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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第107回   第百六話 爆戦!ユウタVSゴードン
過去の話を終えて遂に戦いを始めたユウタとゴードン。教え子と教官、この二人が戦わなくてはならないという神の悪戯の様な運命に二人は一体何を感じているのだろうか?そんな事を考える事も無く二人は戦いを始めた。

「ハアッ!」

ユウタは走りながらゴードンに近づいて行き、両手の指で回していたチャクラムを2つゴードンに向かって投げた。チャクラムはゴードンを挟むように左右斜め前から迫っていく。だがゴードンは自分の胸の辺りまでの大きさの戦闘用ハンマーを片手で軽々と持ち上げ、チャクラムを2つとも弾いた。ユウタはそれを見ても表情を一切変えずに新しいチャクラムを取り出して回した。

「ほぅ、攻撃を防がれても表情を変えずに次ぎの攻撃の準備とは、成長したな」

ゴードンはハンマーを両手で持ち、その先をユウタに向けた。よく見るとそのハンマーの先には大きな穴が開いている、そして柄に部分を力強く引くと、その穴から何かが吐き出された。それは小型のマイクロ弾だった。

「何ぃ!」

ユウタは走るのを止めて大きく右に跳びマイクロ弾をかわした。そのマイクロ弾は管制室の机に命中し爆発した。

「マイクロ弾が仕込まれていたとは、とんでもない武器だな」

突然マイクロ弾が着弾した場所を見て驚くユウタはすぐにゴードンの方を見た、しかしさっきまでゴードンが立っていた場所には彼はいない。

「どこだ・・・・」

ユウタは辺りを見回していると、風の流れが若干変わったのを感じた。そして彼は咄嗟に上を見た、そしてユウタの目にハンマーを振り上げて大きくジャンプをしているゴードンが飛び込んできた。

「うおーーーー!!」

ゴードンは大声を出し、降下しながらハンマーを振り下ろした。ユウタは一瞬驚き、大きく後ろに跳んだ。次の瞬間、ユウタの立っていた場所にハンマーが命中した。そして大きな音を起て、床には地割れの様な罅が生まれた。

「な、なんちゅう馬鹿力・・・・」

驚いてチャクラムを床に落すユウタ。そんな彼の方を見てゴードンはニッと笑いって言った。

「俺の力だけじゃない、重力と契約者の力とハンマーの重さを加えてこの力だ」
「なるほど・・・・こりゃあ、まともにくらったらアウトだな」
「フフフフ、それだけじゃないぞ」

ゴードンはそう言って左手を床につけて小声でブツブツ何かを言い出した。

「氷河の使者よ、牙をむけ!フリーズファング!!」

ゴードンは契約魔法の演唱を終えて魔法を発動させた。しかもそれはコンタが使っていたのと同じ魔法だ。ユウタが咄嗟に後ろに跳ぶと、ユウタの足元から先の尖った大きな氷柱が姿を現した。その後再び後ろの跳ぶとまた足元から氷柱がユウタを襲った。

「クソッ!」

契約魔法の攻撃が終わるとユウタは腰に納めてあるP90を取り、引き金を引いた。銃口から無数の弾が吐き出されてゴードンに迫っていく。だがゴードンは避けようとしなかった、そして弾はゴードンに命中、だが弾は全て凍り付けになり床に落ちた。

(アレは7年前の時と同じ・・・・)

過去にゴードンと再会した時に彼が強盗団のトンプソンの弾を全て凍らせたのを思い出した。

「分かってるはずだぞ?俺には銃の類は通用しないと?」
「そうだったな。じゃあ、これはどうだ!」

ユウタはP90を納めて目を閉じ、小声で契約魔法の演唱を始めた。だがゴードンがそれを黙って見ている分けがない。

「甘いぞ、俺が契約魔法を使った後に契約魔法を使って俺が演唱を見逃すと思っているのか!」

ゴードンは床を蹴り、目を閉じユウタに向かって跳んで行き距離をつめた。だがユウタは風の音を聞きゴードンの位置を知り、大きくジャンプをして、自分に向かって来るゴードンの背後を取った。

「目を閉じたまま俺の背後を取るとは」

ゴードンは宙をクルリと回るユウタを横目で見た。

(なるほど、奴の契約相手は風を操る神竜種、風の音や流れには敏感になってる訳か・・・・)

ゴードンは立ち止まり、ユウタの方を向き直した。だが、ユウタは既に演唱を終えていた。

「雷雲よ、敵を貫く刃となれ!雷鳴の剣、サンダーソード!!」

魔法名を叫んだユウタは片手をゴードンに向けた。すると、手の前に大きな紫色の雷の剣が姿を現しゴードンに向かって飛んで行った。だが、ゴードンは笑ってハンマーの先をサンダーソードに向け、再び柄を引いてマイクロ弾を放った。マイクロ弾はサンダーソードに命中して爆発した。そしてサンダーソードは宙で消滅した。

「クソッ!やっぱり正面からの攻撃は通用しないか・・・・!」

ユウタはクルリと一回転し着地して再びチャクラムを取り出して回した。そして勢いよく回して走り出した。ゴードンは再びハンマーのユウタに向けマイクロ弾を放とうとした、しかし、ユウタも何度も同じ手に引っ掛かるほど馬鹿ではない、ユウタは走りながら両手で回しているチャクラムを左右に投げた。

「?」

突然自分のいる方向とは見当違いの方にチャクラムを投げたユウタを見て少し首を傾げた。

「ダブルロードリング!!」

ユウタが左右に投げたチャクラムは水色に光だし、光の輪となってグルリとUの字の書いて左右からゴードンに迫っていく。

「ステルス・ヴァルキリーを倒した技か。だが、俺には効かんぞ」

ゴードンは目を閉じ再び小声で魔法の演唱を始めた。

「氷塊よ、全てを切り裂く刃となれ!ダイヤモンドダスト!!」

演唱が終わりゴードンの前後左右に氷の結晶が現れ、勢いよく十字方向に飛んだ。そして左右から向かって来る光のチャクラムを弾き、その後ユウタに向かって行き、後ろに飛んで行った結晶もユウタの方に向かって飛んで来た。

「こんな速く演唱を終えて発動するなんて、なんて奴だ・・・・」

ユウタは咄嗟にP90を取り、引き金を引くと銃口から放たれた弾丸は自分に迫って来る結晶を全て撃ち落した。そしてゴードンの方を向くと、ゴードンが消えていた。

「・・・・・・!?」

ユウタは再び辺りを見回した。そして念のために上も見たがゴードンはいない。

「今度は何処だ・・・・」
「こっちだ」
「!!」

突然の背後からの声、慌てて後ろを振り向くユウタ、そこにはハンマーを構えているゴードンの姿があった。

「いつの間に!」
「反応が、遅いな!」

ユウタはゴードンの攻撃を防ごうとしたが遅かった。ゴードンはハンマーでユウタの脇腹を強打した。

「ガァ・・・・!!」

脇腹に伝わる痛みと衝撃、ユウタは大きく後ろに飛ばされ壁に叩きつけられ、その後に床に倒れた。

「う、うう・・・・」
「手応えありだな」

攻撃かクリーンヒットした事を確認したゴードンはゆっくりとハンマーを降りして倒れているユウタを見た。

(クソ・・・!今ので肋骨の2本は折れたな・・・・・・・)

ゆっくり起き上がりながら強打された部分を押さえて骨が折れた事を確認したユウタはゴードンの方を見た。

「あの攻撃を受けて起き上がれるとは、よく鍛えているな?」
「この程度でやられる様じゃ、とてもライトシンフォニアの精鋭部隊は勤まらない、それにお前がいなくなった後はエミリア様が鍛えてくれたからな・・・・」
「成る程、あの方が鍛えたのであれば納得だ」

ゴードンが腕を組んで頷くと、ユウタは立ち上がり両手を横に上げた。すると、ユウタの両手に突然風が纏い出し、その状態から拳を作り自分の顔の前に持ってきた。どうやら接近戦で戦うつもりらしい。

「ほぅ、俺に接近戦で挑むか?」
「チャクラムも銃も通用しない以上、俺に残された戦術はこれだけだ」
「そうか、だったら俺もお前と同じ土俵で戦うとしよう」

ゴードンはハンマーを捨て、ユウタと同じように顔の前に握り拳を持ってきた。

「戦いの基本か格闘だ、それこそ戦士の本当の戦い方と言うもの」
「・・・・俺がお前から初めて戦術を習う時、一番最初に教わったのが格闘技だった」
「そう言えばそうだったな」

ゴードンの言葉を聞き、再び昔を思い出し少し悲しそうな顔をするユウタ。だがすぐに戦う表情に戻った。

「格闘(これ)で必ずお前を倒す!」
「できるものならな!」

ユウタとゴードンは同じタイミング、同じ速度で走り出した。戦いは格闘戦へ持ち込まれた、しかし、二人には大きな体格の差があった。学生ほどの体格のユウタと2m近くの身長でボディビルダーの様な体格のゴードン。しかもユウタは大きなダメージを受けていた。果たしてユウタに勝ち目はあるのだろうか!?


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