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作品名:拳銃 作者:三日月

第13回   13
 光太郎は事件をテレビのニュースで知った。
 光太郎は、事件に衝撃を受けた。
 もちろん、犯人は光太郎ではない。その光太郎が衝撃を受けたのは、身近で起きた事件の悲惨な状況だった。
 女性は正面から、額を拳銃で撃ち抜かれていた。犯人の冷静さと狂気を、その状況から読み取ることが出来た。
 自分の部屋の中にも、今、拳銃がある。
 もしかすると、自分もまた、同じような事件を起こさないとも限らないと感じた。
 光太郎は、押入れの中の拳銃を取り出し、それを目の前にして考えた。
 これはやはり、どこかに放棄するべきだろうか。
 誰にもわからない場所に、捨ててしまうのが一番いいのかもしれない。
 今回の事件が起こったのも、恭子が住んでいるアパートの近くだった。
 定食屋で、恭子は言った。
「私の部屋にも、また銃声が聞こえたのよ。怖かったんだけど、近所の人たちが家から次々と出て来るのを見て、私も部屋を出たの。現場には、まだ女の人が倒れていて、頭から血を流していた。誰が通報したのか知らないけど、救急車が来て、それから、警察も来たわ。私の部屋にも、刑事が聞き込みに来た。刑事なんて、見たのは初めてよ」
「物騒だね。暴力団の仕業かな」
 光太郎は言ってみる。
「どうだろう。でも、女の人を殺すなんて」
 恭子は、今のアパートから、どこかに引っ越しをしようかと考えていると言った。
 確かに、その方がいいかもしれないと光太郎も思う。
 今回の事件の犯人は、暴力団の組員ではないかもしれないと、光太郎は思っていた。
 根拠はないが、直感としてそう思った。


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