「ジャスミン!しっかりするんだ!僕だ!ケインだ!」 気が狂ったようにケインはジャスミンの身体を揺すった。(神よ!) ジャックも同じようにプレーナムの身体を揺すっている。 「プレーナム!しっかりしろ!」 するとプレーナムはジャックの呼びかけに意識を取り戻した。 「ウ・・・・ア・・・ゴホゴホ・・ハアハア――― ハー・・・ア、ジャック様? あ!姫様!姫は?!」 「大丈夫だ。ケインが助けた。」 「ハァ・・良かった・・・」 ジャックはプレーナムの背中をさすってやった。しかしジャスミンは必死のケインの呼びかけにもかかわらず意識が戻らない。反応さえしないのだ。(どうすればいい?)ケインはジャックとプレーナムの存在も忘れ、想いの全てを込めてその細身の身体をギュッと抱き締めた。(どうか助かってくれ!)
ピクッとジャスミンの唇が震えた。気付いたのか?抱き締めた腕に更に力がこもる。 「・・・ア・・・」 可愛らしい唇から息の漏れるような声がした。 「ジャスミン!!」 素早くジャスミンの額にキスをする。(ありがとうございます・・・)誰にともなく言葉が出た。 「ケ・イ・ン?」 力の入らない腕でジャスミンもケインにすがりついた。だがその腕もすぐだらりと下に垂れてしまう。 「僕が悪かった・・君から目を離してしまった僕が・・」 ケインの腕の中でジャスミンは違う、というように微(かす)かに首を振った。 「いいえ。私が油断したのがいけなかったのです。」 弱々しいがプレーナムも調子を取り戻しつつあった。 「とにかくここから出よう。ケイン!お姫様を頼む。俺はプレーナムを連れて行く。さあ!」 ジャックはプレーナムに背中を見せ、背負っていくという仕草をした。しかしプレーナムは1人でいける、と立ち上がった。だが歩く事が出来ず、結局ジャックの背中に身を任せた。 ケインは最初から決めていたようにジャスミンの腕を自分の首に回し、そのまま抱き上げた。 道案内はずっと表に潜んでいたスウォードである。他のトラ達はいつの間にか姿を消していた。
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