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作品名:詩群2・春が訪れる 作者:砂野徹

最終回   春が訪れる


              鈍い光悲しむ
              扉とざしうずくまる
              けれど私信じてる
              きっと帰るあのひとを

              遠くめぐるいのちの
              眠り続く凍てついた
              雪の果ての地を蹴って
              みなみ風の歌を呼べ

              月も凍る白い夜に
              ひとりきりで黙りこんで
              明日の祈り綴る文字も
              震えてた風の街

              朝(あした)夢は羽ばたく
              窓をひらき立ち上がれ
              虹が揺れるあの峰を
              ごらん春が訪れる


              憂い色の硬いりんご
              背中向けた蒼い金魚
              涙ごしの枯れたスミレ
              見つめてた冬の部屋

              あした鳥は旅立つ
              愛の炎もえあがれ
              光おどるあの海を
              ごらん春が訪れる


              月も凍る白い季節
              ひとり迷う蒼いねずみ
              灰色の眼 うつろな胸
              ぬくもりとはぐれてる

              朽ちた城のむこうへ
              赤い靴で駈け出そう
              雲流るるあの空を
              ごらん春が訪れる

              雲流るるあの空を
              ごらん春が訪れる
















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