「た、タッカーの頭(かしら)!」
凄い形相で豪邸の中に入ってくるタッカーの部下。 その様子は尋常ではなかった。
「何だ!? これから町の連中の所に行こうかという時に!」 「ば……化け物が外にいるんですよ! お、俺達じゃあ は、歯が立ちません!」
ガタガタと震える部下。 さすがのタッカーもその様子を見て、ただ事ではないと感じた。
「どんな化け物だ?」 「く、黒いサングラスをかけて、紅い銃を持ってる男です。 し、信じられないんですが、銃弾が当たらないんですよ!」 「黒いサングラスに紅い銃……!?」 「……どうやら、報告にあった連中のようだな」 「と、トニー先生」
壁にもたれ掛かっていたトニーが口を開く。 そして、ゆっくりと壁から離れる。 彼は腰にあった愛銃に弾丸をこめる。
「どうやら、俺の出番のようだな」 「お、お願いします先生」
タッカーの言葉に無言で返答するトニー。 トニーにとって、タッカーはただの金づる。 一度として雇い主と思ったことなどない。 タッカーの作り出したこの環境は、トニーにとって退屈なものだった。 一つの町を孤立させて、そこから金を少しづつ奪っていく。 たまに刃向かってくる奴もいたが、全てトニーに消された。 その時はまだ良かった。 今では誰も刃向かわなくなっていた。 トニーにしてみれば、まるで面白くない。 強い奴と命を懸けて戦い、それに勝つ。 そんなスリルがトニーにとって一番の喜び、楽しみだ。
(この仕事でこいつとは最後にするか……)
そんな事を考えながら、彼は最後の戦場に向かった。
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