「万事抜かりはないんだろうな。」 薄暗い蛍光灯の下で3人の男があたりを気遣いながら話し込んでいた。 「大丈夫だ。譲二がしくじらなければオレ達の勝ちだ。・・・それにしても譲二のヤツ遅いな。呼び出してから1時間は経つぞ。あそこからここまで30分もあれば来るんだが。 まさか、しくじったんじゃ! おいトシ!見て来いよ!」 トシと呼ばれた男は無言で立ち上がりドアを開けた。その時1人の男が息咳切って駆け込んできた。 「遅くなってすンません!車が混んでて!」 男は黒猫のジョージだった。 「ったく!おまえはいつもそうだ!時間にルーズな人間はもっての外だ。」 「モリ。そのへんで許してやれ。譲二も急いで来たようだし何事もなかったんだから。」 「でも駒木さん・・・」 モリこと、森河準は不満げに抗議しようとしてリーダーの駒木にジロリと見据えられ押し黙った。 「いいか。この計画はオレ達ドリームボーンの命運がかかった大仕事なんだ。全て正確に事を進めなければならない。それぞれこれからの行動を再チェックしよう。・・・おっと、その前に譲二、お嬢さんはどうした。よもやケガなんかさせていないだろうな。オレ達はそういう輩とは違う。」 熱っぽい口ぶりに黒猫のジョージは赤くなり狼狽したが、薄暗いせいで誰も彼の変化には気づかなかった。沙織をぶったことが知れたら大変なことになる。他の3人と比べ外見は良くても少々知能の低い黒猫のジョージこと、高田譲二は背中に汗が噴出すのを感じた。
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