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作品名:当世女性気質 作者:石田実

第40回   40
「結城も戻っているのでしょう?」と夕子は何気なくみどりに聞いた。
「ええ。戻っているわ。納得いくまで泳げたと言っていたわ。わたしもよく泳いだわ、何年ぶりかしら。やはり一緒に泳いでくれる人がいないと出来ないわね。」と言いながらみどりは着替えをしている。疲れた様子は見られなかった。
 夕食は館内のレストランでとった。四人は生ビールで乾杯した。やはり水泳の話になった。結城は久しぶりで泳いだと言った。子供の頃は田舎の海でよく泳いだものだ。彼の学校からは水泳選手になる者が多くいるとのことだった。彼はクラブに入らなかったが、水泳は好きだった。
「勝山さんも泳ぎは上手です。絶対水泳部ですね。」と結城は刺身を食べながら言った。
「ええ、中学時代はね。わたしも家から海が近かったので、子供の頃から泳いでいたの。やはり友達がみんな泳いでいたから。」とみどりは言って、ビールを口にした。腕もやはり日焼けして赤くなっていた。
「わからないものね。普段会っている限りでは。こうして旅行してみると意外な面があるのが分かるわ。」と夕子はふたりの顔を見ながら言った。「向井もバスケットボールをしていたなんて初めて知ったけど、それは理解できるな。水泳は苦手みたいだけど。」
「泳げないのではないか?」と結城が冷やかした。
「馬鹿を言え。泳げるよ。」と向井は応えた。皆は笑った。
「向井はゴルフが一番面白いみたいだ。石田課長と今度やるそうだよ。」と夕子が浜辺で聞いた情報を披露した。
「ゴルフか、俺もやってみたいけど、まだ経済が許さん。やるとしてももう少し先になりそうだ。」と結城が羨ましそうに言った。
「わたしもね。ゴルフはちょっと。それに仲間がいないわ。」とみどりが応じた。
「朝霧さんはどうですか?興味ありますか?」と結城が訊ねた。
「全然ない。」と夕子がきっぱり言うと、皆がまた笑った。
「向井さんはゴルフが上手になりそう。」とみどりが言った。
「石田課長より上手くなるでしょう。身体もいいし、パワーもあるから。社内コンペで優勝するでしょう。」と夕子が言った。


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