「良ちゃん!」 ちょうど初七日で帰って来た綾子が良の絶叫を聞きつけ部屋に飛び込んできた。 「どうしたの!良ちゃん、しっかりして!」 「ウッ!」 綾子が良を抱き起こしたとき、彼女が身に付けていたペンダントが太陽に反射し、光を放った。とっさに綾子はぐっと身構えた。・・・・しかし何も起こらない。確かに反射した光が良の目を襲ったはずなのに。良の身体には何の変化も起きなかったのだ。 「良・・ちゃん?」 「あやこ・・」 「ま・待ってて。」 何を思ったか綾子は部屋を飛び出し、家族が見ている中、納屋から草刈機械を引っ張り出してきた。 「さぁ! 良ちゃん!エンジンかけてみて!私には力がないからあなたがやって!さぁ! 早く!」 綾子は無理やり機械を良に押し付けた。そこで初めて彼女の意図を理解し、良は恐る恐る紐を引いた。しかし力が足りなかったのか機械はビクともしない。2回、3回。・・5回目にしてようやく機械はいうことをきいた。ブルブルブル!工事現場の音にはまだ程遠いがそれに近い音がし始めた。 5秒、10秒・・・長い1分が経った。いつもなら音が聞こえたと同時か、長くても30秒以内には発作が起きていた。ところが2分、3分。ついには5分が経った。しかし何も起こらなかった。綾子の異常な行動に家中の者が良の部屋に集まってきた。一部始終を見ていた彼等だったが、いっこうにその行動の意味がわからない様子でお互いの顔を見合わせている。ただ1人、絹代だけがその意味を解し涙ぐんでいた。そうとは知らない良と綾子は大泣きしながら抱き合って喜んだ。そのかたわらには命の恩人である草刈機械が大きな音を響かせ横たわっていた。
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