光太郎は警察署で取り調べを受けた。 北川信也は、腹を撃たれていて、病院に運ばれる。 「なぜ、君は拳銃を持っていたんだ」 刑事に聞かれて、光太郎はこれまでの経緯を、正直に話した。 偶然、自宅の近くで拾ったこと。一発だけ、山の中で試射をしたこと。拳銃の魅力に引かれて、つい、部屋の中に隠していたこと。今日は、警察に届けるつもりで、拳銃を持って部屋を出たこと。 しかし、暴力団員に向けて一発、発砲をしたことは黙っておいた。警察の知らない事件をわざわざ話すことはないと思う。 光太郎は拳銃所持の罪に問われ、一応、送検されるらしい。 しかし、刑務所に入るということはないようなので、安心をした。 拳銃はもちろん、警察に没収をされる。少し、惜しい気持ちもあった。
太田は、北川の持っていた拳銃と、川島光太郎の持っていた拳銃の二丁を机の上に並べて眺めていた。 「何をしているんですか」 その太田の様子を見て、中村は言った。 「一般市民が、簡単に拳銃を入手できる時代になったようだな。俺たちも、常時、拳銃を装備しておいた方がいいんじゃないのか」 「今回の二人の場合は、特別じゃないですか。北川の場合は、暴力団員から取り上げたものですし、川島という男は、偶然、拾ったということですから」 「しかし、拳銃が次第に一般市民の間に入って行くという状況は明かだろう。困った世の中になったものだ」 「法律の強化、俺たちの捜査の強化が必要ですかね」 「それも限界があるだろう。根本から、原因を叩かないと」 刑事二人が話し合ったところで、どうしようもない問題である。 太田は拳銃を、片付けることにした。
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