「そうなんです。いつも季節が原因なんです。解っていても、そこをなんとかしないと私たちの存在がないものですから。弱っています。知恵を出せ、知恵を出せ、と攻めたてられます。」と係長は弱って見せた。 「今から又経費をかけるか、八月を待つかですね。」 「そうですね。冷夏というわけではないので、例年通りなんですが、会社はやはりもっと売上が上がることを期待しています。」 「競争も多いので、目立たつことをテーマでやっているのですが、効果が薄い様で申し訳ございません。今いい提案はないのですが、直ぐに出します。」 それから暫く話し合ったが、課長は現れなかった。夕子は来週にはいい案を持って伺うことを約した。 外の出ると相変わらずの蒸し暑さだった。この暑さでどうして清涼飲料が売れないのだろうと思った。売上が伸びてきてよさそうだった。昨年より更にアップを狙っているのだ。 会社はいつもそうだ。うちの会社もそうだった。社長はいつもプレッシャーをかけてきている。石田課長はかなりストレスを感じているはずだ。胃が痛むとこぼしている。競争社会の中で生きていくにはそれは必然のことだった。会社の中で競争があり、会社同士の競争があり、国同士の競争があると夕子は思った。そこから逃れる道はない。その中で生きていくしかなかった。といって夕子はそれほどストレスを感じなかった。疲れると直ぐに気分転換することができた。みどりはストレスに弱かった。よく会社を休むほうであった。女性社員は男性社員に較べて体調を崩しがちであった。夕子はしかし休むことは少なかった。 5
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