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作品名:拳銃 作者:三日月

最終回   18
 光太郎は警察署で取り調べを受けた。
 北川信也は、腹を撃たれていて、病院に運ばれる。
「なぜ、君は拳銃を持っていたんだ」
 刑事に聞かれて、光太郎はこれまでの経緯を、正直に話した。
 偶然、自宅の近くで拾ったこと。一発だけ、山の中で試射をしたこと。拳銃の魅力に引かれて、つい、部屋の中に隠していたこと。今日は、警察に届けるつもりで、拳銃を持って部屋を出たこと。
 しかし、暴力団員に向けて一発、発砲をしたことは黙っておいた。警察の知らない事件をわざわざ話すことはないと思う。
 光太郎は拳銃所持の罪に問われ、一応、送検されるらしい。
 しかし、刑務所に入るということはないようなので、安心をした。
 拳銃はもちろん、警察に没収をされる。少し、惜しい気持ちもあった。

 太田は、北川の持っていた拳銃と、川島光太郎の持っていた拳銃の二丁を机の上に並べて眺めていた。
「何をしているんですか」
 その太田の様子を見て、中村は言った。
「一般市民が、簡単に拳銃を入手できる時代になったようだな。俺たちも、常時、拳銃を装備しておいた方がいいんじゃないのか」
「今回の二人の場合は、特別じゃないですか。北川の場合は、暴力団員から取り上げたものですし、川島という男は、偶然、拾ったということですから」
「しかし、拳銃が次第に一般市民の間に入って行くという状況は明かだろう。困った世の中になったものだ」
「法律の強化、俺たちの捜査の強化が必要ですかね」
「それも限界があるだろう。根本から、原因を叩かないと」
 刑事二人が話し合ったところで、どうしようもない問題である。
 太田は拳銃を、片付けることにした。


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