ヤコブの悲しい、しかし第三者から見れば身勝手な告白を聞き、やるせない気持ちのまま王の寝室に戻ったケインは、言葉を選びながら王と彼の安否を気遣いながら待っていたジャスミンに事の仔細を報告した。 話も終わりに差し掛かった頃、廊下で侍女と兵士達のわめき声が聞こえてきた。それもこちらの方へどんどん近付いてくる。彼等の声の合間にケインを呼ぶ声も混じっていた。耳を凝らすとそれはスージーのもののようだ。 ケインとジャスミンが廊下に出ると、それはやはりスージーで、ケインの姿を見つけると一目散に走ってきてそのまま抱きついた。 「ねえ、ケイン!もうこんな所イヤ!早く帰りましょう!私あなたと一緒ならジュディーや先生がいなくても生きていけるわ!私ずっと前からあなたが好きだったの!ジュディーはジャックが好きだった。私ジュディーの後輩というのを利用してあなたに近付いたの!ねぇ!もうイギリスへ帰りましょう!」 涙ながらの大告白にそこに居合わせた全員が唖然となった。更にスージーはありったけの想いを込め、呆然としているケインに濃厚なキスをした。それをまざまざと見せ付けられたジャスミンは何も言わず走り去ってしまった。そこで我に返ったケインはスージーの身体を押しのけるとすぐジャスミンのあとを追った。そのあとを追うスージー。そのまたあとを追う侍女と兵士達。 ベッドに横たわり一部始終を見ていた王はニヤリと笑い、更にポツリと呟いた。 「モテる男は辛いのぉ。ケイン。」
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