「ベン、やってくれ」 <<キャプテン、了解しました>> 大型戦闘艇はゆっくりと上昇して、その巨大な戦闘艇がリチウム鉱山の周りをゆっく りとうろつく。 <<キャプテン、反応したのは小鳥だけです>> 「うん、まずいな。小鳥でも」 <<どうしますか?>> 「こちらキャプテン、リチウム鉱山の小鳥を追い払う。そのためレーザー砲で山を威嚇 連射する」 <<こちら地上チーム、了解した。>> 「ベン、山に向かってレーザー砲で威嚇射撃だ」 <<キャプテン、了解しました。レーザー砲、岩場に向かって発射>> レーザーが岩場に威嚇された。むき出しになっている岩が木っ端微塵に閃光と共に消 える。その音で数百羽のトリが羽音を残し逃げて行く。 「ベン、もう一度、生命体が無いことをこれから確認してくれ」 <<キャプテン、了解しました>> 大型戦闘艇がリチウム鉱山の周りをゆっくと飛ぶ。 <<キャプテン、生命体の反応はありません>> キャプテンは小さく頷いた。
「こちらキャプテン、確認が終わった。爆破してくれ」 <<こちら地上チーム、了解した>> 直ぐにレーザーが撃ち込まれた。眩しい閃光が上空に迸り、耳を劈く轟音と共に山が 崩れた。砂煙であたりは夕闇のような暗さになり、硝煙の匂いが辺りを包んだ。
「こちらキャプテン、地上チーム、怪我人はいないか?」 <<こちら地上チーム、多少血を流している者はいるが死人は出てない。岩がここまで 飛来するとは思わなかった>> 「うん、落ち着いたら山の爆破の確認をしてくれ」 <<こちら地上チーム、了解した>> 「ベン、うまくいったみたいだな。うん、どうした?」 <<キャプテン、失敗です。予定通り崩壊していません>> その瞬間、キャプテンは首を捻る。胸中穏やかではなかった。 「うーん、そうか、陛下とメディアにこれから言うことを伝えろ。 1回目の爆破は期待通りにはいかなかった。これより2回目の爆破を強行する」 キャプテンはベンを見て小さく頷く。 <<キャプテン、了解しました>>
キャプテンは立ち上がり操縦室を苛立つように歩き回った。 「山が重すぎたのか?」 <<はい、それしか考えられません>> 「この戦闘艇をリチウム鉱山の真上に移動させ、データを取れ」 <<キャプテン、了解しました>> ベンの頭のランプが目まぐるしく点灯した。 スクリーンに一部崩壊した山が実写で拡大していく。 <<キャプテン、山の横穴は予定の66パーセント掘られています>> 「そうか、残り何メートルだ」 スクリーンを見詰ながらキャプテンは言う。 <<キャプテン、横穴は540メートル空きました。残り240メートルです>> 「うん、もう一度、破壊するか。だが破壊しすぎるとリチウムが吹っ飛んでしまう。ベ ン、宇宙船の使用中のエネルギーと未使用のエネルギーのスペアーを取り替えることが 出来るか?」 <<はい、取り替えたことはありませんが設計上は可能です>> 「やろう、未使用のエネルギーのスペアーでは破壊力が強すぎる。半分がちょうどいい と思う。ベン、コンピュータで確認してくれ」 <<キャプテン、分かりました>>
暫くして。 <<キャプテン、リチウム鉱山に大きな亀裂が6本入っています。どのくらいの圧力で 崩壊するか、データ不足で判明しません>> 「そうかやってみれば分かるだろう」
「こちらキャプテン、地上チーム。応答してくれ」 <<こちら地上チーム、調査中だ>> 「えー、残念ながら爆破は失敗した。横穴は240メートル不足し、山も予定通り崩壊 出来なかった。 この宇宙船の使用中のエネルギーでもう一度破壊する。そのためこの宇宙船を近くに 着陸させたいのだが場所はあるか?」 <<折角だがその大きな宇宙船が着陸できる場所は無い。少し斜めになるけど山の横の 丘に着陸してくれ>> 「こちらキャプテン、その丘に8人の作業用ロボットを用意していてくれ」 <<キャプテン、了解した。50トンの大型運搬車を用意する>> ロボットのベンはマニュアルに沿って、使用中のレーザー砲のエネルギーを外し未使 用のエネルギーのスペアーを装着させる。 そして大型戦闘艇は少し傾かせながらゆっくりと丘に着陸させた。暫くすると見たこ とのない大きな大型運搬車が大型戦闘艇の前に姿を現した。 そして取り外した使用中のエネルギーを専用の台車に載せてロボットに引き渡した。
「こちらキャプテン、地上チーム。応答してくれ」 <<こちら地上チームだ>> 「うん、エネルギーを作業用ロボットに渡した。これから崩壊させる山にレーザーを楔 代わりに打ち込む」 <<そうか、エネルギーが届いたらモグラ艇に乗せて、540メートル先まで運搬させ る。発火はどうする?>> 「こちらキャプテン、こちらからリモート爆破させる」 <<分かった、うまくいくといいな>> 「うん、祈っててくれ」
<<キャプテン、戦闘艇をリチウム鉱山上空まで上昇させます>> 「うん、楔を打ち込め」 <<キャプテン、了解しました。レーザー砲の試射が出来て好都合です>> そして、リチウム鉱山の中腹に規則正しく30カ所近くレーザーが打ち込まれた。 <<キャプテン、これで崩壊する確率が99パーセントに跳ね上がりました。初めから こうすればよかったですね>> 「そうだな、残りの1パーセントは何だ?」 <<うまく説明できませんが、山の神に見放された時、とでも言いましょうか>> 「ベン、うまい。たいしたものよ」 うとうとしていたナオが髪を掻き揚げながら言う。ベンの頭のランプが得意そうに点 灯した。
|
|