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作品名:
詩群2・春が訪れる
作者:
砂野徹
第5回
紫の車輪
終らない濡れた舗道の
拾えない髪飾り
燃える季節のぬけがらの
軽さに黙りこんで
気球よりも大きな
たからものと別れて
ひとりさまよう街の
錆びついた扉たち
暦を見ても来ない日の
地図を見ても無い国へ
あのひとを乗せた列車に
むらさきの雨が降る
たまごよりも小さな
愛も守りきれずに
ふたりみつめた海の
歌も思い出せない
私は悲しみの標
冬空が泣いている
あのひとを乗せた列車に
むらさきの雨が降る
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