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作品名:銀河を渡る船 第六部・ロボット帝国 作者:佐藤 神

第10回   10

 暫くして。
「う、うーん....」
 キャプテンは焦点が定まらない目で、目の前の気付け薬を見詰る。
<<キャプテン、気がつきましたか?>>
「ああ、ここは?」
<<キャプテン、デスラカン星の宇宙広域の上空です>>
「そうか、ベン、戦場をスクリーンに映せ」
 キャプテンはだるそうに言う。

「うん、デスラカン上空で東西に分かれて睨み合いか、それにしても凄い数の戦闘機だ
な」
 キャプテンは眼下を見て、ボラの稚魚が大量に固まりいろいろな形に変化する錯覚を
覚える。
<<キャプテン、帝国軍は2万の戦闘機です。連合軍1万機です>>
「そうか、大型戦闘艇は何艘だ?」
<<キャプテン、帝国軍は4艘です。連合軍6艘です>>
「よし、ベン。山の上の帝国軍の戦闘機が見えるか?」
<<はい、300機ぐらいで固まっている戦闘機ですね?>>
「そうだ、ここから急下降して帝国軍を突き抜け迂回して山の戦闘機を撃ち落せ。副砲
の前方と横の4門は連続放射。いけ」
<<了解>>

 大型戦闘艇は急下降して帝国軍に突っこむ、そして凄まじい光線を放しながら突き抜
け迂回する。
<<戦闘機38機、撃墜>>
 ベンの大きな声が戦闘艇に響く、そして光線を放しながら山の上空の戦闘機の中に突
っこんだ。その巨体で戦闘機を弾き飛ばし突き抜けた。大きく迂回して再度、甚振るよ
うに戦闘機の中に突入する。救援に来る一団を主砲で弾き飛ばし、上空に退避する。
<<キャプテン、合計で戦闘機251機、撃墜しました>>

 スクリーンを見るとあちらこちらで戦いが始まっていた。煙を棚引かせながら戦闘機
が岩場に激突する。炎が弾き飛び黒煙が舞い上がる。もし、地上で見ていたら爆発音と
悲鳴で悲惨な光景が脳裡に焼きつくところだが、大型戦闘艇の中から見るとゲーム感覚
に思える。痛みが伝わってこない。
「ベン、帝国の宮廷を襲撃するぞ」
<<了解>>
 大型戦闘艇は急下降して帝国軍に突っこむ、そして戦闘機を掻い潜り宮廷に主砲を撃
ち込む。宮廷の端が崩壊した。その時、大型戦闘艇が凄まじい衝撃を受けた。
<バリバリーッ>
「ベン、やられたぞ。バリヤーを張り急上昇せよ」
 キャプテンが怒鳴る。
<<了解>>
 横から帝国軍の大型戦闘艇が姿を現した。キャプテンが乗る大型戦闘艇は僅かに煙を
なびかせながら上空に逃げた。
「ベン、損害を報告してくれ」
<<了解>>

<<ライブラリー室が破損。自動消化で火の手は鎮火しています。応急処理でライブラ
リー室を密封しました。戦闘には影響はありません>>
「うん、了解した。レーザー砲で撃ってきたのは猛将ワグナーか?」
<<違います、ワグナーは局地戦でレッドヴィーナスと睨み合ったままです。ここには
参戦していません>>
「そうか、ワグナーとレッドヴィーナスは、ここにはいなかったのか」
 スクリーンで宮廷を見ると、バリヤーが張られていた。そして帝国軍の戦闘機は一目
散に逃げて行く。だが帝国軍の大型戦闘艇4艘は編隊を組み睨みを利かせている。
<<キャプテン、帝国は守りの戦法に変えました>>
「これ以上、攻め込むのは難しい。われわれも宇宙空域に退避しよう」
<<キャプテン、了解しました>>

 キャプテンは宇宙空域で負傷した戦闘艇の修理をする。
「ベン、直りそうか?」
 ロボットのベンはライブラリー室に篭ってだいぶ経つ。
<<キャプテン、ライブラリー室の気密保護は解除できましたがライブラリー室の機器
類は使い物になりません>>
「そうか、だいぶキナ臭いな。レーザー砲のエネルギーの残量を教えてくれ?」
<<はい、主砲のレーザーエネルギー残量、9分57秒が8分31秒に減量しました。
副砲6門の平均残量、1時間13分が58分に減量しました。しかしスペアーは12個
保管されています。1つのスペアーで2時間連射できます。ただ主砲のスペアーは使い
切りましたので弾切れが心配です>>
「うーん、レーザー砲も暗黒エネルギーが使えればなあ」
<<キャプテン、暗黒エネルギーは推進力エネルギーとしか使われていませんが、次世
代破壊エネルギーとして、20年後に暗黒エネルギーのレーザー砲が完成する予定です
>>

 その時連絡が入った。
<<こちら反デスラカン連合軍総司令官のドーターです。サザンクロス星のキャプテン
応答を願います>>
「こちらキャプテンです」
<<キャプテン。参戦していただき感謝します。ライアン事務総長からもよろしく伝え
てくれと。これから作戦会議があります。今回の功労者キャプテンにぜし参加してもら
いたいのですが?>>
 総司令官のドーターが低姿勢にキャプテンを作戦会議に誘った。
「わたしでよければ参加させてもらいましょう。それと主砲レーザーエネルギーが残り
少ないので貰えませんか?」
<<分かりました。用意しますから円柱型宇宙船に来てください>>
「総司令官、了解しました」

「ベン、聞いての通りだ。連合軍の円柱型宇宙船に行ってくれ」
<<キャプテン、了解しました>>
「うーん、ほんとうは会議なんかどうでもいい、主砲のレーザースペアーが欲しい」
<<はい、これで当分は安心ですね>>
 キャプテンが円柱型宇宙船の会議室に顔を出すと、大歓声が沸き起こった。そしてス
テージにキャプテンの椅子が用意されている。
 ライアン事務総長がにこやかにキャプテンを迎える。キャプテンが会場を見回したら
全て軍服を着た兵士であった。その兵士たちはキャプテンを羨望の眼差しで見ている。
そしてライアンの挨拶が始まった。
「第一波の攻撃で帝国軍5千機を撃墜した。連合軍は1千機が撃墜された。大勝利だ」
 会場から割れんばかりの歓声が湧き上がった。


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