「転換機の描写」 1999 3・21 12:52 notebook page 89~92
たとえば、、、わた=しが現在食べている麺について描写するとする。あなたがそこである特定の白い麺を、あるいは他の麺類を、想像する可能性についてわた=しが一体何を知りえるというのだ? それが昼食であるか朝食であるか、あるいは、夕食であるか、それとも名も無き時間の食事であるのか、 ……が何を知りえるというのだ? あなたが実際にその姿をどのように想像するのか、、わた=しが理解できるとする必然性はどこにある? このようにわた=しが言うドノヨウナ・・訂正・・このように一人称単数代名詞が指し示す記号についてどのように聞き手が連想する光景、その他様々な影響に ……の責任は一切認められないことになる。 つまり、言語は常に抽象記号であり・・訂正・・最大公約数的な抽象記号を共有する人々は、その記号に内在する想像の暴力性に晒される危険性に常に無防備な状態である。 もしその影響力を好ましくないと思うのならば、、……は抽象記号を持たない生存方法を発見しなければならない。 ところで、あなた方は・・訂正・・ところで記号の受信者はどのような存在であるのか? その色は、その形は?? わた=しには実際のあなたの姿は全く思い浮かば・・訂正・・記号をアウトプットする装置には、そのインプットする装置の具体性について、一切情報を有しているわけではない。 しかしながら言葉は、それだけでなく表現行為は確かに・・訂正・・しかしながら発信される全ての情報は、事実として、ある伝達経路を辿る運命にある。 経路の分析。 第一段階・発信者のイメージ 第二段階・発信者のイメージから抽象的記号への変換作業 第三段階・発信者の物理的な抽象記号の表象行為 第四段階・転換機===物理的な媒介物質 第五段階・受信者の物理的な抽象記号の処理行為 第六段階・受信者の抽象記号からイメージへの変換作業 第七段階・受信者のイメージ
我々は常に・・訂正・・記号の共有集団は常にある記号を読み解く場合、このような経路を辿り抽象記号に個々のイメージを植え付ける。 イメージ==果たしてそれは記号を共有する集団が持つイメージと・・訂正・・はたしてそれは発信者のイメージと受信者のイメージが合致するかどうか? それを確かめる方法は現在存在しない状況である。 発信者と受信者のイメージの違いは、何億年も触れることのない天体の運行のように感じる・・訂正・・我々のイメージの差異は、慣性運動という法則に支配された、同じ方向に進む二つの物質が辿る直線運動の並列の軌跡に似ている。それらは永遠に交わる事もない。
しかしながら人と人を繋ぐ行為は・・訂正・・イメージの差異にも関わらず記号を共有する集団はその記号によって接触する事ができる。そこには常に媒介物質としての転換機が存在する。 媒介物質のもっとも主要なものは光である。 光は我々を繋ぐだけでなく我々の周囲を取り囲む世界のあり方にも・・訂正・・光という媒体は記号の共有集団にだけでなく、それらの環境についても伝達する役目を果たす。 媒体となるものは総て転換機の役割を果たす。 しばらく転換機という抽象的な記号から想起するイメージを具体的に思い浮かべて欲しい……
……そして、わた=しが思い浮かべる転換機との違いを見べて・・訂正・・そして一人称単数代名詞が、つまり発信者が描写する転換機と受信者が想起するイメージの差異について明らかにしよう。
古い物置小屋が乾いた荒野に横たわる線路のそばにある。その線路の横を流れる小さな水の流れもある。流れが物置小屋の前に差し掛かるとそこには水車が回転している。そして水車と小屋の間には、レールを入れ替える目的で使われるようなレバーの着いた機器が地面にある。その木製レバーは腰の少し上まで伸びていて、その錆だらけの鉄の棒と地面に打ちつけられてある文字が刻まれた鉄製の台がある。レバーが突き出している横長の溝の稼動幅はおよそ五十cmといったところである。そしてレバーを一方に動かすと―それにはかなりの力が必要である―何かがかみ合わさった音と共に、歯車のようなものが回転する音も聞こえる。
以上がわた=しのイメージする転換機・・訂正・・以上が発信者のイメージに変換行程をかけて抽象記号で表したものである。 受信者が思い描く転換機というタームのイメージとはかけ離れているという事実を、確認できたとわた=しは考える。 さてここで問題になるのはわた=しが描写した・・訂正・・問題になるのは転換機というタームだけで受信者が思い浮かべるイメージと、発信者のイメージを受け取った受信者がイメージする転換機との違いである。始めのものと後のものでは、イメージにずれがある。 つまり、我々が話すという行為にはある作用が・・訂正・・つまりそのイメージの相互関係は一方的に発信者が受信者のイメージを支配し限定する作用を持つということである。 我々の伝達方式はこのような支配性から無縁に・・訂正・・転換機を通して媒介する個々のイメージを変換した共通記号には、圧倒的な強制力が存在することを・・訂正・・一方的なバイアスがかかるという事を忘れてはならない。 ところであなたはいったい・・訂正・・ところで受信者はいったい何処に存在するんだ?
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