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作品名:ラビリアンファンタジー 作者:ディオス

第102回   第百一話 管制室の罠

管制室に到着したユウタとレイナ。しかしそこには人影は無く、代わりに自然の四塔(フォースド・ガイア)のゴードンとリーズの二人が待ち伏せしていたのだ。

「なぜお前達がここにいるんだ・・・・?」

レイナがSAAをゴードンとリーズに向けて冷静な声で尋ねる。するとリーズも冷静な声で言った。

「簡単な事だ、お前達が侵入して真っ先に向かう所と言えばこのベンヌ全てを管理している管制室しかない。だからこうやって待ち伏せしていたのだ・・・・」
「なるほど・・・・」
「更に言えば、ここで貴様等の行き先を調べて部隊を送り込んだのだ・・・・」

レイナが説明していると、今度はゴードンが口を開いた。

「ライトシンフォニアの中で一番厄介なのはお前達だ。お前達を倒す為には上回る力を持つ者を送り込む必要があった。そこで、自然の四塔(俺達)の出番というわけだ。ヘルデストロイヤーでお前達を倒せるのは俺達しかいないからな」
「それなら、マサシ達やコンタ達の所にも自然の四塔の誰かを送り込んだのか?」

ユウタがゴードンに尋ねると、ゴードンはユウタの方を見た。

「ああ、月本と狐火の所にはハヤテとサヤカを送り込んだ。だが・・・・数分前から二人との連絡は途絶えている」
「何?」
「気になって『コイツ』を見たら光が消えていた」

ゴードンは自分の手首に付いているブレスレット型の装置をユウタとレイナに見せた。サヤカがシオンに見せたのと同じ物だ。

「それは・・・・?」

レイナが装置を見て訊くと、リーズは自分の手首にも付いている装置を見ながら言う。

「コレは私達の生存を知らせる装置だ。装置についている四つの光が私達の生死を表している、光が消えば死んでいるという事・・・・」
「四つの中二つが消えている。ハヤテとサヤカを現す光だ」

リーズとゴードンの説明を聞いてユウタとレイナはお互いを目だけで見た。

(という事は・・・・コンタとシオンは)
(勝ったか・・・・)

コンタとシオンの勝利を確信し、心の中で呟くユウタとレイナ。すると、リーズが二人を見て腕を組んで言った。

「アイツ等は負けたが、私達はあの二人の様にはいかん。お前達をここで始末する。その為に戦いやすいように管制室の連中を先に退避させたのだからな・・・・」
「準備がいいな・・・・?」
「言っただろう?お前達がここに来る事は分かっていたと」

リーズはそう言って指をパチンと鳴らした。

「何のつもりだ?」

突然指を鳴らしたリーズの行動に首を傾げるユウタ、その時。

「うわぁーーーー!!」
「「!!」」

突然背後から聞こえた悲鳴。驚いて振り向くユウタとレイナ。そして彼等は倒れる仲間の傭兵を目にした。その傭兵の背中には何かで引き裂かれたような跡があった。仲間が殺されて驚きを隠せないでいる他のライトシンフォニアの傭兵。辺りを見回すが、誰もいない。

「な、何だ!一体何が起きたんだ!?」

慌てて辺りを見回す傭兵達。すると、何も無い所から突然黄緑色の物体が現れて傭兵の背中に向かって飛んで行き、背中に当たり爆発した。

「グワァ!!」

何者かの攻撃を受けて二人目の傭兵もやられてしまった。それを見て更に慌てる残りの三人の傭兵。

「う、うああああああ!!」

その内の一人が物体が現れて場所を狙ってG36の引き金を引いた。しかし弾は壁と床に当たるだけだった。今度はその傭兵の背後からさっきの黄緑の物体とは違う別の物体が現れ、傭兵の背中に命中し爆発した。

「ギャアア!!」
「ヒッ!!」

攻撃を受け、殺された仲間を見て驚く別の傭兵。物体が飛んで来た方を傭兵が見るが、やはり何も無い。すると今度はその傭兵の胸に大きな切傷のような物が生まれた。

「がぁ!!」

傭兵はそのまま仰向けに倒れて動かなくなってしまった。その傷は最初に攻撃を受けた傭兵の傷とよく似ている。それを見た最後の傭兵は取り乱しながらG36を構えて辺りを見回した。

「な、何なんだ!どうなって・・・・」

次の瞬間、傭兵の体を透明の何かが貫いた。

「が・・・・が・・・・・・」

その何かは傭兵の体から引き抜かれ、傭兵はそのまま床に倒れた。傭兵の体を貫いた透明の何かは血が浮かび上がった。それは鋭い爪の形をした物だった。しかも一つだけではなく、五本あり、まるで人の手の形をしていた。

「ア、アレは・・・・」

何者かの攻撃を受け全滅してしまった仲間の傭兵達。彼等を殺した正体不明の敵。しかし、ユウタとレイナはその正体不明の敵の正体に気づいていた。

「奇襲とは卑怯な手だな?ステルス・ヴァルキリー・・・・」

すると、倒れた仲間の近くの風景が微かに歪み、その場所から何者かが姿を見せた。それはリーズ直属の部下、ステルス・ヴァルキリーの生き残りのスクルドとベルダンディーだった。

「よく分かったな?」
「流石神竜隊ですね」

サイボーグ化した二人のヴァルキリーがユウタとレイナを見て笑う。レイナは二人のヴァルキリーからリーズの方へ視線を移した。

「なぜコイツ等がここにいるんだ・・・・?」
「私の直属部隊だぞ?私の近くにいても不思議じゃないだろう・・・・?」
「・・・・・・まずはコイツ等と戦えって言う事か?」

ユウタもリーズの方へ視線を移し尋ねると、リーズはニッと笑った。どうやらそうみたいだ。

「安心しろ、そいつ等と戦っている間は私とゴードンは手を出さない。心置きなく戦えばいい・・・・」
「チッ!」

リーズを見て舌打ちをするユウタはチャクラムを取り、二人のステルス・ヴァルキリーの方を見た。リーズもSAAを2丁抜きステルス・ヴァルキリーの方を見た。

「レイナ、さっさとコイツ等を片付けるぞ!」
「分かってる・・・・」

二人は武器を構えてステルス・ヴァルキリーを睨むと、二人のヴァルキリーもロボットアームを構えた。

「仲間の仇は取らせてもらうぞ・・・・?」

レイナがベルダンディーを睨みながら言うと、ベルダンディーもレイナを睨んで言った。

「それは俺達も同じだ、コルヘルスで倒されたリーダー達の仇、今ここでとってやる!」

ユウタが大きく横に跳ぶと、スクルドはそれを追うように跳んた。そしてベルダンディーは高くジャンプしロボットアームをレイナに向けた。するとロボットアームの掌に黄緑色の光球が現れ、ベルダンディーはその光球を野球ボールを投げる様にレイナに向かって放った。レイナは軽く後ろの跳び、その光球を回避、そしてSAAを空中にいるベルダンディーに向け、引き金を引いた。しかしベルダンディーは掌をレイナの方に向け、黄緑の半透明の六角形の板を作り出しレイナの銃撃を防いだ。

「アレがマサシの言っていたステルス・ヴァルキリーの防御兵器か・・・・」

自分の銃撃を防いだ防御兵器を見て少し驚きの顔を見せるレイナ。ベルダンディーはゆっくりと着地してレイナの方を見てニヤリと笑った。

「ヒヒヒヒ、よくかわしたな?なら今度はこれだ」

ベルダンディーは笑いながらスッと姿を消した。再びステルス迷彩を起動させたのだ。

「また姿を消したか・・・・」

レイナが顔を動かさずに目だけで辺りを見回した。そんな彼女の視界にスクルドと戦っているユウタが飛び込んできた。

「どうしたんですか?防ぐので精一杯じゃないですか!」
「クソッ!」

ユウタはスクルドのロボットアームの爪による攻撃をチャクラムで防ぎながら後退している。

「この程度ですか、残念です!」

スクルドは攻撃を止めて後ろに大きく跳んだ。そして肩膝をユウタに向けてガコンと膝の間接部分の装甲を開き、マイクロ弾を発射した。

「マイクロ弾か!?」

ユウタは咄嗟にチャクラムをマイクロ弾に向けて投げた。チャクラムはマイクロ弾に命中し、空中で爆発した。その爆発でおきた煙が広がり、煙が消えて頃、煙の向こう側にいるはずのスクルドの姿が消えていた。

「消えた・・・・奴もステルス迷彩を使ったか」

ユウタはレイナの立っている所まで大きく跳び、彼女と背中を合わせて周囲を警戒した。

「分かるか、レイナ?」
「私はコンタやシオンと違って耳はよくない、分かるはずないだろう・・・・」
「だよな・・・・」

愚問だったと心の中で少し反省するユウタは改めて辺りを警戒する。

「奴等のステルス迷彩は我が社が使っているフルプ迷彩よりも性能がいい、姿を消している奴等を見つけるのは簡単じゃない・・・・」
「じゃあ、方法は一つだけだな?」
「ああ・・・・」

二人はそう言ってそれぞれの武器をしまい、目を閉じた。この状況で武器をしまうという事は「殺してください」と言っている様なものだ。しかし二人もそんな事は承知しているはずだ。一体何をしようというのだろうか。

(ハッ!何やってるんだアイツ等?)
(諦めたのでしょうか?)

姿を消しているスクルドとベルダンディーが小声で話している。しかし何処にいるのかは分からない。

(そんなに死にたいなら望みを叶えてやろうぜ?)
(そうですね)

二人のヴァルキリーは笑いながら掌を二人に向けた。彼女達の掌に黄緑の光球が現れ、攻撃をしようとした瞬間。

「「!」」

目を閉じていたユウタとレイナが同時に目を開き、上を見た。二人の目の先には黄緑色の光球が飛び込んできたのだ。

「「そこだ!!」」
「「なっ!?」」

ステルス・ヴァルキリーの居場所を知り同時の声を上げるユウタとレイナ。そして気付かれて同時に驚くスクルドとベルダンディー。ユウタは瞬時にしまったチャクラムを抜き天井目掛けて投げた。

「くらえっ!ダブルロードリング!!」

ユウタの投げたチャクラムが突然水色に光だし二つの光の輪になって天井に向かっていく。続いてレイナがSAAを抜いて天井を狙って引き金を引いた。

「オーラショット・・・・」

銃口に黄色い光が集まり、その光は天井に向かって発射された。

「そ、そんな・・・・」
「馬鹿な・・・・」

ダブルロードリングとオーラショット、二人の技はステルス迷彩で姿を隠しているスクルドとベルダンディーに命中し大爆発を起こした。ユウタとレイナが1歩ずつ前に進むと、二人が立っていた場所に何かが落ちてきた。それは二人の技をまともに受け、再起不能になるほどボロボロになっていたスクルドとベルダンディーだった。

「いくらお前達がうまく姿を隠しても攻撃する時に作られる光球や発射されたマイクロ弾までは隠す事は出来ない。」
「だったら、お前達を見つける方法は攻撃を仕掛けてくる瞬間しかない、だからわざと隙を見せたのだ・・・・」

二人は動かなくなった二人のヴァルキリーを見た後にゆっくりと奥に立っているゴードンとリーズを見た。ステルス・ヴァルキリーを倒したユウタとレイナ。だがまだゴードンとリーズがいる。二人の本当の戦いはこれからだ。


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