<<宇宙恒星日誌21101010。 元銀河系太陽系第三惑星地球人のキャプテン、ナオ、アスカはサザンクロス星で平穏 に暮らしていた。キャプテンとナオの間に第一子が誕生し、ミッキーと名付けた>>
サザンクロスの改革にキャプテンの尽力が認められて、国王から街の外れに家を与え られた。 キャプテンは昼間、宇宙港の大型戦闘艇で働き夜は街外れの家で寝ている。 子どものアスカは家と学校の往復で、週末しか大型戦闘艇に顔を見せなかった。ナオは ミッキーを抱え、キャプテンと行動を共にしている。ドクターロボのマザーもミッキー を気遣い行動を共にする。 ロボット兵のベンだけは大型戦闘艇を離れると自動的に自爆するので郊外の家には行 けなかった。 キャプテンは反デスラカン連合の3回目の召喚状を手にしながら浮かない顔でスクリ ーンの宇宙を覗いている。
<<キャプテン、ここでしたか?>> ロボット兵のベンはキャプテンが召喚状で悩んでいるのを知っていた。1回目、2回 目は無視していたが3回目の今回は、反デスラカン連合の召喚に応じるのではないかと 内心期待している。
「うん、この美しい星の煌きのどこかで、戦いが起こっているとは素直に信じがたい」 キャプテンは宇宙戦争に参戦すれば二度とサザンクロスに帰ってくることが出来ない と思っている。そしてナオと幼子のミッキー、子どものアスカーの将来を考えていた。
<<キャプテン、今も戦火収まらず混迷した状態で民が苦しんでいます>> ベンは参戦を悩んでいるキャプテンの背中をほんの少し押すつもりで言う。 「そうだな、反デスラカン連合に行って見るか?」 その瞬間、ベンは嬉しくて頭のランプが1つ点灯してしまった。 <<はい、キャプテン>> ベンはキャプテンに覚られないようにランプを消す。
「ああッ、家族には今夜話そう。陛下には明日、宮廷で話すか。しかし、ドクターロボ のマザーはサザンクロスに残したい。だが残せば言語変換が出来なくなる、ベンはこの 大型戦闘艇から外へは出られないからなあ」 キャプテンは悩み首を傾げる。 <<キャプテン、わたしの予知思考では間違いなく、今回はサザンクロスに帰還できま す。マザーを連れて行きましょう。キャプテンにはボディーガードが必要です>>
「何故だ、デスラカン帝国の敵はわれわれの心強い味方ではないのか?」 解せないという顔でキャプテンはベンを見る。 <<敵の敵は味方とは限りません。反デスラカン連合は多くの民族、星、国の集団統治 国家です。主権者が変われば政策も変わる。分かりやすいデスラカン帝国と比べると魑 魅魍魎が跋扈しているかもしれません>> 「それでこの戦争が長引いているのか。では今回無事に帰還できる保障は何だ?」 <<キャプテンがお持ちの召喚状は反デスラカン連合の公文書です。騙まし討ちでキャ プテンを殺害すれば、連合に参加している多くの民族、星、国が反デスラカン連合事務 総長ライアンに不審を抱きます>>
「うーん、公文書か」 <<キャプテン、反デスラカン連合もキャプテンの正体が分からず悩んでいます。3回 目の召喚状を黙殺すると、まずいことになるかもしれません>> 「しかたがない、行くか」 スクリーンの星を眺めながらキャプテンが呟いた。 その夜、反デスラカン連合の召喚に応じることをナオとアスカに話す。2人は既に覚 悟を決めていたのか反対することも無く素直に同意する。
宮廷の上空、透き通った秋の空を大型戦闘艇は飛んでいた。 「ベン、陛下の挨拶も済んだ。ライアン星に出発してくれ」 <<キャプテン、了解しました。ウオームアップ開始>> ロボットのベンの声が宇宙船に響く。 <<キャプテン、ワープ30秒前>> <<ワァンー、ワァンー、ワァンー>> 宇宙船内にワープ走行の警告音が鳴り響く。 <<ワープ20秒前、キャプテン、椅子に座って手すりを掴んでいてください>> ロボットのベンの声が宇宙船に響く。 <<ワープ10秒前>> 宇宙船が微かに震えてきた。 <<ワープ5秒前、3、2、1。ワープ開始>> ロボットのベンの甲高い声が宇宙船に響いた。その瞬間、キャプテンはワープの衝撃 に耐えられずに気を失った。
暫くして。 「う、うーん....」 <<キャプテン、気がつきましたか?>> 「ここは?」 <<キャプテン、宇宙船はライアン宇宙空域に到着しました>> ぼんやりした頭でキャプテンはスクリーンを見る。 「何だ、あの宇宙船は?」 首を少し回しながらキャプテンは言う。 巨大円柱型宇宙船が縦に浮かんでいる。直径4キロメートル、高さ8キロメートル、 素材は不明だが全体が透明のプラスチックのように外から中が見える。暗闇の宇宙空間 に派手なオアシスが出現した。
円柱型宇宙船の最上層にドーム型宇宙港が見える。次々に宇宙船が着陸している。円 柱型宇宙船の上半分が宇宙船の格納庫になっていた。その下半分が大きな会議場になっ ている。そしてワンフロアー1万人が入れる会場が50フロアー連なっている。その下 が生活住空間になっていた。最下層は推進機関であった。
この巨大円柱型宇宙船は反デスラカン連合の会議用宇宙船であった。 「ベン、召喚状を受取ったのはわたしだけではないみたいだな」 スクリーンを見ながらキャプテンが言う。 <<キャプテン、わたしにはよく分かりません。何となく定例の会議があるように見え ますが?>> 「うーん、定例の会議で紹介するのかな?」 <<常識的にそのように思いますが、何があるか分かりません>> 「とりあえず着陸させるか。宇宙港に連絡を取ってくれ」 <<キャプテン、了解しました>>
|
|