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作品名:銀河を渡る船 第六部・ロボット帝国 作者:佐藤 神

第5回   5

<<はい、最終兵器が出来たのは30年以上前でした。もし地上で会議中に最終兵器を
撃ち込まれたら、全滅してしまいます。そのため最終兵器から逃れるために宇宙空域に
宇宙船を飛ばしています>>
「そうか、しかしデスラカン帝国は地上にいるが?」
<<はい、デスラカン帝国の宮廷が老朽化して立て替える時、同じように宇宙船にする
と思いますが、まあその必要もないでしょう。あの防御の早さ、完璧です>>
「そうだな、だがデスラカン星の反対側にワープして、直ぐ最終兵器を撃ち込めば、防
ぎきれないと思うがな」
<<キャプテン、試して見ましょうか?>>
「ああッ、近いうちにそうなるだろう。まともにいったら勝てそうもない」
<<はい、勝つことが肝心です>>

「だがデスラカン帝国を滅ぼしたら、反デスラカン連合はどうなるのかな?」
<<難しいですね、第二のデスラカン帝国になると思いますが?>>
「うん、わたしもそう思う。迂闊にデスラカン帝国を滅ぼせない。宇宙のバランスが崩
れる」
<<それでは同時に2つの組織を滅ぼしますか?>>
「うん、最終兵器は何発積んであるんだ?」
<<3発です>>
「うん、十分だ。しかし、海賊、スペースマフィヤ、野蛮人も虎視眈々と狙っているだ
ろうな」
<<3発では足りません>>
「どうしたものかな」
 と、言いながらキャプテンは疲労のため、そのまま眠ってしまった。

 翌日、目を覚ましたキャプテンは、とりあえず宮廷に顔を出して反デスラカン連合の
会議の内容と、デスラカン帝国の出来事を国王に報告した。
「そうか、一発即発だな。まあ、サザンクロスは自給自足が軌道に乗ったので一安心だ
が」
 国王は険しい顔の目を細めキャプテンを見る。
「はい、直接責められない限りサザンクロスは安泰です」
「うん、キャプテン。これからどうする。宇宙戦争のデータ収集に専念するか?」
「陛下、データ収集はロボットのベンの役目、わたしは新規に出来た漁港を見てみたい
ので、釣り竿片手に漁港に行きます」
「そうか、いい案件があったら教えてくれ。わたしも新しい現場を新閣僚に教えながら
見て回っている」

「陛下、必ずしや見つけてまいります。ところで陛下、宮廷に使っていない中古のエア
ーカーはありませんか。実はドクターロボのマザーが家を改造してレディースクリニッ
クを開業しています。エアーカーが1台しかありませんので、余ったのがあればお借り
したい、なければリニアカーで行ってもいいのですが?」
 頭を掻きながらキャプテンが言う。
「うん、オスカー。エアーカーを2台用意しろ。子どものアスカも執拗だろう」
 国王はオスカーに言う。
「陛下、直ぐに手配します」
 と、言うとオスカーは会議室の隅で携帯電話を掛ける。

「陛下、子どものアスカも運転していいのですか?」
「ああッ、サザンクロスと言うよりどの星でも許されている。ただし自動運転だけだ。
行き先コードを打ち込めば勝手に目的地に着く。自動運転で事故があっても運転者責任
は問われない。しかし、手動運転で事故を起こせば重い罪に科される。手動運転の事故
を起こせばキャプテンといえど加減は出来ない」
「陛下、肝に銘じて」

 王家の家紋が入ったエアーカーに乗り込み、キャプテンは一番小さな漁港のオバマ港
のコードを打ち込んで音楽を流す。
この星の音楽はブラジルのボサノバみたいな軽いラテン系の曲しかなかった。
「あー、暑さも収まり初秋の風もいいな」
 窓を開け眼下の街並みを眺めながらキャプテンは欠伸をする。
「マザーは産婦人科の仕事で忙しいから、通訳がいなくなったな」
 それはナオがドクターロボのマザーを本業に戻したためである。家を改造して産婦人
科を開業させる。そしてナオが助手兼事務を担当する。人手の足りないところは近所の
パートを頼んだ。必要な医療品は大型戦闘艇から産婦人科に持ち込まれた。

「あーあ、釣りは確か日本で3回しかやっていないが全て坊主だった。鯛でも釣ってみ
たいな。いや、秋刀魚でもいいか。だがボラは駄目だな、小骨が多くて食べづらい。
 キャプテンは遠くの稜線を見ながら独り言を言う。眼下をカラスみたい黒い鳥が十数
羽鳴き声を上げながら飛んでいる。
「やはりカラスは宇宙にもいたのか。あれはハシブトカラスだな」
 山を回り込むと海辺に出た、遠くに小さな街並みと漁港が見える。潮風がキャプテン
の頬を優しく撫でた。
「うん、あれがオバマ港か」
 エアーカーは波が眩しく反射する海の上を迂回しながら高度を落とす。そしてオバマ
港の駐車場に着陸する。キャプテンはエアーカーを降りて、周りを見回した。防波堤の
近くに大きなコンビ二とレストランを兼ねた洒落た店があった。

「ティファニーか、ピーンとこないが、釣り竿はあるだろう」
 呟きながらキャプテンはティファニーに入る。店の奥に店主らしき、とうのたった女
性がキャプテンを見て微笑んだ。だが体の線は崩れていない、キャプテンは悪い気がし
なかった。
「こんにちは」
 キャプテンは微笑みながら宇宙語で言う。
「釣竿ありますか?」
 と、キャプテンは日本語で言って片手で釣竿を投げる手振りをした。その女性は直ぐ
に釣竿と分かりコンビ二の奥の壁を指差した。
「あれか、高そうな釣竿が飾ってあるな」
 キャプテンは小さく頷いた。そしてカーボンロッドの釣竿を手に取った。
「うーん、良いのか、悪いのか分からない。これは10万クロスかあ、高いな」
 キャプテンは初心者用の竹の竿に決める、6千クロスである。
その時、15,6歳の少女が入って来た。どうやら目の前にいる女性の娘のようであっ
た。キャプテンが乗って来たエアーカーを見ながら二人で何かを話している。

 キャプテンは初心者用の竹の竿を持って、女性に手渡した。女性はエアーカーを指さ
して、お前のかと言う顔をした。
「ああッ、わたしのエアーカーだ」
 キャプテンはジェスチャーで示した。すると女性は何種類かの魚の写真をキャプテン
に見せた。
「これがいいな、この鯛みたいな魚が釣りたい」
 と、言ってキャプテンは指で指した。
 女性は大きく頷いて店の奥に入る。暫くすると、リールの付いた釣竿を持って来た。
よく見ると針も糸も付いている、このまま使えそうである。
 キャプテンは1万クロス札を取り出して女性に渡す。だが女性は首を振り受取ろうと
しなかった。娘が魚の餌、日本で言うところの環形動物門多毛綱のゴカイを小さな透明
なプラウチックの容器に入れて持って来た。そしてキャプテンに差し出す。
「ありがとう」
 キャプテンは微笑みながら宇宙語で言う。


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