これは・・・この瞬間に目が覚めて、「死んだ夢見ちゃったよ、ハハハ。なかなか可愛い女の子に案内されてさ」なんて家族に話して
「ナイナイ、これマジな話だからね。あなたはこれから天国へ行くんです。」 「!?僕の考えた事分かるの?」 「ふふん、ヒトの心くらい読めないと天使とは言えないわ。」
いくらか得意げに彼女は言う。
「・・・はぁ。」 「素直なヒトね、あなたって。普通自分が死んだって聞かされたらもっと泣き喚いたり、ヒドイのになると私たちを罵ったりする事だってあるのよ。こんな風に素直に認めて受け止められるヒトってなかなかいないわ。」 「そう見えるだけだよ。信じられないんだ。まだ夢じゃないかって疑ってる。だから落ち着いて見えるんだよ。」
彼女はむぅっと唇を尖らせた。
「ま、いいわ。天国までは長いし、着けば嫌でもわかるから、別に信じなくても。」 「僕、天国へ行けるの?」 「そうよ。だから天使の私が案内してるんじゃない。」
この美少女は自分が天使の仕事をしている事にとても誇りを持っているようだ。 自分の事を天使だと名乗る度、嬉しそうに横顔が輝く。 僕はこんな風に自信を持ってやってきた事が一つでもあっただろうか。 これが夢にせよ、現実にせよ、僕はこの少女との会話が楽しくなってきた。
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