「待てよ!ジャスミン、待てったら!!」 以外に足の速いジャスミンに驚きながらも、部屋に付く頃には追いつき、中に入るとケインは素早く後ろ手にドアを閉め鍵をかけた。後から来るスージーを入れないためもあったが、何よりここではっきりさせておかなければならないと考えたからだ。 ジャスミンはベッドに身を投げ出すように倒れ、その傍に近寄り腕を取ろうとしたケインの手を逆に跳ね返した。 「ジャスミン聞いてくれ!」 ケインの必死の言葉にも首を横に振るばかり。 「じゃそのままでいいから僕にも釈明させてくれ。確かに僕達4人は大学でも仲が良かった方かもしれない。けどジュディーがジャックを好きだった事も、増してスージーが僕を好きだったなんて全然知らなかったんだ。だからさっきは本当に驚いた・・・・」 その言葉に嘘はなかった。現に声のトーンが段々と落ちていくのが分った。 「でもスージーはそうじゃなかった!」 「本当に知らなかったんだ。信じてくれ。」 ジャスミンはケインの傍から逃れるように部屋の隅に移動した。 「いいのもう!いずれあなたもお帰りになるのでしょうから。」 「だから僕の話を聞けって言ってるだろう!!」 バン!と彼女の身体を挟むように壁を叩く。怯えながらその顔を見上げるジャスミン。目と目が合った。お互いの瞳の奥に熱い情熱がほとばしる。その時ジャスミンはケインのアザが今まで見たどの時よりも鮮やかに浮き上がっているのを見た。 ケインはジャスミンの顎を上げ、スージーが自分にしたよりも尚激しいキスをした。今まで数回ケインのキス(口移しで薬を飲んだのも含め)を受けたジャスミンだったが、これは比べものにならなかった。 「やめて・・・」 辛うじてそれだけ言うと更にジャスミンは逃れようとした。だがもう止められない。 「駄目だ。 離さない。」 ケインの声も掠れている。 「スージーが来るわ・・・」 「大丈夫だ。兵士達が取り押さえている。」 「駄目よ!!」 逃げようとするジャスミンの腕を押さえ、ケインは部屋中の灯りを消した。
ケインの腕の中でジャスミンは幸福感の絶頂にいた。ケインも又同じ気持ちだった。 「僕はここに残ろうと思っている。王から後継者に、と言われた時は驚いたけれどそんな事は問題じゃない。だから君とこうなった事について謝るつもりはない。僕は・・」 そこでケインは一呼吸置いた。 「僕は君を愛している。それがここに残る最大の理由だ。 君は?君は僕をどう思っているの?」 「・・・わたくしは・・・あなたと出会う前からずっとあなたを・・・お慕いしておりました。」 ほんのり頬を赤く染め、ジャスミンもケインの心に応えた。 「じゃあ決まりだ!」 そこで身体を起こすとケインは姿勢を改めた。 「ジャスミン。僕と結婚して欲しい。いとこ同士だと言われようとも構わない。僕は生涯君だけを愛すると誓うよ。」 力強いプロポーズの言葉に涙をこらえきれず、両手で顔を覆うジャスミン。しかしその涙の本当の理由を知る由もないケインは、次に彼女の口から出た言葉に愕然となった。
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