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作品名:詩群・いつからかここに 作者:砂野徹

第9回   遍歴


      路地裏のエントツの行き止まりの抜け穴の
        布紐の鍵束の窓枠のちょうつがいの
          菓子箱のびーだまの王冠の折れ釘の
            アカツチの風船のアゼミチの木炭の
              底なしのトンネルの浅い水の沈黙の
            空き地の鎖の白い立て札の
          枯れた苔の割れたコンクリの
        曇り空の靴の跡の

             暗い壁のこだまの

           吹き抜ける無人の銀行の

            草が伸びる駐車場の

             空き缶が詰まった箱の隣

           人々のぬけがらでネズミが暮らしている







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