1人残ったジュディーは、これからの事を考えることにした。清(しん)という未知の国。輝かしい未来・・・それらを思うと一生の仕事と選んだ考古学さえも色あせて見えた。今までの自分が嘘だったのだ。この先泥にまみれ、汗をかいてもシャワーさえ使えない、などという生活は二度とないのだ。ああ、私は最良の道を選んだ・・・・
「ジュディー。」 有頂天になっていたジュディーを奈落の底に突き落とすような厳しい声がした。ハッとして振り返ると、アーサーとスージーが立っていた。 「せ・せんせい!スージー!どうして?」 「今までの話、全部聞かせてもらったよ。君は何という事をしたのだ。私は一番信頼していた者達に裏切られた。テリーがあんな男だったとは・・・・」 ガクッと膝を折り号泣するアーサー。その姿は威厳を湛(たた)えた教授ではなく、年老いた1人の老人だった。 「先輩!私は先輩を目標にしていたんですよ!そりゃ初めの動機は不純なものだったかもしれないけど、先輩を見ているうちにそれじゃいけないと思って勉強も少しづつやってたんです!それなのにこんな・・・・一体何故なんです!」 「―――― スージー。あなたのような人にはわからないわ。何の取柄もない私の気持ちなんか。」 「え?」 「だってそうでしょう!あなたは何もしなくとも男の人から声をかけてくるのよ!今までだってそうだったわ。私と2人でいると決まってあなただけが注目された。私はいつも引き立て役。そんな私のことを陰で笑っていたんでしょう!でもテリーは違った。私の全てをいいと言ってくれた。その人に協力してどこがいけないというの!」 今までの憂(う)さを晴らすように言葉を吐き出すジュディー。 「・・・そ・れは・違う・・。ジュディー・・・みんな君を尊敬していた。・・ジャックやケインも君の素晴らしさを常に・・口にして・・いた。・・ジュディー。今からでも・・遅くない・・・本来の君に戻る・・んだ。テリーには・・・・私が言うか・・ら。・・さぁ、皇女達の居場所を・・教えるんだ・・」 「もう遅いのよ!ジャスミン達はテリーの作った協力なアヘンの毒で・・今頃はもう・・・」 それだけ言うとジュディーは絶望したように駆け出した。一瞬遅れをとったもののその後を追うスージー。間もなく残されたアーサーの身体が2つに折れるように崩れた。
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