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作品名:『クサナギ』 作者:ざるそば

第6回   第一章 『クサナギとユイ』 D
「た、タッカーの頭(かしら)!」

凄い形相で豪邸の中に入ってくるタッカーの部下。
その様子は尋常ではなかった。

「何だ!? これから町の連中の所に行こうかという時に!」
「ば……化け物が外にいるんですよ! お、俺達じゃあ
 は、歯が立ちません!」

ガタガタと震える部下。
さすがのタッカーもその様子を見て、ただ事ではないと感じた。

「どんな化け物だ?」
「く、黒いサングラスをかけて、紅い銃を持ってる男です。
 し、信じられないんですが、銃弾が当たらないんですよ!」
「黒いサングラスに紅い銃……!?」
「……どうやら、報告にあった連中のようだな」
「と、トニー先生」

壁にもたれ掛かっていたトニーが口を開く。
そして、ゆっくりと壁から離れる。
彼は腰にあった愛銃に弾丸をこめる。

「どうやら、俺の出番のようだな」
「お、お願いします先生」

タッカーの言葉に無言で返答するトニー。
トニーにとって、タッカーはただの金づる。
一度として雇い主と思ったことなどない。
タッカーの作り出したこの環境は、トニーにとって退屈なものだった。
一つの町を孤立させて、そこから金を少しづつ奪っていく。
たまに刃向かってくる奴もいたが、全てトニーに消された。
その時はまだ良かった。
今では誰も刃向かわなくなっていた。
トニーにしてみれば、まるで面白くない。
強い奴と命を懸けて戦い、それに勝つ。
そんなスリルがトニーにとって一番の喜び、楽しみだ。

(この仕事でこいつとは最後にするか……)

そんな事を考えながら、彼は最後の戦場に向かった。


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