「・・・・・・・ジャスミンの母親がここに嫁いで来たのは25年前の事だった。当時私はまだ皇子であったが、次期王になることは既に決定しておった。婚礼の祝典は7日間続いた。だが私にとってそれは地獄のような7日間じゃった。何故ならそれが終わり、妃と2人になった時こそ己が秘密を明かさねばならぬのだから。カシミールに聞いたのなら今更それが何であるか言わなくとも良かろう。・・・・そなたにはそういう病はないか?」 「いいえ。僕は・・・」 「そうか。それなら良い。もしかするとジャスミンはもう母親になたやも知れぬな。・・・あの時の悔しさは誰にも理解してもらえぬだろう。 いよいよその時がやって来た。私は寝所に入り、妃と2人きりになった時、どうせわかることだからと正直に事実のみを伝えた。話が終わると妃は私を責めることもせず声さえも立てず泣いた。それを見た私はわが身の不幸を思い一緒になって泣いた。一応床入りは済ませたが、妃の悲しみは私の想像をはるかに超えていたのだ。それからというもの何かに取り付かれたかのように薬草にのめり込んだ。おそらく私の病を治そうとしたのだろう。あらゆる草花を育て始めた。それから2年後、ジェイムズが現れオピウムと結婚するや否やそなたが生まれた。それが妃の悲しみを一層深いものにした。無論表には出さぬが私にはそれが痛いほどわかった。それまでより薬草に力を傾けるようになったからだ・・・」 そこで王は一息ついた。疲労感がどっと押し寄せたように見えた。ケインは王が話し出すまでじっと待つことにした。
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