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作品名:秘めた力 作者:三日月

最終回   8
 加納愛子が、会社の中で慌てていた。
 それを見つけた孝太郎は、
「どうしたの」
 と、聞いてみる。
「笠原さんの姿が見えないの」
 と、愛子が言う。
「今、そこに居たと思ったのに」
 と、愛子は休憩室の方を指さす。
 孝太郎も、休憩室を覗いた。
 が、そこに、笠原由香子の姿はなかった。

 青野四郎は、病院のベッドの中で意識を取り戻していた。
 自分は、死んではいない。
 そのことを確認するまでに、少し時間がかかる。
 ベッドの傍らの椅子に一人の女性が座っていた。
「君は?」
「笠原由香子よ。知っているでしょう」
「なぜ、ここに」
「あなたの悲鳴を聞いたのよ。それで、ここに飛んで来た」
「飛んで来た?」
「瞬間移動。あなたも使えるみたいね」
 四郎は、由香子から、これまでの話を聞く。
 四郎の精神の悲鳴が、由香子の心に届いたこと。
 そして、由香子はここに飛んで来て、四郎を助け、病院に向かった。
「私たち、超能力者を専門に狙う殺し屋が居るようね。あなたを襲ったのも、そういう仲間の一人かも」
「あの男は、どうしたのですか」
「警察に居るわよ。私が確保した」
「笠原由香子さんの話は、山梨の研究所でも聞きました。やはり、素晴らしい超能力のようですね」
「まだ、未知の部分が多い。私自身にとってもね」
 研究所から、医師が一人、車で病院に来た。
 笠原由香子は、それと入れ替わりに居なくなる。
 怪我の回復を待って、四郎は研究所に戻った。
 所長をはじめ、スタッフや三人の超能力者が、四郎を迎える。
「予知は当たったようだな。しかし、君が死ななくて良かった」
 浜中所長が言う。
「笠原さんのお陰ですよ。彼女に助けられました」
 四郎は言う。
「笠原由香子か。また、研究に協力をしてもらいたいが、彼女の意思次第だから」
 所長は、あきらめ気味に言った。

 四郎は、それから、瞬間移動を試してみたが、どうもうまく行かないようだった。
 自分の超能力は、まだ、自分でコントロールをするまでには行かないようだった。



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