ついこの前まで肌を露出していた人々が、この季節になると寒さのあまり一斉に肌を隠すようになる。
11月も半ばに入り始めている夜、ショウコはある駅のホームで一人座っていた。 時計を見てため息をつく。 どれくらいここにいるのだろうか。 来た時間を見ていなかったためわからない。 一つだけ確かなことは、ここへ来た時に空にいた太陽はもうビルのずっと向こうに隠れてしまったということ。
ショウコは一人の男性を待っていた。 彼はいつもこのホームから電車に乗っていた。 大学もサークルも一緒である日このホームで会ってから一緒にサークルに行くようになっていた。 周りからはひやかされたが、ショウコはまんざらでもなかった。 サークルに打ち込んでいる彼が好きだった。
だが、彼は突然家の都合で大学を辞め、いなくなってしまった。
あれから一年。
残されたのは記憶の奥にある彼の香水の残り香。
冷え切った手を吐息で温めながら、ショウコは微かに笑った。
そして温かい涙が頬をつたった。
ごめんなさい、やっぱり今でもすごく好きです。
真っ黒な空に、終電のアナウンスが流れた。
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