三つの小隊からなるライル島攻略隊は、淡く幻想的な満月の夜空を飛行していた。眼下には綿飴にも見える雲があちらこちらに浮遊していて、更にその下には月明かりに照らされた海が見えた。時々ほくろのような黒点が見えるがそれは恐らくこの近海の島なのだろう。先ほどまでは発見するのも困難だった島々が段々と大きくなっていると言うことはライル島が近いことを証明しているようだった。 耳元でノイズ音を伴いながら、この作戦の指揮を執る第一小隊長からの無線連絡が耳に響いた。 「目標まであと20分を切った。各隊、ここからは領空侵犯となるため、国境警備隊に注意せよ」 「了解」 隊員の返答が各々の耳元で聞こえてきた。この無線連絡を境に、全員の空気が張り詰めてきていた。これからたたかう敵は恐らく、今までたたかってきたどの敵よりもここの能力が高く、また組織力があるはずである。正面から勝負を挑んでも恐らく勝ち目はない。奇襲による混乱が収まらないうちに制圧してしまうのがもっとも妥当な作戦だった。そのため、入念な現地調査、作戦立案が行われ、いくつものシミュレーションを実施し、今回の作戦実行に到ったのだった。だが、それでもかつてない緊張は無かろうはずもなかった。
20分経過が経過した。この空域で旋回をしながら、最終確認と目標の天候調査が行われていた。目標となるライル島がはるか下でいつもの夜を過ごしていた。おそらく、島民は明日の日常を疑いもしていないだろう。しかし、小隊長が静かに作戦開始の合図をかけると、ライル島からいつもの夜が消え去っていった。
|
|