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作品名:COOL 作者:風南 春樹

第1回   校内チャット
私のHNは『チェリー』。
由来は、昔、飼っていた子犬の名前から。

そのHNで、校内チャットに『入室』。

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ケイコ> やっぱり、今日も来ないのかなぁ・・・『Cool』
Kazu> 来なくなって、もう一ヶ月は経ってるよね。
龍>  マジかよ!?、何で来てねぇの?
ゆき> そんなぁお世話になったお礼言いたいのにぃ(泣)

『チェリー』さんが入室されました
チェリー> こんにちわ。

ペンペン> あ〜チェリーお久しぶり〜!
LINK> そういえばチェリーも久しぶりだよな?
チェリー> うん・・・ねぇ、最近は来てないの?『Cool』君。
ケイコ> うん、来てない・・・。
ゆき> 私ぃ彼にお世話になったからぁメッチャお礼言いたいんだけどぉ(泣)
数学が苦手な乙女> 多分ここに来るみんな彼にお世話になってるよ?
Joy> なぁ何で来ないのアイツ?
アン> クール君・・・。

チェリー> そうなんだ・・・。
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今日も室内は『Cool』の話題で持ちきりになってる。
当然、だよね・・・。
この校内チャットで『Cool』のHNを知らない人は、まずいないから・・・。

一時期、この学校内ではちょっとした噂が広まっていた。
授業が終わる3時から夕方5時までの間、チャットに入室してくる彼、『Cool』。
彼は、その丁寧な受け答えと話のしやすさで、凄くチャット内でみんなに慕われてた。

どんなに人が多くても、必ず挨拶は欠かさない。
聞き上手で、下品な事や中傷なんて一切書き込まない。
そして、一度でもやりとりした人のHNや会話の内容は忘れず、その前に話した事もしっかりと覚えてる。
チャットをする人にとって、本当にお手本のような人だった。

そんな彼に、このチャットでみんなが色んな相談を持ちかけるようになって、彼はその全ての相談にのっていた。
そしてその悩みの全てを解決してきたなんて話も、よく耳にする。
だから、人伝に「『Cool』に悩みを話せば、必ず解決して貰える」なんて広まり初めて・・・。
この半年間、校内の何処にいても、彼の話題を聞かない時はなかった。
時には、先生でさえも悩みを打ち明けていたとか・・・。

だけど、そのHN以外『Cool』が誰なのか、知らない。
当然の様に、みんなその正体が誰なのか知りたがって、騒ぎにまでなってたけど・・・。
誰が聞いても、彼は、自分の事は一切教えてくれなかった。
無理に知ろうとすれば、彼がチャットに来なくなってしまうかもと・・・みんな恐れてしまったから・・・。

そんな謎めいた噂もあってか、彼はこの学校ではちょっとした伝説みたいになってる。
だから、この学校内でチャットを利用してる人の中には、彼に感謝してる人やファンになってるような人まで沢山いる。
だけど・・・。


肝心の彼は、一ヶ月くらい前からこのチャットに姿を現さなくなってしまった。


「・・・・・・」
キーボードに触れている手の甲に、ふと涙が零れた。
私自身が流した、涙が。

私は『Cool』が誰なのか、知ってる。
どうして彼が、チャットに来なくなってしまったのかも知ってる。
そして、その原因が自分にあるという事も・・・。

多分、もう彼は二度とこのチャットに来てはくれない・・・。
どんなに後悔しても、どんなに謝っても、もう私は彼に許して貰えない・・・。




本当に・・・ご免なさい・・・・・・ご免なさい・・・・・・。


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