宮殿に戻ってみると何やら様子がおかしい。侍女たちがソワソワしている。 何かあったのか?と尋ねると、プレーナムの姿が見えないという。いつからだ?と重ねて聞くと、午後、皇女の部屋で婚礼の準備があるからと急がしそうにしているのは見たが、その後プッツリと姿が見えなくなってしまったとの答え。辺りを見渡すと、家臣達の様子も変だ。再びケインは彼等に尋ねた。どうしたのか?と・・・・異様な胸騒ぎがする。問われたのがケインだとわかると、ホッとしたように逆に聞かれた。 「皇女はどちらにいらっしゃるのです?ずっとお捜し申しているのですが、どこにもいらっしゃらないのです。政務が滞って仕方ありません。」と。 「僕は一緒じゃない。」 その一言が家臣達に大きな衝撃を与えた。皇女とプレーナムに何かがあった!途端に宮殿中色めき立った。 外は既に闇の世界。外出すれば彼等の身に危険が迫る。ケインも改めて宮殿中隈なく捜した。だがいない。 闇の世界が終わりを告げる頃になってもまだ見つからない。 (どこに行ったんだ。ジャスミン!) 意気消沈してソファに座り込むと、一挙に疲労感がケインの身体を襲った。 (だがこうしてはいられない!ジャスミンの身に何かあったら全て僕のせいだ!) 再び立ち上がるが気持ちばかり焦って考えがまとまらない。
「ケイン。どうしたのじゃ?」 そんなケインの気持ちを知ってか知らずかヤコブが眠そうな目をこすりながら近寄ってきた。 「ジャス・・・いいえ。何でもありません。」 ケインはそのまま立ち去ろうとした。 「ジャスミンがどうかしたのか?」 まるで昨夜からの騒ぎは全て知っているぞ、といわんばかりの目つきだ。 「ご存知なのですね?知っているのに何故お尋ねになるのです?」 「私は当て推量で申したまでの事。それではやはりジャスミンの事で何か?」 「昨日の午後から姿が見えないのです。プレーナム共々。」 「何だと!何故それを早く言わんのだ!ジョジョ!すぐに皇女とプレーナムの行方を捜すのだ!」 召使いのジョジョに一喝すると、自分も捜すからとケインの前から足早に立ち去った。
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