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作品名:日本の近未来 作者:佐藤 神

第37回   37

 大島海士長と実習生の宮城は壁にぴったり張り付き額に汗を浮かべて、小銃を構えて
その時を待った。そして秋草がうとうとしだした時。
「うん、誰だ?」
 白い軍服を着た男がサロンから出て来て小銃を構えた。秋草はゆっくりとその男に顔
を向けた。
「うん、秋草事務次官。何故ここに?」
 その時、大島海士長と実習生の宮城が後ろに回る。

「銃を置きなさい、君は囲まれている」
 と言うと秋草は起き上がりその男の小銃を奪った。男は理解できず怯えている。
「静かにしていれば裁判を受けさてやる。騒げば反乱軍としてこの場で射殺する」
 小さな声で脅すように秋草が言う。
「分かりました」
 男は銃を付きつけられてあきらめた顔で言う。
「じゃ、図書室で事情を聞こうか」

 そして秋草は図書室の受付の近くにあった椅子に座る。
「みんなも座りなさい」
 秋草は図書室の受付の近くの椅子に座り白い軍服の男も座る、その後ろに大島海士長
と実習生の宮城が座る。
「君は憂国の剣の会の者だな。34人が参加しているのか?」
 優しい口調で秋草が言う。

「いえ、どうしても4人が反対しましたので30人です」
「そうか、みんな小銃を持っているのだな?」
「はい、携帯しています」
「サロンの見張りは何人だ?」
「はい、自分を入れて6人です」
「憂国の剣の会代表の須崎二等海佐は艦長室か?」
「はい、艦長室は須崎二等海佐を入れて6人です」
「残りは18名か」
「はい、3名ずつ6チームに別れ艦内を巡回しています」
「そうか、他の3000人近い隊員は何をしているんだ」
「それぞれの作業場所に閉じ込めています。外からロックをして」

「死んだのは高坂艦長だけか?」
「そうです」
「誰が何のために殺した?」
「須崎二等海佐が高坂艦長にクーデータ話をもち掛け話が会わず」
「クーデータ? 何のためのクーデータだ?」
「はい、秋草事務次官が攻撃されればそれを口実に中性子爆弾を打ち込む予定でした。
そして日本を軍事大国にすることが須崎二等海佐の願いでした」
「そうか」
「それをあなたは無事に帰って来た。二度とこないチャンスに須崎二等海佐は早まって
しまった」

「もういい、おい、こいつを縛り口を結わけ。そして受け付けカウターの中に転がして
おけ」
「はい、分かりました」
「騒がなければ約束どおり命は助けてやる。いいな?」
 男は猿轡をされていたが怯えた目で頷いた。
「ではこれより機関室に行く、屈強な男を100人ぐらい選び小銃を持たせる。そして
もう一度ここに帰ってこよう」
「はい、秋草事務次官」

 それから3人は機関室に行き扉を開けた。
「みんな無事か?」
 微笑みながら秋草が言う。
「ああッ、秋草事務次官。われわれはいきなり銃を突きつけられて閉じ込めらた。その
頭の傷は?」
「問題ない、これより反乱軍29名を鎮圧する。屈強な男を100人選んでくれ」
 そして小銃で武装した100人の大男がサロンに忍び寄る。
「よし、匍匐前進で半分は通路を通り後ろに回れ。それからこちらからは発砲するな、
どうしても撃つ時は足を撃て」
「了解」
 そして二手に分かれ、サロンの前と後ろで小銃を構える。秋草はそれを確認する。
「秋草だ、君たちは包囲されている。銃を置け」
 サロンの入口から突入して大声で秋草は怒鳴った。
5人の反乱軍は前と後ろの100人に小銃を構えられ手も足も出なかった。

「おい、大島海士長と実習生の宮城。この5人をロープで縛れ。そして2人はここを見
張れ」
「はい、了解しました」
「よし、艦内の反乱軍を捕まえるぞ」
「はーい」
 そして秋草は艦内を巡回している3名ずつ6チームの反乱軍を捕獲してサロンに連れ
てきた。
「おーい、大島と宮城。こいつらもロープで縛れ」
「大漁ですね、秋草さん。ロープを用意しておきました」
「うん、艦長室以外の反乱軍は全員捕獲した。残りは艦長室の須崎二等海佐を含め6名
だ。われわれはこれから艦長室に向かう。手のあいているものは艦内のロックを全て解
除して全員を助けろ。ただし艦長室には近づくな」
 厳しい顔で秋草が言う。

 艦内の反乱軍は船長室だけになり、秋草と100人の武装した隊員はドタドタと足音
を上げて艦長室に急いだ。

「よーし、止まれ。わたしが合図したら小銃を構えて艦長室の奥まで躊躇せず全員で踏
み込め。絶対にこちらからは発砲するな、撃つときは足を撃て」
「了解」
 100人は息を殺して秋草を見守った。秋草は扉のパスワードを打ち込む。
<<ピー>>
 艦長室の扉が開いた。
「須崎二等海佐、艦内の反乱軍は全員捕縛した」
 と言って秋草は艦長室に入り右手を上げる。それを合図に武装した隊員が小銃を構え
規則正しく突入する。
 反乱軍は既に戦意喪失していた。椅子に座って無言で見ている。


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