20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:晴れ渡る夏空 作者:全充

第13回   愛明の怪我(1)
 愛明も「東海学生駅伝が終わるまで日曜は顔をだせないけど」といいながら練習の合間に祐子を見舞っていた。
 そんな中、我が大学はみごと三位に入り、五年ぶりに正月の熱田−伊勢神宮詣で(全日本学生駅伝出場)を決めた。
 愛明も一安心で、日曜には私とゆっくり祐子を見舞えるようになったけれど、祐子の症状に大きな変化はなかった。
 祐子もいよいよオリンピックイヤーを迎えるんだから、私のことは心配しないでしっかり練習してねと、自分のことより愛明のことばかり気にしているといった様子で深刻さはなかった。

 祐子の病気は好転せぬままオリンピックイヤーのシーズンを向かえた。
 愛明はピークを五月末の選考会に合わせるため、桜が咲くまでスパイクを履かず慎重なシーズン入りだった。
 五月連休の対抗戦を最初の跳躍としたが、一本目で十六Mと昨年の好調を継続した順調な滑り出しであった。
 東海インカレも十六M三十九で優勝、いよいよオリンピック出場が現実味を帯びてきていた。
 しかしインカレ後の練習で愛明は踏み切り脚の足首に痛みを訴えた。

 祐子の容態もインカレのあたりからあまり良好とはいえない状態が続いていたが
「前と同じなのかな。そんな事無いと思うけど」と二年前の出来事を話してくれた。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 38111