また、皆勝手な談笑が始まり、宴会は九時に終わった。それぞれまた二次会に行くグループが固まりだした。立ち上がって、ゆっくりと入り口に向かう。酔ってふらついている者、まだ大声を上げるものがいた。なだめる者、外に連れて行こうとする者もいる。何とか全員外に出た。夕子は帰ると言って聞かない。駅の方へ一人で歩き出した。彼女の性格を知っているものは止めない。向井と結城が彼女に追いついて、ご機嫌を取っている。しかし、しばらくしてふたりは諦めた。彼らは他のものについて別の店に向かった。みどりと他の女性もその仲間にいた。
7 週末の会議が営業一課、二課合同で開かれた。まず専務の業績説明と今後の方針が述べられた。業績は二ヶ月連続で下降している。このシーズンに下降はおかしいと言う。営業が怠けているとしか思えない。このままで行くと今期は赤字になると言う。赤字になれば人員整理をしなければならない。そうなると会社の活気が無くなってくる。ジリ貧になるのは目に見えている。活気のあるうちに、事業拡大しなければならない。今のうちに人員を増やし活気を取り戻さなければならない。そのためにもまだ増員は考えている。あらましこのような内容のことを言った。 次に各自の営業成績を見て、特に業績の上らないものは叱責された。理由を述べよと言うことだった。当てられたものは説明をした。しかしそれは弁解に過ぎない。さらに専務は追求の手を緩めなかった。とうとうその者は沈黙するしか仕方がなかった。石田課長が助け舟を出したが、焼け石に水で、専務の怒りは激しさを増した。当てられた者だけでなく、次々に業績の悪いものから罵声を浴びせた。最後は専務の発破をかける声のみで延々30分は続いたろうか。とにかく基本に帰れと彼は繰り返し言った。地道な営業が必要だとも言った。 言うだけ言って、専務は会議室を出て行った。しばらく皆押し黙っていた。石田課長が会議終了宣言して、皆は重い足どりで会議室を出た。 翌週、立花と別の課の山田が、体調が悪いといって休んだ。かなりの激しさで、内田専務に叱責された者達だ。他の者たちも気は重かったがどうやら出てきた。
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