それから5年の月日が流れた。ケインとジャスミンの間には4歳の男の子と2才の女の子が生まれ、翌年また第3子が産まれようとしていた。彼の血を受け継ぐかのような印章が生まれながらにして長男の額にはっきりと認められた時、ケインはその伝説の意味を実感した。 ”汝、2つの月が出づる時、全ての民は救われる”・・・・ ケインの治世は村人達に受け入れられ、以前にも増して平和になっていた。前王ムファドが崩御したことは残念であったが、その分、何故かジェイムズが張り切っていた。 話が前後するが、ムファド王が気にかけていたプレーナムの嫁入りはケインの思惑通り、カシミールが最有力視されていた。しかし当のカシミールは侍女のミンミンとさっさと結婚してしまい、彼女はあぶれてしまった。カシミールとプレーナムが大本命といろいろ計画を立てていたケイン達の話に、プレーナムは大激怒した。 「誰がこんな役立たずと結婚するもんですか!ケイン様、私を馬鹿にするのもいい加減にして下さい!」 プレーナムがそう言えば、カシミールも 「わ・私はプレーナムさんとけ・結婚するつもりはありません。そんなことをしたら私は一生頭が上がらない男になってしまいます。お願いです、ジャスミン様!それだけは勘弁して下さい!」 泣きながらジャスミンに懇願した。これで彼女の嫁入りも暗礁に乗り上げた、と目されたのだが、ある人の出現で案外あっさり片がついた。
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