※ 「ただいまより、第三王子ダースの成人式を始める」 長い式典の始まりを告げる教皇の宣言とともに俺の成人式は始まった。緊張からか、歩き方がぎこちなかった。 父上の目の前まで来て、俺は未来への誓いを読んだんだ。 「私は、生涯、我が母なる国サクラートの第一の下僕として、尽力を惜しまないことを誓います。私の御霊はサクラートの地で授かり、サクラートの地で旅立つことを皆に約束します。どうか、天の導きを私に授けください。 父上は、遠くを見ながら、僕の誓いを受けていた。どこか、さびしそうな目をして・・・・ 「私は、我が子ダースがサクラートの盾となり、剣となることを認める。わが国のために命をかせ」 ※
1001年2月8日だったかな。確か、成人式の2日後だった。 朝から父上に呼び出された俺は、服装を整え、謁見の間に向かった。 「父上、王子ダース、参上しました」 今もだけど、あの時からサクラート国は隣国のジューズルと戦争状態だった。だから、父上が戦争についての話をしようとしているのはすぐに分かった。 ちなみに、サクラートでは15歳で成人式を迎える。15歳以上にならないと、戦場には出てはいけないのがサクラートの決まりだ。 「ダースよ。二人の兄はすでに戦地に赴き、対ジューズルで大きな戦果を挙げている。主もすぐにでも、戦地へ赴き、輝かしい歴史を作ってほしいと願っている。しかし、主は若い。まずは国内の小事で自分の力を試してほしい」 父上の優しさを感じた瞬間だった。最後のね。 「心遣い、ありがたき幸せ」 「うむ。では、下がってよいぞ」
城の廊下は長い。考え事しながら、歩くのに良いと思う。だから、あの日も考え事しながら歩いてた。 「王子・・・・・・王子?」 気がつくと、横に俺の秘書兼お世話係のレナがいた。金髪の髪がおしゃれな背の低い18歳。俺にとってお姉ちゃんみたいな感じだ。 「あら・・・・・・レナいたの?」 いつのまにか立ち止まってたから、また歩き出した。そして、レナの話を聞いた。 「しっかりしてください。明日からは公務なども入ってきます。それにいつ出兵の命が下るかもわかりません」 俺はちょっとむくれた。だって、このときは、そんなこと当たり前だと思ってたから。けど、戦場に出るとそれは間違いだって気づいたんだけど・・・・・ 「わかってるよ。そんなこと。ちょっと考え事してたの」 城を出て、自分の屋敷に戻った。その後、俺の人生に関わる、第一の選択を迫られたんだ。 俺は今でも思うよ。あの時、もし違う未来を選択していたら、父上は生きていたのかな?って・・・・・・・
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