中村は、すぐに車でジムの前に到着した。 車を降りると、中村は太田のいる場所まで走る。 「北川信也が、犯人だという確信が?」 中村は言う。 「北川信也が、拳銃を所有しているらしいことがわかった。これから、ジムに踏み込む。身柄の確保だ」 「しかし、逮捕令状がありません」 「構わない。拳銃の発見が先だ」 太田と中村は、ボクシングジムの中に入る。 北川信也が、サンドバックを叩いている場所に歩く。 「北川信也くん。井川一美殺人容疑で、署まで同行願おうか」 太田は言った。 北川は、サンドバックを叩く手を止める。 「なぜです」 北川は、冷静に言った。 「拳銃を隠し持っているな。どこにある?」 「拳銃? 何のことだか、わかりませんが」 「とぼけるな。嘘をついていると、罪が重くなるだけだぞ」 太田は、北川の腕を取ろうとする。 しかし、北川は、それを振り払った。 北川は、太田と中村を押しのけて、更衣室に走った。 太田と中村は、北川の後を追いかける。 北川は、更衣室の窓から、外に逃走した。太田と中村も、同じ窓から追いかける。 北川の足は速い。太田と中村は、見る間に、引き離された。 数度、角を曲がったところで、北川の姿を見失う。 「しまった。すぐに署に連絡を取って、非常線を張らないと」 太田の指示で、中村はすぐに署に連絡を取った。 太田は、北川が逃げたであろう方角に向かって、走った。
|
|