20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:詩群2・春が訪れる 作者:砂野徹

第5回   紫の車輪
  

             終らない濡れた舗道の
             拾えない髪飾り
             燃える季節のぬけがらの
             軽さに黙りこんで

             気球よりも大きな
             たからものと別れて
             ひとりさまよう街の
             錆びついた扉たち

             暦を見ても来ない日の
             地図を見ても無い国へ
             あのひとを乗せた列車に
             むらさきの雨が降る


             たまごよりも小さな
             愛も守りきれずに
             ふたりみつめた海の
             歌も思い出せない

             私は悲しみの標
             冬空が泣いている
             あのひとを乗せた列車に
             むらさきの雨が降る









← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 2977