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作品名:無花果ゴルゴンゾーラ蜂蜜 作者:illumination

第3回   ブラジル料理屋にて・1
平日だというのに、夕方の心斎橋はすごい人だった。
待ち合わせより少し早く到着したので、紀子は迷わず大手百貨店の
化粧室に直行した。化粧直しのためだ。しかし今から顔を合わせる人間の顔を想起すると、従姉妹のエリコと、3ヶ月前花火で知り合った高橋くんとそのブラジル好きの
友人の3人であり―最も最後の1名についてはあったことはないが、高橋の
友人ということで同等レベルだとおもわれた―化粧直しの必要性さえ疑われた。
しかし、自分の中で満足のいくレベルの身だしなみをしていないと、人と会う楽しみが
半減してしまうことがよくわかっていたので、ごそごそと化粧ポーチを取り出し、
まずは一日オフィスにいて崩れたベースメイクを、メイクオフシートで落とすところから始めた。念入りにメイクを直し、髪型を合わせ鏡であらゆる角度からチェックし、
全身をざっとチェックすると、最後に鏡に向かって得意のスマイルを披露し、
大満足で化粧室をでた。
気合の入っていないときほど、イケてしまうのはどうしてかしら、と小首をかしげながら。
時計をみると、 6時28分。約束が30分ジャストなので、ここからだと2〜3分遅刻で到着だ。ちょうどいいタイミングだ。あまり早すぎてもいけないことも計算済みだからだ。
待ち合わせ場所のスターバックスにつくと、まだエリコしかきていなかった。
とおもったら、逆側に、高橋の姿が見えた。
とりあえずエリコの肩をぽんとたたいて「ごめん、ごめん」と声をかけ、
促して高橋のところにむかった。
高橋はすぐこちらに気づき、いつもの屈託ない笑顔をうかべた。
となりの男に目をやる。なんだかずんぐりしてるなあ、というのが
第一印象だった。背は高橋よりも高く、180に少し届かないくらいに思えた。
とくに太っているわけではないが、肌のなめし皮っぽいところとか、独特の雰囲気が、昭和っぽい重量感をかもし出していた。
とりあえず店に向かうことにした。


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