翌日、私達は愛明と一緒に東京に戻った。 東京駅では愛明の息子、裕一君が迎えに来てくれていた。 裕一君を最後に見たのはドイツに行く前、裕一君は十一歳、小学校六年の夏だった。母親の影響もあってかバレーをやっていた。あれから十三年。 「由美さん、お久しぶりです。わかりますか?裕一です。」 「随分大きくなったわね。見違えちゃった。十三年ぶりだものね。お久しぶり。まだバレーやっているの?」 「いえ、バレーは大学まで。大きくなったっていっても一m八〇じゃ通用しないし。由美さんみたいな優秀なセッターじゃないですから。今は大久保で美容師やっています」 「そう。ところで、ご一緒の方は?」 先ほどから、早く紹介してくれといわんばかりに、私と裕一君の交互に視線を送っている。 「大前圭介といいます。中田君と一緒に美容師やってます。江上由美さん本人と直接お話できて光栄です。大ファンです」 「こいつ、今日由美さんが親父と一緒に東京に来るって言ったら、是非会いたいってついてきたんだ。」 「そう。始めまして」 「もうドキドキで。握手お願いします」 握手の後、もう一つ気になることと言わんばかりに 「ところで、そちらの女性は、由美さんの娘さんですか?どこかで見かけたことがあるような気がするんですが」 圭介君が真理を見ながら首を傾げているのを見て、愛明が真理を二人に紹介した。 「栗原真理さん。走り高跳びをやっていて、僕がちょっとコーチみたいなことをしている。というより、由美のいとこの娘さんだ」 「そうだ、思い出した。真理さんって、大久保の東京スポーツセンタのインストラクタしてません?僕たちその隣の美容室スターツの美容師なんです」
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