「待て、レーザー銃を使うと壁に穴があくぞ。われわれを殺す気か?」 キャプテンが大声で叫んだ。 「大丈夫だ、次はこの男の心臓がレーザを受け止めてくれる」 レッドヴィーナスはレーザー銃の銃口をシモン国王の心臓に向ける。 「おい、やつをどうするのだ。殺すのか?」 キャプテンが心配そうに聞く。 「なんだおまえは、仲間か?」 レッドヴィーナスはレーザー銃を構えたまま、キャプテンを胡散臭そうに睨む。 「いや、たまたま隣に座っただけだ」 「じゃ、口出しするな。やつも国王だ、簡単に殺すわけにはいかないだろう」 レッドヴィーナスは男みたいな話し方をする。 「そうか」 レッドヴィーナスはレーザー銃をシモン国王の頭に付きつける。 「出口に向かって歩け」
歩き始めたレッドヴィーナスは足を止め振り返った。 「おまえはどこの星の人間だ?」 「わたしはサザンクロスのキャプテンだ」 「サザンクロス、知らないな」 「そうか」 「おまえは国王には見えないが、何でここにいる?」 レッドヴィーナスは疑惑の目でキャプテンを見る。 「わたしは大型戦闘艇の操縦士だ。反デスラカン連合ライアン事務総長から召喚状を受 取った」 と、言ってキャプテンはレッドヴィーナスを睨んだ。
「フーン、おまえがあのキャプテンか。噂とはだいぶ違うな。でも反デスラカン連合に 参加するのか?」 レッドヴィーナスは確認するかのように聞く。 「分からん、わたしは宇宙平和のために戦うだけだ。邪魔をするものは抹殺する」 恐い顔でキャプテンが言う。 「レッドヴィーナスよ、おまえは誰のために戦争をするのだ?」 「わたしは、わたしは根っからの軍人だ」 レッドヴィーナスは考えたこともない質問に少し動揺を見せる。2人の周りにはステ ージで取材していた何百人と言うメディアがいつのまにか囲んでいた。そして無遠慮に その映像を取り続ける。
「わたしはこれで失礼する。ライアン事務総長と話し合えそうもないしな」 キャプテンとマザーはレッドヴィーナスの横をすり抜け出口に向かった。 「キャプテン、反デスラカン連合に参加しないんですか?」 大勢のメディアから質問がとんだ。 「分かりません、今回は様子を見に来ただけです。わたしは平和を守るために戦うだけ です、金品、領土などは興味ありません」 「いやに綺麗ごとを言いますねえ。裏取引はないんですか?」 小柄なレポーターが歯切れよく質問する。キャプテンがその男を睨む。 「言葉の意味が分かりません?」 「噂ではキャプテンが、宇宙を支配しようと狙っているとか聞きましたが?」 そのレポーターはキャプテンを挑発するように言う。 「キャプテン、デスラカン国王と面識はあるんですか?」 美人局アナが横から言う。 「キャプテン、レッドヴィーナスと戦って勝てると思いますか?」 「キャプテン、その白衣を着た女性と関係はあるんですか?」 キャプテンはマザーの手を引いて、メディアを振り払うように会場から逃げ出した。
「ふー、何をしに来たのか分からないな」 大型戦闘艇に辿り着き、キャプテンは溜息をついた。 <<キャプテン、メディアには参りますねえ。有る事無い事>> 「ああッ、不愉快だ。規制はないのか! 野放し状態だ」 <<特に、宇宙を支配しようと狙っていると言う質問には腹が立ちますねえ?>> と、言ってベンはキャプテンの横顔を見る。 「うん、どこから出たんだ、ありえない。とりあえずここから離れてくれ」 <<キャプテン、了解しました。宇宙空域に向かい発進>> 微かな揺れをキャプテンは感じた。窓から巨大円柱型宇宙船が見える。キャプテンは その巨大円柱型宇宙船に宇宙の縮図を見た思いだった。 <<キャプテン、前方に反デスラカン連合の大型戦闘艇が立ちはだかっています>> 「何、同型の大型戦闘艇が?」 慌ててスクリーンでその大型戦闘艇を見る。真っ赤な色の大型戦闘艇であった。キャ プテンはレッドヴィーナスが戦いを挑んできたと直感で思った。
「ベン、回線を繋いでくれ」 <<キャプテン、了解しました。お話ください>> 「キャプテンだ、見送りに来てくれたのか。レッドヴィーナス?」 <<ああ、無事に帰れ>> と、聞こえた瞬間、赤い大型戦闘艇が突っこんで来た。 「ベン、緊急発進しろ」 <ガーガーッ> 微かに大型戦闘艇が何かに擦った振動が聞こえる。 「反転だ、主力レーザー砲で赤い大型戦闘艇に放射しろ」 と言うと、スクリーンの上部から眩い光がスーッと延びて、赤い大型戦闘艇を突き抜 ける瞬間バリヤーが張られた。 「ベン、被害報告せよ」 <<キャプテン、了解しました>> キャプテンはスクリーンの赤い大型戦闘艇を見詰る。 <<キャプテン、損傷なし、異常ありません。擦れただけです>> ベンの大きな声が宇宙船に響いた。
「レッドヴィーナス、どう言うつもりだ。とことんやるか?」 その時、赤い大型戦闘艇のバリヤーが消えた。 <<フフッ、見送りの挨拶、気に入ってもらえたか?>> 笑いながらレッドヴィーナスが言う。 「レッドヴィーナス、2度目はないぞ。命を大切にしろ」 返事がないままキャプテンは発進させる。
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