はボロボロ、どうやって次に一撃で俺を倒すんだ?」
「やってやるさ・・・・」
「なんと根拠の無い自信だ」

ゴードンは腕を組みながら呆れる様に言うと、ユウタは両手両足に風を纏い始める。

「またさっきの連撃か、一度使って効かなかった技が二度目に効くと思ってるのか?」
「やって見なきゃ分からない・・・・!」

ユウタは痛みを堪えながら全力で走りゴードンとの距離を縮めていく。ゴードンも走り出しユウタに向かっていく。そしてユウタが攻撃しようとした瞬間、ゴードンの右ストレートがユウタの頬に命中し凍りついた。だがユウタはゴードンの右手首を掴みゴードンを捕まえた。

「何!?」
「捕まえたぞ!」

実はユウタはゴードンを捕らえる為にわざと彼の攻撃を許したのだ。そしてその直後、ユウタは両足でゴードンの脇腹に蹴りを放つ。

「うう!」

蹴りで後ろの飛ばされた直後にユウタは右手首を掴んでいた手を離しユウタは一気にゴードンに近づき攻撃した。

「これが俺の最後の力だ!スラッシュダンスーーーー!!」

ユウタはゴードンの顔、胸、手足、腹部全てにパンチとキックを連続で放った。

「うおりゃーーーーー!!」

ユウタは全力で攻撃し続ける。ゴードンに反撃の隙を与える事無く。

「グワアアアッ!!」

ゴードンは防御する事もできずにユウタの連続攻撃を受け続けている。全力で、これだけの連続攻撃を受けたら、たとえ無傷のゴードンでも只ではすまない。

「うおおおおおおお!!」

長い連撃が終わり、ゴードンは最期の一撃で後ろの大きく飛ばされ、机に叩きつけられた。

「ハァハァハァ・・・・」

机に叩きつけられて動けなくなったゴードンにゆっくり近づくユウタ。そしてユウタは歩き出し、倒れているゴードンの前で立ち止まった。

「流石だな・・・・ユウタ・・・・」
「・・・・・・」
「やはりお前は俺なんかよりもずっと強い、体も精神も・・・・。助けられた恩だと言ってライトシンフォニアの心を捨てヘルデストロイヤーのやり方に生き方を変えた俺は心は弱すぎた・・・・・・」
「・・・・・・だがアンタは恩を返す為に尽くす、人として正しい考え方だと思う」
「フ、フフフフフ・・・・お前に褒められる日が来るとは思わなかった・・・・」
「そうか・・・・?」
「ああ・・・・。俺はお前のような教え子を持てて本当に鼻が高い・・・・。まるで、本当の息子のようだった」
「・・・・・・・」
「これで、自然の四塔(フォースド・ガイア)も終わりだ、残りはゾークとUrs(ウルス)だけだ。だがあの二人は俺達とは比べ物にならない位強いぞ、油断するな」
「分かってる」
「そろそろ時間のようだ・・・・。俺は先に逝く、あの世(あっち)で会ったら、一緒に酒でも飲もうぜ・・・・」
「ああ・・・・覚えておくぜ」
「さらばだ・・・・教え子(息子)よ・・・・」

そう言い残し、ゴードンは目を閉じ息を引き取った。それを見ながらユウタは目を閉じてゆっくりと口を開く。

「じゃあな、教官(父さん)・・・・・・」

死闘の末にゴードンに勝利したユウタ。これで最後の自然の四塔を倒した、これでヘルデストロイヤーの主力とも言える戦力は消えた。この後の戦いは一体どの様な結末になるのか、それはまだ誰にも分からない。


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