<<分かりました、キャプテン、わたしの負けよ。ロボット兵たちよ、わたしは降伏し ます。キャプテンの指示に従いなさい>> マザーの白衣は黄色く変色して、裾はぼろぼろに綻んでいた。それでも背筋を伸ばし 凛とした表情でマザーはキャプテンを見詰ていた。 3年前、キャプテンは大型戦闘艇で参戦する時、マザーにサザンクロスの行く末を託 した。しかし結果的にロボット帝国を誕生させることになってしまった。 マザーにしても紆余曲折を経て、不本意ながらロボット帝国を誕生させることになっ てしまったと、キャプテンは考えていたが今さら尋ねる気にもならなかった。
「ロボット兵はスクラップにはしない。職業の自由を与える。しかしレーザーは不要な ので体から削除する。 だが戦いの好きなロボット兵は無理にレーザー銃を捨てるな、戦いの場所を他星に移 し海賊、スペースマフィヤ、野蛮人と心ゆくまで戦え。 戦いを望むものはこの会議室に残れ、ロボット兵を捨てるものはこの会議室から出て くれ」
<ドッタ、ドッタ、ドッタ> 何千人のロボット兵が会議室を出たり入ったりごたついていた。しかし、ロボット兵 は会議室に入り切れなかった。 「こんなにいたのか、戦争好きのロボット兵は。うーん、28号。おまえも戦いを選ぶ のか?」 <<キャプテン、自分は生まれながらの軍人です。器用な生き方は出来ません>> 「そうか、おまえを戦うロボット兵の仮リーダに任命する。宮廷の噴水の前にロボット 兵を整列させろ」 <<キャプテン、了解しました>> 28号は敬礼し踵を返す。
キャプテンはマイクを取った。 <ロボット兵、聞きなさい。戦いを望むロボット兵は会議室に入りきれない。場所を宮 廷の噴水の前にする。噴水の前に整列しなさい。そして28号を仮リーダに任命した。 28号の指示に従いなさい> ほとんどのロボット兵が会議室から噴水に向かった。
「よし、職業の自由を選んだロボット兵は会議室に入りなさい。入りきれないロボット は空いている会議室に入りなさい。全館放送で話すので問題ない」 <ドッタ、ドッタ、ドッタ> 何千ものロボット兵が会議室に入って来た。
キャプテンはロボット兵を暫く眺めていた。 「君たちの記憶は消去させない」 <<オーッ>> ロボットは記憶を消されるのが一番嫌だった。キャプテンはベンからそのことを聞い ていたのでロボット兵をまず安心させた。 「ロボット兵のレーザーエネルギーは宮廷で預かる。他の星から侵略があった場合には 預かっているレーザーエネルギーを持ち主に返す。その時はこの星の住人として戦って くれ。 では、自分たちでレーザーエネルギーを抜いて、このテーブルの上に置いて自分たち の所属に引き上げてくれ」
ロボット兵は重荷から開放されたような顔で、胸を開けレーザーエネルギーを抜く。
「ところで、マザーは兵隊ロボットに殺人を命じたことはあるか?」 険しい顔でキャプテンは言う。 <<いいえ、わたしは殺人を命じたことはありません>> 凛とした表情でマザーが言う。 「そうか、だがマザーがこのままここに住めば民の反感を買う。サザンクロス星所払い とする」 <<ええッ、所払い?>> 訝しそうにドクターロボのマザーはキャプテンを見詰る。 「うん、大型戦闘艇に帰れ。そしてドクターロボとして働け」 <<それじゃ、罪には問われないんですか?>> 「ロボットを作ったのは人間だ、人間のほうに問題があると思う」 <<分かりました>> 破壊されるのを覚悟していたマザーは安度した表情で会議室を出ていった。
『ベン聞こえるか?』 キャプテンは上空に待機している大型戦闘艇のベンに念を送る。しかし返事はなかっ た。 「やっぱり無理か」 会議室にある通信機でキャプテンは上空の連合軍と連絡を取った。 「こちらキャプテン、ドーター総司令官、全て終了した。安全なので宇宙船を宇宙港に 着陸させてくれ」 <<キャプテン、了解した。全員に告ぐ、これより宇宙港に着陸せよ>>
次々と連合軍の宇宙船はサザンクロス星の宇宙港に着陸する。 そしてキャプテンは牢に捕らえられている人々を開放させ、宇宙港に急いだ。 髪の毛が伸び放題で、サリーを身に着けたキャプテンが宇宙港で連合軍を向かえた。 連合軍総司令官のドーターを先頭に、続々と宇宙港に兵士が姿を現した。
「うーんッ、キャプテンか? 無事でよかった」 ドーター総司令官がにこやかに言った。その後ろにナオとミッキー、そしてアスカの 3人が泣きそうな顔で様子の変わったキャプテンを見ている。
キャプテンはナオとミッキーとアスカに優しく微笑んだ。そして正面を見た。 「これは連合軍ドーター総司令官。サザンクロス国王サルダンに代わり厚く御礼を申し 上げます」 「いやいや、それよりキャプテンその格好はどうされた?」 「はい、わたしも1年ばかり入牢していました。その間テレパシーが使えるように修行 しました」 「それでそのような風貌を」 「はい、今ではテレパシーでロボットを少しは操れるようになりました」 「何、ロボットを....」 「いや、催眠術をかけるわけではありません。論理的に無理なくロボットに話しかける だけです」 「そうでしたか。また新たなる敵になりうるのかと心配しました」 ドーター総司令官は微笑みながら宇宙港の青い空を仰いだ。
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