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作品名:新改革同盟 作者:三日月

最終回   4
 それまで平穏だった町が、にわかに騒がしくなった。
 警察、機動隊の姿が、町の中に目立つようになる。
 新改革同盟のテロ活動は、封じ込められているようである。
 さすがに、国家の力は、あなどれない。
「ついに『新改革同盟』が、反政府団体に指定されたようですよ。これから、本格的な弾圧が始まります」
 孝雄が言った。
 孝雄な話によると、東京で「新改革同盟」による大規模なテロが行われたらしい。
 それは、政府の要人をターゲットにしたものだった。
 ついに「新改革同盟」は、この国を根本的に変えようと実力行使に出たらしい。
 そのためには、今の政府の上層部を倒さなければならない。
 それは、誠一も同感だった。

 その日、全ての住民の外出を禁止するという放送が、警察の街宣車から流れた。
 街宣車は数台が、町の中を走っているようである。
 その日は、仕事は無かったが、たまたま、パンでも買おうと外出をしていた誠一は、街宣車についていたパトカーの警官にあおられて、アパートの部屋に戻る。
 孝雄は仕事のある日だったが、その仕事を中断して、部屋に戻って来た。
 誠一は、呼ばれて、孝雄の部屋に行く。
 別に、アパートの隣の部屋に行くくらいなら、構わないだろう。
「何があるのでしょうね」
 誠一は言った。
「うん、わかりませんが……」
 孝雄も悩んでいる。
「やはり『新改革同盟』と何か関係があるのでしょうか」
「恐らくは、そうでしょう。他に、考えられません」
 事の真相がわかったのは、また、翌日のことである。
 様子を見ていた労働者から、話を聞いた。

 昨日、町を封鎖した機動隊は、数か所にある新改革同盟の拠点に踏み込んだ。
 しかし、新改革同盟は、反撃に出ることなく、この町から撤退をした。
 地方の一都市での活動よりも、中央での大規模な活動を選んだらしい。
 しかし、多少の小競り合いはあったようである。
 いくつかの爆発が、町の中で起こった。
 機動隊に、十数人の負傷者が出たようである。
 新改革同盟のメンバーも、十人近くが、逮捕、連行された。
 さらに後でわかったことだが、この新改革同盟に対する弾圧は、日本全国、一斉に行われたようである。
 東京、大坂、名古屋といった都市部では、大規模な機動隊と新改革同盟との衝突があったようである。
 この日以来、新改革同盟は、地下組織になった。

 それからも、誠一の生活は一向に良くならなかった。
 唯一の頼みであった「緑の葉」の活動も、制限されたままである。
 この先の見えない世の中で、日本はどうなって行くのだろうと考えた。
 しかし、それは無駄なことである。
 まずは、自分の生活が一番だった。


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